2014年11月

「福沢諭吉の正体」-⑯

 日本人の90%以上を占める一般庶民、つまり百姓(ひゃくせい)が、何故それぞれの分野で優れた知恵を備え、独創性に富んでいたのか。  樋口清之の答えはこうだ。日本という狭い島国で生き抜いていくために必要だったから、というものだ。  更に樋口は日本人に知恵と独創性が備わっていた理由の一つとして、日本人の立体幾何学のセンス、つまり、数学的思考能力を挙げている。  以下、樋口の考えを忖度(そんたく。「他人 […]

「福沢諭吉の正体」-⑮

 私が慶應義塾とその創設者である福沢諭吉に対して疑念を持つに至ったのは最近のことである。それまでは、ほとんどの人がそうであるように、慶應義塾は裕福な家庭の子弟が学ぶ立派な大学であり、その創立者・福沢諭吉は近代日本文化の礎(いしずえ)を築いた立派な人物であると信じて疑わなかった。  福沢諭吉に対して疑念が生じたのは、彼が生煮えの簿記(Book-keeping)を日本に初めて紹介し、それまで日本に根付 […]

「福沢諭吉の正体」-⑭

 福沢諭吉は、昭和天皇による人間宣言と共に葬り去られるべき人物であった。  しかし現実にはそうはならなかった。日本の代表的な紙幣である一万円札の肖像画にも用いられるほど日本人を代表する立派な人物とされ、現在に至っている。  教育者の風上(かざかみ)にも置けない、福沢のようなデマゴークが何故、国民的英雄であるかのように扱われ、日本の顔ともいうべき紙幣を飾っているのか。何故、日本を代表する国語辞典の一 […]

「福沢諭吉の正体」-⑬

 明治維新は、西欧の先進文明国に追いつくためになされた改革であるというのが定説である。  その前提としては明治以前の日本の文明は否定されるべきマイナスのものでなければならなかった。暗黒の封建社会から輝かしい近代文明社会を目指した改革であったという訳である。これが明治期の近代化と言われているものの実態だ。  明治維新イコール日本の近代化の第一歩という、上述のような定説的理解は果して正しいものなのか。 […]