冤罪を創る人々vol.96

2006年01月17日 第96号 発行部数:407部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-
http://consul.mz-style.com/catid/11

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●「引かれ者の小唄」 ― 勾留の日々とその後
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「自弁品アラカルト -その5」より続く
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6.右翼からの激励 -その1

6月8日の朝、風呂をすませ、気分爽快になって独房に帰り、い
つものように座り机に向って、古典の書写を始めようとしたときの
ことであった。窓の外から大音量の声が響いてきた。
察するに、刑務所の正面玄関近くの公道に車を停めて、刑務所に
マイクを向けているようだ。私のいた拘置監は外部の道路に近く、
外部からの物音がよく聴こえてくる位置にあったのである。

「受刑者の皆さん、おつとめご苦労様でございます。私達は出雲の政
治団体××です。皆さんが無事おつとめを終えられ、一日も早く社
会に復帰されるのを心から祈っております。頑張ってください。」

このようなことから始まって、何やらしきりに喚いている。普段
であれば、触らぬ神に祟りなしとばかりに、街宣車を無視して通り
すぎるところである。
しかしこの時ばかりは、独房での囚(とら)われの身、不協和音
の見本のような大音響から逃げるわけにいかない。しかたがないの
で、単調な生活の気分転換の一つと考え直して、耳を傾けることに
した。生まれてはじめて、右翼の説法をじっくりと聴くハメになっ
たのである。

さかんに松江刑務所の悪口を言い立ててはいるものの、単なる悪
口雑言ではない。誉めたふりをして、その実、相手を貶(おとし)
めるという、ひとひねりしたやり方だ。いわゆるホメ殺しである。

ホメ殺し。
かつて、日本皇民党なる右翼団体が、竹下登氏を褒めちぎる街宣
活動を執拗に繰り返し、「ホメ殺し」なることばが全国的に有名に
なったことがある。

「日本一金儲けのうまい竹下さんを総理大臣にしましょう」

1987年1月から始まったホメ殺しは9ヶ月間続き、大物暴力
団の幹部が仲裁に入ることによってようやく中止されたと言われた
ものだ。その際多額の現金授受が噂され、国会でも追及された。し
かし、真相はウヤムヤになり、藪の中に消えた。

昨年我が国で急浮上してきた問題に、アスベストの毒性がある。
かつてすぐれた断熱・防音剤として、主に建築分野で大量に使われ
ていたアスベスト(石綿)の危険性が、白日のもとにさらされ、社
会問題となった。
このアスベストについて、10年前、街宣車の右翼の論客は、松
江刑務所の収容者に向かって次のように訴えた。

「皆さんが生活しておられる部屋の天井をご覧下さい。灰色の天井は、
アスベストがふんだんに使われているアスベスト・ボードで張られ
ています。
このアスベストは、欧米諸国ではかなり前から強い毒性が指摘さ
れ、使用が禁止されているものであります。
ところが、わが日本ではどうでしょうか。一部の専門家が警告を
発しているにも拘らず、いまだに禁止されていません。メーカーと
政府がグルになってアスベストの毒性を隠しているのです。
部屋の天井だけではありません。廊下の天井、集会所あるいは講
堂の天井など、松江刑務所はアスベストだらけです。
これは一体どういうことでしょうか。私は受刑者の皆さんに対す
る官の思いやりの心によるものではないかと考えます。

アスベストも大量に吸い込めばただちに身体に異常が生ずるでしょ
うが、皆さんのようにごく微量な粉末を少しずつ吸っていたのでは、
身体の異常は感じられないものです。
少しずつ吸引することによって、アスベストに対する抵抗力が身
体の中に生じ、かえって身体が強くなるとでも、官の方では考えて
いるかもしれません。刑務官をはじめ、官の人達が仕事をしている
管理棟には全くアスベストが使われておりません。官の人達はせっ
かくのアスベストを吸うことができないのです。自分達は吸わない
で、受刑者の皆さんにだけ吸わせているのです。自分達のことは二
の次にして、受刑者の方々の健康増進を考えているのでしょう。
だとすれば、官に感謝しなければなりません。出所後の生活に具
えて、より頑丈な身体にしてもらえるのですから。
朝昼晩、アスベストを思いっきり吸い込んで健康な身体になりま
しょう!!」

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
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「投資ジャーナル事件の真相 -2」より続く
http://consul.mz-style.com/item/463

