中江滋樹氏からのダイイング・メッセ-ジ-⑤

 仕手相場というバクチ場で乱舞する多額のお金。

 当時、株式取引による利益が原則非課税であった中にあって、例外的に多額かつ多数回の取引をする仕手集団。証券会社にしたら巨額の利益をもたらしてくれる大切な客だ。

 証券会社のあの手この手の隠蔽工作もあって、国税当局にしたら並大抵の納税者ではなかった。いきおい税務調査は荒っぽくなる。

 いくつかの「証拠らしきもの」をつかんで、脅しあげて自白を迫る。逮捕をちらつかせたり、実際に検察に逮捕させて締め上げるのである。

 しかし、「犯則事実」がいまだ特定されていない情況のもとで、逮捕をちらつかせたり、実際に検察に逮捕させて得られた「証拠」など、脱税犯罪を裁く刑事法廷では無意味である。刑事訴訟法に規定される「証拠能力」に欠ける「証拠」となるからだ。

 要するに、たとえ、嫌疑者本人が脱税を認める自白をしたとしても駄目である。自白の任意性に欠けるからだ。その上、「犯則事実」(脱税という犯罪の事実)は、自白とは関係のない客観的な事実だ。
 

 中江氏の場合は、東京国税局(警視庁)がガサ入れする前に中江氏が手がける仕手相場の実態と主な大口金主(きんしゅ)の情報を把握していたことに加え、関与税理士である私の指導に従って、投資ジャ-ナルグル-プのお金のフロ-とストックとが明瞭になるような帳簿が備えられていたことから、はじめから「犯則事実」そのものが存在しなかった。本稿第3回で述べた通りである。



 加藤氏の場合はどうか。

 加藤氏は逮捕されてから完全黙秘を貫いている。そのために、適法な供述調書の作成ができなかった。東京地検特捜部は、東京国税局査察部が作成した内容虚偽の告発書及び、告発書の中核をなす内容虚偽の「質問てん末書」をもとに、内容虚偽の検面調書を作成し、これまた内容虚偽の告訴状を作成し、公訴に及んだものと考えてよい。

 裁判の結果は執行猶予のつかない有罪、つまり実刑となった。しかし、この有罪判決は、脱税の有罪率100%という神話検面調書の特信性に引きづられた偽りの判決だ。本稿第3回において、「血塗られた勝利」(「中江滋樹氏からのダイイング・メッセ-ジ-③」)と形容した所以(ゆえん)である。



 1,000ページからなかには10,000ペ-ジに及ぶ会計数字オンパレ-ドの告発書(その中核にあるのが「質問てん末書」)を読み込むことのできる裁判官はいない。裁判官だけではない。検察官も、弁護人である弁護士も読む能力がない。会計数字が偽りであるかどうか、識別する能力がない。

 松江市で展開されていた脱税事件に関して、現在私に噛みついている中村寿夫弁護士など、検察官が法廷に提出した僅か1,022ペ-ジほどの証拠書類(検甲号証)に何が書いてあるか読むことができない。

 わざわざ、「前代未聞の猿芝居」において、検甲号証の中のどこの部分が虚偽であるか丁寧に説明しているにもかかわらず、問題をスリ替えて、頭から湯気を立てて怒っている。老残(ろうざん)をこれ以上さらすなかれ(「明確になった冤罪の構図-①」)と忠告したにもかかわらず、私の忠告は徒労(とろう。無駄な骨折り-新明解国語辞典)に終わったようである。(この項つづく)

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 ここで一句。 ”8年目 はぐらかしまでワンパタ-ン” -鴻巣 雷作(毎日新聞、令和2年4月8日付、仲畑流万能川柳より)
(“安倍・麻生コンビで掬(すく)う)野田ドジョウ 囃(はや)し立てるは役人衆 笛や太鼓の空(から)さわぎ”

 政治屋と大蔵キャリア、不正行為直近の時系列。

①平成24年9月20日付、国税庁長官「指示」。虚偽情報「大本営」総司令官によるマル秘指令。

②平成24年12月、麻生ポンコツ・グル-プによる「ぎょうせい」の買収。虚偽情報「大本営」出版局の確保。

③平成25年1月、改正国税通則法の施行。納税者権利法の制定。

④平成25年2月、臨時増刊号「税理」3月号発行。日本税理士会連合会(虚偽情報「大本営」隠密)による納税者権利法の虚偽の解説書。)

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