山根治

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100年に1度のチャンス -5

 話を、全世界が受けた1,000兆円の損害に戻します。とりあえずここでは、日本だけに焦点を合わせて考えてみることにいたします。  まず、日本が受けた損害についてですが、世界全体の10%、つまり100兆円と仮定します。イラク戦争で日本が既に負担したお金は、スティグリッツ教授の試算によれば30兆円でしたから、この金額を差し引いた残りは70兆円。ちなみに、この30兆円の負担は対外的には支払いが既に完了し […]

100年に1度のチャンス -4

 これまでの話をまとめてみますと、- +アメリカが中心となって引き起こした、2つのトラブル、イラク戦争と金融危機をお金の側面から見た場合、それぞれが500兆円、合わせて1,000兆円の損害を全世界に与えた、 +この1,000兆円の損害の内訳を見てみますと、イラク戦争によって、破壊するためだけに費消された「モノ」を300兆円とすれば残りの200兆円は、誰かが不当な利益として既にフトコロに入れた勘定に […]

100年に1度のチャンス -3

 この1,000兆円、一体どうなったのでしょうか。  まず、イラク戦争の500兆円について。  この500兆円の大半は、アメリカを中心とする欧米の軍需産業に流れたことは明らかです。お金の流れはこの通りですが、「モノ」についてはどうでしょうか。戦争という破壊行為ですから、イラク戦争に投入された多くの「モノ」は、イラクのインフラを壊し、多くの人々を殺したり傷つけたりするためだけに費消されており、単なる […]

100年に1度のチャンス -2

 このたびの世界的な金融危機に対して、その原因をつくったアメリカだけでなく、ヨーロッパの国々、あるいは日本においても、緊急対応策が次々と打ち出されています。さしあたっての応急手当てといったところです。リーマン・ブラザーズが経営破綻してからこの一ト月あまり、アメリカを始め、ヨーロッパ各国が打ち出した、金融機関への公的支援の額は、合わせて300兆円に達したと言われています。  現在の私の関心事は、この […]

100年に1度のチャンス -1

 このところアメリカの金融危機をきっかけにして、株価が暴落したり、円高が進行したりと、日本でもなんとも騒がしい限りです。中には100年に1度の危機だとか、日本が駄目になってしまう、つまり、日本が破綻の危機に瀕しているなどと声高に言い募っている人達もいるようです。  本当にそうでしょうか。愛してやまない私達の祖国は、そんなに脆(もろ)いものなのでしょうか。  私はそうは思いません。小さな島国ながらも […]

リーマン・ブラザーズの破綻

 三年半前、ライブドアがインチキ会社であることに気がつき、私のブログで指摘しました(“ホリエモンの錬金術”)。連載を始めてからのことですが、この怪しげな会社が拠点としていた六本木ヒルズに何回か足を運んだことがあります。私はヤジ馬根性が旺盛なものですから、一世を風靡している異形の詐欺師が、どんなところで仕事をしているのか、自分の眼で確かめたかったからです。1Fの案内板に記された、入居している会社名を […]

会計工学ことはじめ

“浪々(ろうろう)の 身にうす寒き 時雨哉(しぐれかな)” (秀暁) などと、いっぱしの浪人気取りでいた私の中に、突如として浮かんできたのが認知会計(コグニッティヴ・アカウンティング)の考えでした(“認知会計の発見”)。有罪判決を受けたことから、長年用いてきた会計士の称号が使えなくなり、さてこれから何をしたらいいのか模索しているときに思いついたものです。  思えば長い間、会計士としての生活に安住し […]

歴史的文化財の破壊と談合疑惑 -5

 このところ、考古学とか歴史学に携(たずさ)わる専門家だけでなく、一般市民の多くから「家老屋敷遺跡」を壊すべきではないという声が強くなってきました。キチンとした調査と学術的な評価をして保存した上で、松江城と一体となった地元の宝として、教育と観光とまちづくりに役立てるべきではないかという訳です。  そこで浮上してきたのが、なんとも姑息(こそく。その場のがれ、ということです)な妥協案でした。 「現在計 […]

歴史的文化財の破壊と談合疑惑 -4

 近世考古学の第一人者と目されている、坂詰秀一・立正大学名誉教授によって“松江の宝”とまで絶賛された家老屋敷遺跡。それを跡形もなく壊して建設されようとしているのが、松江市歴史資料館です。「初めに建設ありき」とばかりに、形式的に調査をしたことにして、記録保存(調査記録を残すだけで遺跡そのものは完全に破壊するということです)の道をひたすら突っ走っているのが松江市当局です。 調査中に重要な遺跡が発見され […]

歴史的文化財の破壊と談合疑惑 -3

 前回、落札率が99.6%であることを示し、全国市民オンブズマン連絡協議会が定めている基準によれば、「談合の疑いが極めて強い」ことを記しました。  しかし、これはあくまで、客観的な数字として残っている6つの中から2つだけを抽出して計算した数値でしかありません。もちろん、これはこれで重要な意味を持ってはいるのですが、より談合の実態に迫っていくためには、その他の4つの数字はもちろんのこと、数字としては […]

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