ホリエモンの錬金術 -10

堀江さんが自らの持株と仲間3人の持株の評価(=時価)を1,440倍につり上げていることについては、第8回で詳しく説明しました。

次に、ディスカウントキャッシュフロー方式を悪用したゴマカシを明らかにいたします。

堀江さんが、上場前の株価の算定でDCF法を採用したと法定書類の中で明記しているのは次の2回です。

1.第三者割当増資の時
平成11年9月に、(株)光通信と(株)グッドウィル・コーポレーションに対して一株300万円で割当。このとき、発行済株式数は800株。

2.株式買取の時
平成11年11月、堀江さんが有馬晶子さんから一株300万円で譲受。このとき、発行済株式数は1,000株。

一株300万円ですので、現在価値に還元されたキャッシュフローの総和P(これが企業価値と見なされているものです)は、それぞれ

1.P=24億円(300万円×800株)

2.P=30億円(300万円×1,000株)

となります。尚、2.と同時点での会社の株式の時価について、堀江さんは「40%の株の時価は5億円にも達していた」(「堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方 第一版 P.119」)と言っていますので、

P=12億5千万円(5億円÷0.4)

となります。
更に、平成12年1月17日に上場申請をし、上場と同時に行なう公募増資(1,000株)の値決めがなされます。ブックビルディング方式(資料G)によるものです。
第一回目の値決めは、平成12年3月17日になされており、仮条件として「350万円以上500万円以下」とされています。
最終的には、目論見書の第四回目の訂正の際に決定されたもので、一株600万円とされています。
上場申請後の値決めは、既に株式が12分割され、株式数が12倍に増えて12,000株になっていますので、会社の株式の時価は、それぞれ

3.P=420億円~600億円(350万円~500万円×12,000株)

4.P=720億円(600万円×12,000株)

となります。
以上をまとめてみますと、わずか半年程の間に会社の価値(企業価値P=株価×発行済株式数)が次のように自由自在に変わっていくことが判ります。

^^t
^cc^NO.
^cc^年月日
^cc^株価(千円)
^cc^発行済株式数
^cc^企業価値P
^cc^備考
^^
^0
^H11.08.03
^rr^50
^rr^800
^rr^4千万円
^5万円×800株。1:3の株主割当増資。
^^
^1
^H11.09.03
^rr^3,000
^rr^800
^rr^24億円
^300万円×800株。(株)光通信と(株)グッドウィル・コミュニケーションへの第三者割当増資直前。
^^
^” rowspan=”2^2
^” rowspan=”2^H11.11.05
^rr” rowspan=”2^3,000
^rr” rowspan=”2^1,000
^rr^30億円
^300万円×1,000株。有馬晶子から堀江貴文へ120株譲渡時。
^^
^rr^12億5千万円
^5億円÷0.4。「堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方 第一版 P.119」より。
^^
^3
^H12.03.17
^rr^3,500~5,000
^rr^12,000
^rr^420億円~600億円
^350万円~500万円×12,000株。上場と同時に行なう公募増資の仮条件。
^^
^4
^H12.04.06
^rr^6,000
^rr^12,000
^rr^720億円
^600万円×12,000株。東証マザーズ上場。
^^/
これは、次のようなことを意味しています。つまり、平成11年8月時点で4千万円であった企業価値が1ヶ月後には60倍の24億円にはね上がり、更に2ヶ月後には30億円と12億5千万円の企業価値が同時に存在し、仮条件のときには、当初の1,050倍~1,500倍の420億円~600億円へとアップし、公募価格決定の段階で1,800倍の720億円になっているのです。
この間の、会社としての主な変化は次の4つです。
+6億円の第三者割当増資を行なったこと(みせかけの“かご抜け増資”です)。
+上場のメドがついたこと。もちろん、インチキ上場です。
+創業メンバーであり、唯一のスポンサーであった有馬晶子さん(実態は父の有馬純一郎さん)が会社を去ったこと。
+3.に伴って会社の営業収支は大幅に悪化し、それまで曲がりなりにも黒字を計上していたのが赤字に転じ、上場申請時点では欠損会社に転落していたこと。従って、見込キャッシュフローは大幅に減っていること。
1.~4.の状況のもとで、ホリエモンの口グセの企業価値(株価×発行済株数)が、わずか8ヶ月の間に、1,800倍(4千万円→720億円)にもなっているのです。
東証マザーズはどのような考えで、このようなインチキ会社(上場申請書類を精査すれば判ります。)の上場を許したのでしょうか。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“カタカナ語やたら多いねホリエモン” -米子、浮々。

 

(毎日新聞:平成17年4月23日号より)

(ケムに巻くにはこれに限ると-ベンチャー風サギ師読本。)

 

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