164 続・いじめの構図 -8

****その8)

本題の税理士再登録の件に立ち返る。



中国税理士会が要求するままに用意した、おびただしい量の添付書類等を携えて登録申請を行ったのは、平成18年10月12日のことであった。申請書の訂正とか補充といった難クセをつけ、受理してもらえないことが予測されたため、郵送をとりやめ、わざわざ広島の中国税理士会にまで出向くことにした。案の定、受理のための書類審査に2時間かかり、それを受けて、申請書等の訂正と補充にナント3時間もかかった。登録申請書を受理するだけで、都合5時間も要したのである。

登録申請書と履歴書、正副合せてそれぞれ5枚。重箱のスミをつつくようなチェックがなされ、訂正を求められた。登録申請書の欄外には、61字抹消、174字加入として印を押し、履歴書の欄外には、11字抹消、126字加入として印を押した。
このように多くの修正をしたのは、中国税理士会が、嫌がらせとしか言いようのないことを要求したからだ。私の履歴について、高校卒業以来、一日の空白もないように、無職のときも含めて全ての履歴の記入を要求したのである。つまり、45年前の昭和36年に松江商業高校を卒業した時以来の全ての履歴を、年月日を明らかにして記入せよ、というのである。税理士の登録申請に、何故このような微に入り細にわたる履歴を記されなければいけないのか、税理士会事務局のナメクジのような担当者に問い質しても、そのような決まりになっている、と木で鼻を括(くく)ったような言葉が返ってくるだけであった。

45年間にわたる全ての履歴の年月日を特定するだけでも、並大抵の作業ではないのに加えて、無職の期間は何をしていたのか、生活の糧はどうしていたのか記述することが求められた。何故このようなことまでという思いはあったものの、ここで腹を立ててしまったら相手の思うツボであると考え直し、ひたすら思い起こすことにつとめ、不明な点についてはあちこちに電話連絡して調べてもらい補充した。しかも、これら相当量の情報を、所定の様式になっている登録申請書と履歴書の用紙一枚の中に書き込めというのである。用紙の補充はまかりならぬ、ときた。
私は通常極太のボールペンを使用しているが、この時ばかりは極細のボールペンに取り換えて、虫眼鏡で見なければ判読できないような細かい文字を連ねた。申請書、履歴書、それぞれ正副5通ずつであるから、合せて10枚について加除訂正を行ったことになる。加入した文字だけでも、登録申請書に174字、履歴書に126字、合わせて300字。それぞれ5枚ずつ書いた訳であるから、その5倍の1500字に及んだ。3時間もかかるわけである。

追加記入を強いられた、2回の無職期間の記述について、そのままここに再現する。
^^t
^cc”^期間
^cc”^勤務先、その所在地
^cc”^勤務先における地位、職務の内容
^^
^昭和36.3.2~
昭和46.4.30
^無職(大学受験準備、大学通学、大学院通学、
家事手伝い、公認会計士受験勉強)
^生活の糧(奨学金、家からの仕送り、アルバイト
(家庭教師、翻訳下請、その他単純作業))
^^
^昭和47.10.16~
昭和48.3.28
^無職(司法試験受験勉強)
^生活の糧(監査法人勤務時の貯え)
^^/
何十年前の、このような履歴が何故税理士の登録申請に必要なのか、今もってよく分からない。昨今のフリーターのように一年のうちに何回となく職を変わる人達はどのようにすればいいのか。一体何人の人が、それぞれの仕事についた日と辞めた日とを記憶、あるいは記録しているであろうか。更には、記録していたとしても、フリーター歴が多年にわたる人は、一枚の所定の用紙に履歴の全てを書き込むことは不可能に近いであろう。

通常の履歴書では考えられないような、詳細を極める記述要請が、仮に私以外の登録申請者にもなされているのであれば、即刻改められるべきである。たかが税理士の登録申請、非関税障壁ならぬ、法で明示されたもの以外の非資格要件の吟味は最小限にするのが筋であろう。登録の審査にあたっては、いささかの恣意性をも混入してはならないからだ。

 

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