トチ狂った大阪地検特捜部-③

 本件では重加算税が賦課されていない。この事実は、仮装、隠蔽の事実が存在しないことを意味する。実務上は、刑事罰の要件である「偽りその他不正の行為」の前提となる「偽りその他不正の事実」と概ね一致するのが「仮装・隠蔽の事実」だ。「仮装・隠蔽の事実」が存在しないのに「偽りその他不正の事実」が存在することはありえない。

 つまり、本件の場合、「仮装・隠蔽の事実」が存在しないのであるから、当然のことながら「偽りその他不正の事実」は存在しない。「偽りその他不正の事実」が存在しないのであれば、これまた当然のことながら、刑事罰の構成要件である「偽りその他不正の行為」も存在しない。

 つまり、重加算税がかけられていないことによって、脱税犯罪の構成要件の一つである「偽りその他不正の行為」が存在しないことになる。

 あるいはまた、次のように言うこともできる。つまり、仮に不正の事実(本件の場合は、私文書偽造、同行使)があったとしても、過少申告の事実がないのであるから、当然のことながら不正認定(重加認定)をすることができないということだ。
 例えて言えば、殺人事件の被害者とされた人物が、どこかでピンピン生きていた場合と同じことだ。殺されたはずの当の人物が、実際には殺されていないのであるから、どのような策を弄して殺そうとしていたとしても、殺人未遂罪の成立はありえても、殺人罪は成立しない。脱税の罪は、殺人罪とは異なり、未遂を罰する規定が存在しないことから、脱税という犯罪そのものが存在しない。

 逋脱罪(脱税)の犯罪構成要件は、
+「偽りその他不正の行為」と
+「税を免れること」
の2つである。

 過少申告の事実が存在しないのであるから、「税を免れたこと」も存在しない。また、重加算税が賦課されていないのであるから、「偽りその他不正の行為」も存在しないし、仮に不正の事実があったとしても、過少申告の事実がないのであるから、不正認定をすることができない。
 以上により、脱税という犯罪を構成する2つの法的要件は共に欠けることになる。冤罪である。
 大阪地検特捜部は明らかに冤罪であるものを偽装工作を施して断罪している。起訴された6人は、3つに分割されて公判に付されているが、6人全員が第一審の大阪地裁で懲役刑に処せられ、加えて、6人合わせて1億円超の罰金が科せられている。暗黒裁判である。

(この項つづく)

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