冤罪を創る人々vol.39

2004年12月07日 第39号 発行部数:295部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-



    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。

    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。

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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ

 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント

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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態



「3.意見陳述」より続く

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4.判決



一、 平成13年6月11日、広島高等裁判所松江支部において、第

 5回公判が開かれ、宮本定雄裁判長が判決文を読み上げた。裁判長

 は、第1回から4回まで担当していた裁判長裁判官前川豪志が退官

 のため、裁判官石田裕一は転補のため出席することができない旨申

 し述べ、判決文の代読を行った。右陪席には第1回公判から第4回

 公判までの石田裕一判事にかわった吉波佳希判事が座り、左陪席に

 は植尾伸一判事が座った。

  判決末尾には、裁判官植尾伸一の名前のみが記され、「裁判長裁

 判官前川豪志は退官のため、裁判官石田裕一は転補のためいずれも

 署名押印することができない」旨記載されていた。



二、 控訴を棄却する、 ― 宮本裁判長は判決の主文を読み上げた。

  一審判決が踏襲されたわけで、私の懲役1年6ヶ月、執行猶予3

 年はそのまま変らないということだ。

  一審判決が破棄され、完全無罪となることを期待していた私は、

 一瞬力が抜けてしまった。傍聴席はざわつき、知人の何人かは静か

 に法廷を後にした。私への気くばりであったろう。

  三人の弁護人もガックリと肩を落としていた。私の公認会計士と

 税理士の資格に傷がつかないように完全無罪かあるいは、せめて罰

 金刑に持ち込むと勢い込んでいただけに、拍子抜けしたようであっ

 た。

  北野弘久日本大学教授の鑑定所見書を添えて臨み、必勝を期して

 いただけに尚更であった。

 

三、 裁判長による判決理由の朗読が始まった。私は、判決の主文以

 上に、その理由が気になっていた。私を主犯とした大型脱税事件に

 ついて、一審の松江地方裁判所は無罪としながらも、その認定のプ

 ロセスが誤っており、とうてい納得できるものではなかったからで

 ある。同時進行している税金の裁判(行政)において、刑事事件と

 しては無罪であったとしても、多額の税金の徴収が認定される余地

 を残しているのが一審の判決における事実認定の内容であった。

  判決理由の朗読が進むにつれて、私の中にふつふつと喜びがこみ

 あげてきた。一審の誤りをただし、真実の事実認定をかなり詳しく

 行っているではないか。当然のこととはいえ、検察の主張していた

 架空売買が事実無根であることを明確な言葉で判示しているではな

 いか。それは、検察側の虚構のシナリオが完全に崩壊したことを意

 味するではないか。

  被告人席に座っていた私は、一つのことをなし終えた充足感に満

 たされ.身体が熱くなった。思わず立ち上って、大声で叫びたい衝

 動にかられた。

  平成五年、広島国税局のマルサに急襲されてから八年、マルサ・

 検察がしかけてきた仁義なき戦いが一つの終止符を打った。





5.無罪の確定



一、 平成13年6月25日、広島高検は上告を断念。マルサ事案

 (本件)に関する無罪判決が確定した。

  詳しくは、「第二章 マルサ事案の概要と結末」においてすでに

 述べたところである。



 第二章 マルサ事案の概要と結末

 http://consul.mz-style.com/catid/11/catid/10



二、 平成13年7月4日、私は、マルサ事案の無罪が確定した段階

 での近況報告をとりまとめ、800人程の関係者に送付した。

 (※「参考資料3」を参照)



 参考資料3 手紙(平成13年7月)

 http://www.mz-style.com/item/162





(「3)上告審」についてはWebサイトにて)

http://www.mz-style.com/item/182





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●山根治blog (※山根治が日々考えること)

http://consul.mz-style.com/catid/21



「西武鉄道 銀行の責任逃れ-その2」より続く

http://www.mz-style.com/item/175



・西武鉄道 銀行の責任逃れ-その3



  小柳社長は、財務体質は健全であると言い張っているようですが、

 既にこのブログで10回にわたって詳しく述べましたように、西武

 鉄道グループの財務体質は決して健全なものではありません。



  あちこちのメディアも社長の言葉に歩調を合わせるように、厖大

 な含み資産があるから財務体質は健全だとか、資金繰りに全く問題

 ないなどと言っています。しかし、含み資産は処分してはじめて会

 社の財務に貢献できるもので、計算の上でいくら数字をはじき出し

 てみても余り意味がありません。



  つまり、事業用の資産を処分することは、全部か一部かは別とし

 て会社の事業を清算することを意味するもので、そのような大ナタ

 をふるうことなく、単に机上でいくら含み益の計算をしてみたとこ

 ろでナンセンスなのです。



  従って、会社の財務内容を検討するためには、そのような清算を

 することなく、まず従来通りの事業を継続していくことを前提とし

 て考えることが基本です。



  このための一つの目安になるのが、事業を継続していって本当に

 債務の弁済ができるのか、弁済できるとすれば一体何年かかるのか

 考えてみる訳ですが、西武鉄道グループの場合、本来の事業活動か

 ら得ることのできる稼ぎでは、グループ全体の借入金9000億円

 (コクド分を入れると1兆3000億円)を返すことが難しいので

 す。



  このたびの不祥事が発覚する前の平成16年3月期のデータをも

 とにして、借入金の返済可能財源を見てみますと、



1.西武鉄道グループ(コクドを除く) 260億円



 (会社側は260億円と言っていますが、私はさきに多くとも296

 億円であると推計していますので、会社側の数字は概ね妥当なもの

 でしょう。尚、会社側は、通常の目標額は200億円であると言っ

 ています。)



2.コクド マイナス63億円



 と、全体で197億円(=260億円-63億円)という数字がは

 じき出されます。



  つまり、グループ全体の返済可能財源は197億円であり、これ

 を全て借入金の返済に充当するとした場合でも、完済までに66年

 もかかってしまいます。

 (1兆300億円÷197億円=65.98年)





(続きはWebサイトにて)

http://www.mz-style.com/item/183

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