修正申告の落とし穴-②

 ここで、国税局の料調(りょうちょう)の傍若無人な税務調査に立ち返る。料調の無法ぶりについては、これまで度々述べてきたが、改めてこのアウトロー集団について素描する。



 まず料調は当然のごとく、予告なしで会社など納税者のところに大勢で押しかけてくる。納税者の都合などおかまいなしだ。有無を言わせない。会社の内部にズカズカと踏み込み、大声を挙げて、手当り次第に引っかき回す。問答無用の暴挙である。

 押しかけるのは会社だけではない。会社に踏み込むのと同時に、手分けした別動隊が、社長の自宅をはじめ、取引先とか愛人(税務では特殊関係人と呼ぶ)の自宅にまで乗り込んで、ベッドやクロークやタンスや金庫など手当り次第に捜索する。重大な犯罪を犯した極悪人と決めつけて、動かぬ証拠を見つけようとして必死である。法律で禁じられている犯罪捜査を行なうのである。

「社長はいない? ここにいることは分かっているんだ! 隠れていても駄目だ。出てきなさい。我々を何だと思っているんだ。普通の税務調査とは違うんだ!」

 会議中であろうが来客中であろうがお構いなしである。ことに社長が居留守でも使おうものならタイヘンだ。大声を挙げた恫喝が始まる。会社がパニック状態になるのを狙っているかのように、居丈高(いたけだか)な言動が繰り返されるのである。

 恫喝が功を奏した頃をみはからって繰り出されるのが、「一筆」の要求だ。内偵調査でつかんだ脱税の事実を社長に突きつけて、まず大雑把な脱税の事実を認めさせ、文書化させようとするのである。このとき突きつける脱税の事実が曲者(くせもの)だ。料調が勝手に脱税だと思い込んでいるだけの、料調が描く「脱税ストーリー」であるからだ。脅したり、騙したり、すかしたりして、仮想の「脱税ストーリー」を文書によって認めさせようとする。このようにして出来上がるのが、公用文書としての「一筆」だ。
 ハニックス工業のケースがそうであったし、大阪国税局の料調(「大阪国税局の犯罪-暴力組織としての“資料調査課”」「マルサ(査察)は、今-⑧-東京国税局査察部、証拠捏造と恐喝・詐欺の現場から」参照)の場合もそうであった。

 料調の違法行為がピークに達するのが、修正申告の慫慂(しょうよう)がなされるときだ。すでに書かせている「一筆」をテコにして修正申告を強引に迫るのである。

「一通り調査が終った。脱漏所得の合計は××億××千万円。不正工作がなされているため全てが重加算税の対象だ。修正申告をするでしょうね。」

 調査結果を一方的にまくしたて、修正申告をするのが当然であるかのように持ちかけてくる。有無を言わせない。
 不正金額が一定額以上になると、料調から査察に回されて、刑事告発されることが日常的になっているため、四の五のと弁明して修正申告をしぶるようであれば、直ちに職権で更正(脱漏税額を決定する)し、刑事事件化することを示唆して強引に修正申告をするように迫るのである。まさに強要(相手がいやがっても、ぜひそうするように要求すること-新明解国語辞典)そのものだ。告発をちらつかせていることから、強要を超えた恫喝であると言ってよい。
 その上に大手マスコミへのリークがある。料調が堂々と行なっているものだ。税務職員による情報漏洩が、懲役刑をもって禁じられている(2年以下の懲役、国税通則法第126条)ことなど、どこ吹く風。納税者が調査結果に文句をつけ、修正申告を拒否しようものなら、問答無用とばかりにマスコミに情報を流して公表させ、社会的制裁を加えるのである。税務職員による情報漏洩が犯罪であることを百も承知で行なっているだけに悪質だ。
 このような非合法な暴挙が実際にまかり通っているために、納税者としては言いたいことも言えなくなってしまう。頼みにしていた顧問税理士は、料調と聞いたとたんに、触らぬ神に祟りなしとばかりに逃げ出してしまうのが通例だ。逃げずに調査の立会に応じたとしても、蛇に睨まれた蛙のように料調の剣幕に圧倒されて、料調の意に反することなど一言も言えなくなってしまう。料調に唯々諾々(いいだくだく)として従い、納税者に対しても素直に従うように勧めるのである。
 どうしても納得のいかない納税者は、料調に言われた通りの修正申告を拒否するのであるが、慫慂が拒否されたとみるや直ちに更正処分が下され、更正通知書なるものが送られてくる。
 更正通知書が送られてきたら、2月以内に、異議申立てとか不服申立てができることになっている。法で定められた救済措置であり、納税者の権利だ。
 ところがこの権利を行使しようとして税務代理を依頼しても嫌がる税理士が多い。税務当局に逆らうことになるとでも思っているのか、ともかく嫌がるのである。7万人の税理士の半数近くを占めている国税OB税理士はことにそうである。
 長年税理士をやっていて、一度も異議申立てや不服申立てをしたことのない税理士が驚くほど多いのが現実だ。中には、顧問先から異議申立てをするように強く言われた税理士が、

「どうしても異議申立てをせよというのなら、仕方がない。顧問をやめさせてもらう」

と申し向けて、本当に顧問契約を解除してしまったケースさえあった。
 ともかく、税務署とことを構えたくないのである。税務当局に刃向かう税理士、つまり「反税税理士」の烙印でも押されたら、税務当局から嫌がらせをされて今後の仕事がスムーズにできなくなるし、税理士登録の抹消とか刑事被告人にされて社会的に抹殺されかねない。これまでそのようなことが実際に多発しているだけに、君子危うきに近寄らずを極め込むのである。全て税理士本人の保身のためであり、依頼人である納税者のことなど二の次三の次だ。
 以上の実態は、税理士が税務署の下請機関(「税理士記念日?」参照)に堕していることを端的に表わしている。更には、納得いかない課税処分が救済されないまま野放しになっていることを意味し、かくてアウトロー集団たる料調の犯罪的な暴挙は誰もチェックすることなくまかり通るのである。

(この項つづく)

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 ここで一句。

”監督がだれでも勝てそジャイアンツ” -長崎、マー坊

 

(毎日新聞、平成25年11月17日付、仲畑流万能川柳より)

(ジャイアンツは読売巨人軍、日本では唯一、”軍”を標榜している球団だ。正力松太郎、読売新聞、嘘八百の原発キャンペーン(「原発とは何か?-①」参照)、憲法改正、戦前の軍国主義への回帰。)

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