・ 投資ジャーナル事件の真相 -3

翌年、姿を隠していた中江滋樹氏が警視庁に出頭する直前に、氏
についての記事を再度公表しました。前回と同様、「明窓閑話」の
コラム欄においてです。以下、山陰経済ウイークリーの昭和60年
5月14日号から転載いたします。「明窓閑話」190回目の記事
であり、私はこの記事をもってこのコラム欄を閉じることにしまし
た。「休むも相場なり」と気取ってはみたのですが、実のところマ
スメディアのいいかげんさに嫌気がさしてきたというのが本音でし
た。
地方新聞社が発行している週刊誌とはいえマスメディアの一角を
占めているわけで、署名入りの記事を書くのがいやになったのです。

「休むも相場なり」

投資ジャーナルグループが証券取引法違反容疑で警視庁の手入れ
を受けてから九ヵ月が経過した。
その間、マスコミはこぞって中江滋樹会長をペテン師呼ばわりし、
歌手の倉田まり子さんを愛人と決めつけて血祭りにあげた。
投資ジャーナルの元幹部とか称する多くの人物が、マスコミに登
場してはさも事実であるかのように、あることないことを述べたて
た。

ある弁護士の一団は、被害者救済という錦の御旗をかかげ、正義
の味方月光仮面よろしくさっそうとマスコミに登場しては、憶測に
よる中江会長非難を繰りかえした。
倒産評論家と自称するS氏、および株式評論家を自称するK氏は、
ストーリーテラーとして抜群の才能を発揮し、見事なまでに白を黒
と言い切った。

その結果、どうであったか。

まず警視庁。証取法違反ということで手入れをし、最終的には詐
欺で立件しようとしているようであるが、無理ではないか。仮に、
警視庁がメンツにこだわり詐欺というハレンチ罪で立件するならば、
私は弁護団の一角に加わり、詐欺でないことの立証に全力を挙げる
つもりである。

次に倉田まり子さん。中江会長から“わいの最後の道楽や”とか
で七千万円の贈与を受け、豪邸を購入したといわれてマスコミから
袋だたきにあってきたが、この三月末、彼女が真実を告白し、私が
彼女の告白を補充するために、テレビは一局、週刊誌は一誌に限り
インタビューに応じたことにより、空さわぎはおさまった。
もともと七千万円の件は疑惑でもなんでもないことなので、真相
がわかってしまえば面白くもおかしくもないことになってしまって、
テレビ的にいえば、絵にならなくなったのである。
経済とか法律にうといワイドショーのキャスターとか芸能レポー
ターが、株の世界にまで首を突っこもうとしたところに無理があっ
たのではないか。

三番目に弁護士の諸君。この三月の末、倉田まり子さんを脱税容
疑で、中江滋樹氏以下数人を詐欺容疑で、マスコミをフルに利用し
て鳴り物入りで東京地検に告発したが、アッサリと門前払いを食わ
された。
彼らは、“被害者”から数千万円の手数料(一説には億に近いと
も超えたともいわれている)を受け取り、まさにビジネスとして行
動しているだけであり、マスコミが踊らされているといってもいい
だろう。
冷静になって考えてみれば、被害者といっても自分達でそう思っ
ているだけのことで、世上無数にある倒産劇の債権者と何ら変わる
ところがない。
弁護士の諸君は、マスコミによって虚名を得、かつ被害者からは
多額の報酬を手にしたわけであるが、自らの組織を運用するための
ランニングコストは想像以上に多額にのぼっているはずであろうか
ら、軍資金は、そう遠くない将来に枯渇するのではないか。更にま
た、彼らはマスコミを甘く見すぎているのではないか。少しずつ風
向きが変わってきたことを肌で感じているに違いない。

さて最後に、内情を暴露したとされている自称元幹部と自称評論
家。彼らもまたマスコミによって虚名と多額の報酬を受け取った。
ウソがウソのまま通ってしまうほど、今のマスコミはバカではな
い。彼らはいずれ、しかるべき制裁を自らが利用しようとしたマス
コミによって受けることになるだろう。

中江滋樹氏は現在にいたるも表に出てこない。
中江氏は、何故、早く自ら出て釈明しないのか、とよくいわれる。
私は氏の真意を知る由もないが、株の世界における一つの諺が脳裡
をよぎった ― 「休むも相場なり」。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“政界にいらざる鳥はタカ・スズメ 九官鳥にウソ・ブッポウソウ”
-大阪府池田市、医師岡崎欣一、77歳。
(朝日新聞:平成17年12月6日号“声”欄より)

(鳥類譜と自評。政界のかわりにマスコミとしてもピッタリ。嗚呼、
十年、いやニ十年一日の如し。)

 

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