「福沢諭吉の正体」-⑬

 明治維新は、西欧の先進文明国に追いつくためになされた改革であるというのが定説である。

 その前提としては明治以前の日本の文明は否定されるべきマイナスのものでなければならなかった。暗黒の封建社会から輝かしい近代文明社会を目指した改革であったという訳である。これが明治期の近代化と言われているものの実態だ。

 明治維新イコール日本の近代化の第一歩という、上述のような定説的理解は果して正しいものなのか。明治元年(1868)から150年近く経った現在、明治維新とは果して何であったのか改めて考えてみる必要がある。

 明治維新は、維(これ)新(あらた)などともっともらしい表現が用いられているものの、その実、権謀術数が渦巻く下剋上(げこくじょう。地位の下の者が上の人をしのいで勢力をふるうこと。新明解国語辞典)、あるいは革命そのものであった。梲(うだつ)のあがらない下級武士が、これまたショボくれた公家(くげ)を利用して、徳川政権を乗っ取っただけのことだ。一般国民を置いてきぼりにした単なる政権交代である。
 その背後には、植民地の拡大を図るイギリス、フランス、アメリカが、彼らの利権を求めて巧妙に操る工作が見え隠れする。現在改めてふりかえってみると、明治維新は、主にこの3つの国が陰で細工をして、日本を自分達にとって都合のよい国家、つまり自分達に利権をもたらしてくれる国家に生まれ変らせるための小細工であったことが判明する。

 このように、明治維新は、政権交代であり、革命であった。騙(だま)し、殺人、なんでもありの血なまぐさい革命であった。とりわけ明治維新の主導的役割を果した長州の面々に関していえば、高杉晋作が組織した奇兵隊はテロリストの集団そのものであったし、初代総理大臣となった伊藤博文は歴代総理のなかで唯一殺人者の汚名を着せられている(渋沢栄一の回想)人物だ。伊藤博文を暗殺した安重根(アン・ジュングン)をやみくもに犯罪者呼ばわりする資格は私達日本人にはない。
 そのような革命を裏で操っていたのがイギリスでありフランスであり、アメリカであった。彼らの手口は、外交という名の脅しと、軍需品と軍資金の提供だ。
 明治維新に要した軍需品と軍資金の実態については、長い間隠蔽されたり、偽りの説明がなされてきたが、近年その実態が次第に明らかになってきた。分ってみればなんのことはない。トリックまがいの策略が横行し、唖然とするような詐術のオンパレードである。欧米列強の手先となって踊らされていたのが、明治維新の志士、元勲と呼ばれている人達であり、福沢諭吉とか勝海舟のような幕府側の役人であった。いずれも欧米列強のスパイであり操り人形である。
 ここでは、二重スパイ、トーマス・グラバー、坂本龍馬、武器商人、アヘン、密貿易、新貨条令、などのキーワードを列挙するにとどめ、詳細は別稿に譲る。

 以上は、明治維新という名の革命における物理的(資金的・軍事的)な側面である。この側面に関して幕府側にあって、欧米列強の意を体して動いた中心人物の一人が勝海舟である。
 同じ幕府の役人であった福沢諭吉は、精神的(文化的)側面で欧米列強の意を受けて動いた人物であった。幕府側にとっては“獅子身中の虫”、つまり二重スパイである。これこそ、維新政府の「御師匠番」とされてきた福沢諭吉の実像だ。
 第2次世界大戦後から現在に至るまでの役人(官僚)が日本の国益などどこ吹く風とばかりに無視して、自分達の利権のために政治家をテキトウに操りながら専らアメリカの顔色をうかがい、二枚舌を駆使して国民を騙し、アメリカの言いなりになってきたのと酷似する。デマゴーグ・福沢諭吉の忠実なるエピゴーネン(Epigonen。思想上の追随者・模倣者を軽蔑していう言葉。広辞苑)である。

(この項つづく)

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 ここで一句。

”CMじゃ奉仕のような保険業” -久喜、宮本佳則

(毎日新聞、平成26年9月27日付、仲畑流万能川柳より)

(銀行、証券と並ぶ欧米生まれのハゲタカの一種です。)

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