歴史的文化財の破壊と談合疑惑 -4

 近世考古学の第一人者と目されている、坂詰秀一・立正大学名誉教授によって
“松江の宝”
とまで絶賛された家老屋敷遺跡。それを跡形もなく壊して建設されようとしているのが、松江市歴史資料館
です。「初めに建設ありき」
とばかりに、形式的に調査をしたことにして、記録保存(調査記録を残すだけで遺跡そのものは完全に破壊するということです)の道をひたすら突っ走っているのが松江市当局です。

調査中に重要な遺跡が発見された場合には、いったん調査を中断して関係機関(この場合は文化庁、島根県)としかるべき協議をしなければならない(文化財保護法)のですが、その協議が終らないうちに早々と工事の入札公告(平成20年6月10日)をし、建設業者を決定しているのです(平成20年8月5日決定)

 松江市当局は、島根県の教育委員会から記録保存(つまり、遺跡の破壊)のお墨付きをもらっていると称して、市議会にも報告(平成20年8月18日)しているのですが、偽りです。松江市当局は意図的なゴマカシを行なっているのです。

 城下町(家老屋敷)遺跡は、松江市殿町にあるもので、その面積は5,500平米。その所在地は次の通りです。
+松江市殿町287番地(1,134平米、このうち試しの調査がなされた-平成19年3月30日完了-のは800平米)
+松江市殿町279番地
+松江市殿町279-1番地
+松江市殿町280番地
+松江市殿町280-5番地
+松江市殿町280-6番地
+松江市殿町280-7番地
+松江市殿町281-1番地
+松江市殿町281-2番地
+松江市殿町281-3番地
+松江市殿町281-4番地
+松江市殿町282-1番地
+松江市殿町282-2番地
+松江市殿町282-3番地
+松江市殿町282-4番地
+松江市殿町282-5番地
+松江市殿町282-6番地
+松江市殿町282-8番地
+松江市殿町283番地
+松江市殿町284-2番地
+松江市殿町284-3番地
+松江市殿町286番地
+松江市殿町292番地
+松江市殿町293番地
+松江市殿町294番地
+松江市殿町294-1番地
+松江市殿町 他
 たしかに、島根県は、松江市に対して、平成19年3月30日の文書で

“記録保存やむなし”

と言っているのは事実です(島根県教育委員会教育長が松江市教育委員会教育長に宛てて出した「遺跡の取り扱いについて(回答)」-島教文第31号の44)。
 しかし、これは遺跡全体についてのものではなく、試しの調査がなされた一部だけについてのものでした。具体的には、上記の26筆以上に及ぶ土地の中の一筆(1.の松江市殿町287番地1,134平米のうちの800平米、全体面積5,500平米の15%)についての島根県の考えが示されているだけのものです。遺跡全体の85%を占めるその他の場所については依然として島根県からいくつかの注文が付けられており現在に至るも協議中なのです(平成20年8月15日付で、島根県教育長文化財課長ト部吉博氏が松江市教育委員会文化財課長吉岡弘行氏に宛てて出した「遺跡の取り扱いについて」とする事務連絡)。しかも現在協議中の土地(全体の85%!!)からは、新しい貴重な発見が次から次へとなされている状況です。
 遺跡全体のわずか15%について島根県との協議が終ったことを盾にして、松江市当局は全ての協議が完了したかのように言い募っている訳です。インチキもいいところですし、文化財保護法に違反しているおそれがあるようです。松江市議会だけでなく、松江市文化財保護審議会をも騙して、何が何でも大切な遺跡を壊し、その場所に巨額の公金を投じて歴史資料館を強引に建設しようとしている松江市当局は、一体何を考えているのでしょうか。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“妊婦かと 思われ席を 譲られる” -町田、保輪庵。

(毎日新聞、平成20年8月30日号より)

(ほんとうに 妊娠しても 平常体)

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