引かれ者の小唄

1/8ページ

185 碩学の警鐘 -2

***その2)  40年余り前、私は大学院で経済学の勉強に励んでいた。J.M.ケインズの「貨幣論」とドン・パティンキンの「貨幣、利子、及び価格」-貨幣理論と価値理論との統合、の輪読を軸としつつも、産声を挙げたばかりのポートフォリオ・セレクションとかターンパイク理論などについて、研究仲間とともに取り組んでいた。長澤惟恭教授、藤野正三郎教授には懇切丁寧に教わったほか、折にふれて都留重人教授の指導も受け […]

184 碩学の警鐘 -1

***その1)  平成19年7月29日、参院選において自民党は歴史的な敗北を喫した。その選挙結果について、一人の経済学者が地元紙に寄稿。「自民惨敗の参院選に思う」と題する一文だ(平成19年8月9日付、山陰中央新報)。寄稿したのは米子市出身の経済学者であり、世界的に著名な宇沢弘文氏である。1928年生まれの宇沢氏は当年79歳、10年前に文化勲章を受章している東京大学名誉教授である。理論経済学における […]

183 珍書 -5

***その5)  田中森一弁護士と金貸しの森脇将光。片や、闇社会の手先となって蠢動(しゅんどう)したヤメ検、片や、汚職を生業(なりわい)としている政治屋を相手に暴利をむさぼった高利貸し。共に人生半ばを過ぎた得意の絶頂期に挫折し、それぞれの思いのたけをもっともらしい文章にまとめ、上梓。いずれも甲乙つけ難い曲者(くせもの)の手になるシロモノだ。京都三条河原で釜煎(かまいり)の刑に処せられた天下の大ドロ […]

182 珍書 -4

***その4)  久しぶりに森脇将光の珍書「風と共に去り、風と共に来りぬ」を読んでみたくなり、県立図書館に行った。貸出禁止の郷土図書となっていたため、書庫から出してもらって閲読。  執筆当時(昭和29年~30年)の森脇将光は50歳代半(なか)ば。今の私より10歳も若い。彼が謀略であったと断じている、3年前(昭和27年)の逮捕劇が全ての出発点となって、事実は小説より奇なりを地でいくストーリーが展開。 […]

181 珍書 -3

***その3)  珍書といえば思い出がある。今から50年ほど前のこと、私はしばしば島根県立図書館に通い、孤独な受験勉強に没頭していた。学習室の書棚に、マーガレット・ミッチェルの小説「風と共に去りぬ」の題名をパクったと覚しき5冊の本が目についた。勉強の合間の気分転換に書棚から引き出し、パラパラとめくってみた。それは同郷の人物の手になるものであった。一見して怪しげな雰囲気を持った本であったが、当時日本 […]

180 珍書 -2

***その2)  田中森一氏の著書「反転」を、珍妙な本という意味で珍書と呼んだ。通常使われることの少ない“珍書”というコトバを、敢えて手間ヒマかけて探しだしたのは、田中氏の基本的な主張(つまり、訴追は不当なものであり、冤罪であるという弁解)が倒錯した論理をベースにした珍妙なシロモノであるからだ。更に言えば、検事時代とその後のヤメ検時代の仕事にからむエピソードが饒舌に語られているのであるが、それらの […]

179 珍書 -1

***その1)  なんとも怪しげな本が出版されたものだ。ヤメ検の田中森一氏の手になる、「反転」-闇社会の守護神と呼ばれて(幻冬舎)である。週刊現代の記事(“冤罪の構図-2”と“冤罪の構図-5”を参照)は、この本のいわば前宣伝であった。早速購入して一読したものの、どのように評していいのか、とっさには言葉が見あたらない、実に珍妙なシロモノであった。 はじめに“奇書”という言葉が思い浮かんだ。奇妙な本だ […]

178 続・いじめの構図 -22

***その22)  税理士登録が完了したこと、それは職業会計人としての私が、再び五体満足になったことを意味する。税務当局と真正面から対峙できるということだ。  日本書紀に、『虎に翼(つばさ)を着(つ)けて放(はな)てり』というフレーズがある。天智天皇が、大海人皇子(おほしあまのみこ、後の天武天皇)に皇位の継承をさせようとしたところ、皇子はそれを固辞、吉野に隠遁したことを称して、時の人が「虎に翼をつ […]

177 続・いじめの構図 -21

***その21)  平成19年1月27日、日本税理士会連合会から一通のハガキが届いた。税理士登録が完了したことを知らせるものであった。山根 治 殿日本税理士会連合会会長 森 金次郎  公印省略      税理士登録通知 あなたの税理士登録については、下記のとおり、税理士名簿に登録されましたので通知します。 なお、税理士証票は、税理士会を通じ、交付いたします。 記登録番号 第××××××号登録年月日 […]

176 続・いじめの構図 -20

****その20)  12月28日、M委員長と事務局のF氏とが私の事務所にいたのは2時間位であったろうか。建前としては、M委員長が私に対して再尋問するということであったが、現実としては攻守ところをかえて、私が問い質し、M委員長が懸命になって弁解する図式となった。私がM委員長に対して逆に尋問することになったのである。私としてはM委員長に対して、特別にお願いすることもなければ、これといった期待もしてい […]

1 8