ライブドア監査人の逮捕 1

 ライブドアの監査を担当していた公認会計士の田中慎一氏が、「ライブドア監査人の告白」と銘打って、一冊の本を出版したのは、2年ほど前の平成18年5月のことでした。

 当時、ライブドアと堀江貴文氏に対する強制捜査について、一部のマスコミ、あるいは有識者を自任する人達の間で、国策捜査ではないかとか、あるいは、万引のような微罪(粉飾決算は微罪だそうです)で死刑といった、およそピント外れの誤った議論が横行していました。そのような中で、誰よりも事件の内実をよく知る立場にあった、監査人が“告白”するというのですから、俄然(がぜん)私の興味を引いたのです。(“ホリエモンの弁解術-3”)

 その田中慎一会計士が逮捕されたというニュースが飛び込んできたのは、平成20年2月14日のことでした。プレスは、

“東証マザーズ上場のIT(情報技術)関連企業「アイ・シー・エフ」(現オーベン、東京)が大阪市の広告会社を買収した際、同社と不正に株式交換した疑いが強まり、大阪府警捜査4課と証券取引等監視委員会は13日、証券取引法=現金融商品取引法=違反(偽計)の疑いで、アイ社元社長、佐藤克容疑者(32)ら 4人を逮捕した。”(平成20年2月14日付、日本経済新聞)

と報じ、その4人の中の一人として、

“元港陽監査法人(2006年解散、-山根注:ライブドアの監査を担当していた監査法人です)公認会計士、田中慎一容疑者(35)=東京都港区港南四。”

を挙げていました。

 私は3年前に、マニアックなまでにかなり徹底してライブドアという会社と堀江貴文という異形(いぎょう)の人物について調査分析し、その結果を公表しています(“ホリエモンの錬金術”)。ここで私は、敢えて“異形”という形容詞を堀江氏につけているのですが、今改めてこの人物を一言で評するとすれば、これ以外に思いつかないほど私の気持ちにピッタリ沿っているようです。ちなみに、異形とは、

“「異様」の古語的表現。(狭義では、人間以外の化け物の形容)”

とされ、更に、「異様」を引いてみますと、

“他と余り違っていて、変に思われる様子”

とあります。(いずれも、新明解国語辞典第四版-三省堂、による。)
 このような経緯から、ライブドアの数多くのインチキに関係した人物とか、会社などは私の脳裡にしっかりと刻み付けられていますので、このニュースの中で、
-港陽監査法人、とか、
-田中慎一公認会計士
の名前に敏感に反応した訳です。この2つの名前に加えて、上場以来インチキを繰り返すライブドアの経営陣にいながら、事件が発覚する前に多額の利益をフトコロにして、逸(いち)早くライブドアから抜けていった人物、榎本大輔氏(36)までが事件がらみで登場しているのですから尚更でした。

 ただ一つだけ訝(いぶか)しく思ったことがありました。港陽監査法人は既に解散していますので、“元”となっているのですが、田中慎一氏の肩書きは公認会計士となっているのみで、“元”がついていなかったからです。田中氏は、2年前に自らの著書で、会計士の廃業宣言、つまり会計士の資格を返上すると公言していましたので、てっきり会計士の登録が抹消されているものとばかり思っていたのです。

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“婆(ばば)にゃなく 爺(じじ)むさいとは 不公平” -神戸、北川修二。

 

(毎日新聞、平成20年1月31日号より)

(鬼ババアとは言うものの、鬼ジジイとは言わぬが如し。)

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