2009年4月

100年に1度のチャンス -28

 昨年9月のリーマン・ブラザーズの破綻の後ほどなく、グリーンスパン前FRB議長の発した「100年に1度の危機」という無責任な言葉が一人歩きをして、あっという間に世界中が危機意識一色になってしまいました。マンガおたくで知られる、どこかの国の宰相も、なんだかの一つ覚えのように、ことあるごとにこのフレーズを口にする始末です。考えてみれば、グリーンスパン氏はアメリカの金融政策の中心にいた人物の一人です。つ […]

100年に1度のチャンス -27

 前回述べた悪しき収奪の思想は、これまで一部日本社会の底辺にくすぶってはいたものの、常に日陰の存在で、決して表に出ることはありませんでした。  ところが、株式市場を舞台にして破廉恥な行為を平然として敢行するだけでなく、得々として金の亡者の屁理屈を吹聴してはばからない、異形の人物が現れてきました。ホリエモンこと堀江貴文という若者です。どのようなことをしようとも、お金さえ儲かればよい、稼ぐが勝ちだ、女 […]

100年に1度のチャンス -26

 GDPにせよ、経済成長率にせよ、その実態を直視し、かなりいいかげんなシロモノであることが分かれば、これらの数値に拘(こだわ)るのが空しく思えてきます。だとすれば原点に立ち帰って、経済とは何か、人々の暮し向きを豊かにする経済とは何か、改めて問い直す必要があるかもしれません。あるいは、国家社会の目標とすべき経済のあり方とは何か、改めて問い直すことが必要であると言ってもいいでしょう。このような根本的な […]

100年に1度のチャンス -号外4

 笠信太郎氏の「花見酒の経済」(朝日文庫)から引用します。(「花見酒の経済」については、“100年に1度のチャンス -号外2”参照) 『 落語に「花見酒」というのがある。  多くの読者は、先刻ご承知のことであろうが、花見に通る人出を見かけて、熊さんと辰つぁん、オレたちも花見をやろうじゃないかということになった。が、先立つものは金。その金がない。熊は一策を案じて、一つ花見をしながら金もうけをやろうじ […]

100年に1度のチャンス -25

 これまで述べてきましたように、トヨタ自動車は再び収益力が回復しない限り、12兆円にも達する公簿上の純資産(平成20年3月末現在)は絵に画いた餅のままで終ることになります。現在のトヨタを人に例えれば、周りの迷惑を顧(かえり)みることなく、自分さえよければとばかりにガムシャラに働き、気がついてみれば身体がボロボロになっていた患者、あるいはより厳しい見方をするならば、道楽の限りを尽くしてきた挙句、心筋 […]