ゲームとしての犯罪 -2

ライブドア事件が少年犯罪と酷似している第3の点は、当事者に犯罪意識がないことです。堀江貴文氏が逮捕されてから3ヶ月、一貫して容疑事実を否認し通し、保釈後も無罪をかちとることに余念がないと伝えられるのも、自分が一体何をやったのか判っていないからかもしれません。罪の意識など初めから存在しないのでしょう。所詮、ゲームなのですから。

昨年、堀江貴文という人物を知るために、何冊かの著書を読んだり、各メディアに喋っているインタビュー記事などに目を通しました。<br />
彼の書いた文章は、中学生のレベルを超えるものではありませんし、内容に至っては支離滅裂、論理矛盾などおかまいなしといったシロモノでした。オドロキましたね。<br />
何よりも気になったのが、人間として備わっているべき最低限のものが、ポッカリと欠落していることでした。親、別れた妻、子供、親しく付き合った女性、友人に対して、人間としての情愛が全く感じられないのです。

ライブドアが上場廃止になり、堀江貴文氏をはじめ関係者が全て保釈され、しかも、USENの宇野康秀氏がフジテレビの持株を買い取ったことによって、なんだかライブドア事件が終結したような感じになっています。東京地検特捜部は、事件を矮小化して終結させ、マスコミもこの事件が引き起した大きな問題を敢えて取り上げようとせず、早く幕引きしたいようです。
しかし、ゲームとしての犯罪であるライブドア事件は決して終ってはいません。ゲームはいまだ継続中であり、ゲームの肝心な部分が残っているのです。

ゲームの肝心な部分とは何か。
ゲーム犯罪を考えついた堀江貴文氏の側からすれば、ゲームの最終局面である犯罪収益の確保ということです。ゲーム犯罪の被害者(騙されて株を買い損失を被った一般投資家です)の側からすれば、被害の回復がいまだ全くなされていないことです。私の試算では概ね2,000億円もの損害を被った多くの人達が、カヤの外に置かれたままになっていることです。
現ライブドア社長の平松庚三氏も、フジテレビの持株を引き受けたUSENの宇野康秀氏も、ともにそのような被害者に関しては我関せずといったところです。それは、堀江貴文氏をはじめとする旧経営陣の責任で、自分達には関係のないことだとでも思っているのでしょうか。トンデモないことです。関係ないどころではなく、この2人もまた、ゲーム犯罪の最終局面において重要な役割を演じていると言えるでしょう。

まず、騙されて損害を被った人達について考えてみましょう。この人達を、詐欺被害者と呼ぶことにします(ここで使う“詐欺”という言葉は、これまでと同様に「騙して他人に損害を与え自分の懐を肥やすこと」というほどの意味で用いており、刑法でいう詐欺よりは幅広いものです)。
ライブドア事件における詐欺被害者は、ライブドアの株主です。しかも、騙されていることを知らないで株式を購入した人達のことですので、事件が発覚するまでに株主になった人達、つまり、強制捜査が着手された、平成18年1月16日より前に株式を購入し、かつこの時点で株式を持っていた人達のことです。

ライブドアの発行済株式数は、平成17年12月26日現在、1,049,310千株、株主の数は、約22万人です。これらの数字を強制捜査直前のものと考えて話を進めていきます。
この内訳を見てみますと、-
^^t
^cc” colspan=”2^株主
^cc”^持株数
^cc”^持株比率
^^
^1.
^堀江貴文
^rr”^180,978千株
^(17.25%)
^^
^2.
^(株)フジテレビジョン
^rr”^133,740千株
^(12.75%)
^^
^3.
^その他
^rr”^734,592千株
^(70.00%)
^^
^cc” colspan=”2^計
^rr”^1,049,310千株
^
^^/
となっています。

このうち、1.の堀江貴文氏は、騙して自分の懐を肥やした張本人ですし、2.のフジテレビは堀江氏と一緒になって一般投資家を騙したのですから、加害者であり、当然のことながら被害者ではありません。
フジテレビは、結果的には3百数十億円もの損害を出してはいるものの、投資をする際にデューデリ(専門家による詳しい予備調査)を行っています。つまり、ライブドアが上場会社の資格に欠けるインチキ会社であることを十分に知った上で、株の取得をしたフシがあるのです。(詳しくは、“疑惑のフジテレビ”参照のこと)
あるいは一歩譲って、インチキ会社であることを知らなかったとしても、十分に知りうる立場にあったのですから、知らなかったことについて重大な過失があったことになります。一般の株主とは、立場が全く違うのです。口を拭って被害者ヅラなどできるはずがありません。
従って、詐欺被害者は、3.その他の734,592千株を所有している、22万人の一般投資家ということになります。尚、この中には、ライブドア関係者がストック・オプションによって手に入れた株式とか、ライブドアが企業買収をした際に交換によって発行した株式も含まれています。これらの株式を持っている人は、堀江貴文氏の身内のような存在ですので、一般の被害者と区別して外すべきでしょう。ただ、このようにして発行された株式は、現在の株数に換算しますと、合わせて1億株を超えるのですが、そのほとんどが市場で売却されているものと思われます。1月16日現在でも売らずにそのまま持っている人の持株を全体の概ね10%の1千万株と仮定して差し引き、改めて損害を被った株式の総数を計算しますと、734,592千株となります。

(※信用取引の買建玉に関する記述については誤りがありましたので訂正いたしました。指摘して下さったnaotokさん、ありがとうございました。 2006-06-01)

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“投資家は損の時だけ大さわぎ” -相模原、里邦。

 

(毎日新聞:平成18年4月30日号より)

(ライブドアは、どのような状況になろうと一人の策士(堀江貴文氏のことです)が必ず儲かるように、上場以前から仕組まれていたギャンブル・ファンドであり、インチキ会社です。普通の粉飾決算をした会社とは比較にならないほど悪質。回収すべき資産がしっかりあるのですから、泣き寝入りする必要はありません。)

 

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