修正申告の落とし穴-号外2-暗闇の通告処分の実例

 平成25年12月××日、大野望査察官(東京国税局査察部査察第25部門主査)は、野口淳平査察官と共に、嫌疑者自宅に赴いて、査察調査の結果説明を行なった。その時のICレコ-ダ-による録音記録の反訳文を公表する。大野望主査は、代理人税理士である私(山根治)がいないことをいいことに、言いたい放題である。嘘八百を連発し、『暗闇の通告処分』である修正申告の慫慂を行った。

 

***査察調査の結果説明
-平成25(2013)年12月××日13時30分より 嫌疑者M自宅にて
-国税側/大野望、野口淳平
-相続人側/4人の相続人(M.K.A.B.)

 大野主査による調査結果の報告。
 資料の説明、最初に2枚目の注意書きの説明。
 それから一枚目の金額の説明。(しばらく続く)
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大野 今説明した金額で皆さんの所に更正を打つと考えています(山根注。嘘である。査察調査に基づいて「更正を打つ」ことは許されていない。)
 更正を打つ事によって皆さんにものすごく不利益が生じるのは、分割財産と言う形になっていれば配偶者控除等が使えるのですが、更正の場合はその条件が満たされていないので控除が出来ません。(山根注。嘘である。更正で不利益になることはない。更正を予期した修正申告の場合、配偶者控除が使えない。)新たに発生した3億1千万は控除が引けずに、そのまま課税の対象になるとお考えください。あと重加算税もかかる形となります。(山根注。重加算税をかけることは所轄税務署長の専権事項。査察官にその権限はない。)

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大野 これで、更正処分を打つということになります。(山根注。嘘である。査察調査に基づいて「更正を打つ」ことは許されていない。)もし計算の誤りがあれば課税部の方で訂正が入るのですが、今の段階ではそういう話は来ていないので、この調査結果で税金を計算する事になると思います。(山根注。修正申告の慫慂ではない、修正申告の意思確認だと言いながら、大野望査察官の説明は「慫慂」そのものである。違法である。)

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大野 僕らは修正申告しませんかではなくて、する予定でいますか?という質問になります。課税部というか権限がある所は出してくださいと要請します。僕らはそういう権限が無いので出してくださいとは言えません。ただどうされますか?というのは聞きますけどね。出さない予定ですよね?だされますぅ(猫撫で声になる)?(山根注。修正申告の慫慂ではない、修正申告の意思確認だと言いながら、大野望査察官の説明は「慫慂」そのものである。違法である。)
相続人M 山根先生にお任せしてますので
大野 先生にお任せしてて、先生の意向に沿うという事ならば出すという事は有り得ないですから-。先生のお考えでは修正申告を出すと脱税が成立するというお考えで、出さなければ脱税は成立しないとおっしゃっているのだけれど、申し訳ないけどそれは法律の解釈の誤りなので。(山根注。嘘である。「修正申告を出すと脱税(要件)が成立する」「出さなければ脱税は成立しない」というのは、「法律の解釈」ではなく、「法律の規定」である。)我々は今調査結果を説明した通り、それなりの金額なので一応予定としては地検の方に告発する予定でございます。今後、ある程度の日数がたてば皆さんに今度検事さんから来てくださいとお呼びがかかるかと思います。(山根注。大野主査は告発する予定であると申し向けて脅しているが、この段階での脱漏税額は単なる見込みにすぎない。しかも、課税権限のない査察が行った「見込脱漏額」であるにすぎず、「税を免れたこと」という脱税の犯罪構成要件とはなりえない。単に疑わしいというだけで告発することを意味し、検察にも課税権限はないから、仮に起訴された場合には、犯罪の構成要件(訴因)を欠いた起訴ということになる。過去の脱税裁判で、修正申告がなされていない場合は全て、「見込脱漏額」をもって公訴に及び、「見込脱漏額」をもって有罪の判決がなされている。もちろん誤りである。)

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相続人K 脱税になるとは思っていなかったんですが
大野 そこはそこで説明してください。お気持ちを言うのは構いませんが、そこはなんでしょうね世の中の流れで、普通一般の人たちが考えている考えにのっとって言っていただいた方が良いでしょう。ご自分の気持ち「私はこう思っている」というのが、いわゆる普通の人たちに通用するなら別に構いませんけど、その人だけが勝手に思って私はこうしないとやだというのは余り言わない方が良いと思います。そういのうのは良しとしてくれる訳ではない。検事さんがね(山根注。脱税ではないと検事の前では言い張らないほうがいいと忠告しているが、虚偽の自白の示唆である。)
 お気持ちを言うのは構いませんよ。ただ本当の事を判断するのは、話を聞いた検事さんですからKさんが思っている本当の事と、検事さんが思う本当の事がもしかしたら食い違うかもしれないそこの部分はしょうがないでしょう。(山根注。嘘である。検事に「本当の事」を判断する権限もなければ、判断する能力もない。検事に与えられているのは、犯則事実の有無の判断だけである。)

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大野 告発の予定でいますので、申し訳ないですがお預りしたものはそのまま東京地検に移送されます。割引債とか預金に関してもお返しするものは今のところ予定はありません。地検が終わらないと皆さんの所には戻ってきません。
 修正申告を途中で出されるのならば、納税資金が必要と言うことならば、地検に移送後はそちらにご連絡下さい。もしそういう連絡が来る前にその前に何らかの形でやり直しをされるのならば我々の方にご連絡いただければ対応させて頂きます。(山根注。割引債の現物、預金証書の押収は違法である。税の徴収を確保するための措置であり、相続税の査察調査では認められれていない。修正申告のために納税資金が必要であれば、返却すると言っていることは、修正申告をしない限り返却しないことを意味し、割引債、預金証書を“人質”(担保物)として修正申告を迫っている。)

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大野 あと裁判上ね、過去の昔、相続税でこういう形で異議申立で裁判になった場合、どういう取り扱いになるかはもう習慣的、慣習的に決まっているわけですよ。何らかの変更があればその時に贈与を受けたんだろうという追認ができるんですが、申告もしていないし贈与の契約書も結んでいないし、お父様の遺言書もある訳ではないし、印鑑変えるとか自分の銀行に移し替えるとか一切されていない。そうすると相続までずっとお父様が保管されていたと思われてもしょうがないんですよ。そこの部分、「受けたんですよ受けたんですよ」とおっしゃるけど、所詮口でしょ。口では説得できないから--
 で、そういう場合ではどういう扱いになるかというと、裁判なんかでは昔のやつをみていただければ分るんですけど相続財産に含めるべきだと裁判官は判断されて、そういう判例があるので我々は判例にのっとって動いています。だから変な話、こうなんですよと訴えたとしても多分僕らのところは負けない。裁判上は負けない。負ける事は無いということで判断しているので加算する事にしています。言っていただくのは構わない。(山根注。大野主査の説明は誤りである。過去の贈与の有無について、申告がなされていないこと、契約書がないこと、遺言書がないことなどを論(あげつら)って贈与を否定し、相続財産に組み込むのは当然のごとく申し向けているが誤りである。相続財産の認定に、勝手なことを持ち出して推定していることになるからだ。更には、相続財産の認定について、過去の判例を持ち出しているが、この判例は架空名義、借名、無記名の預金が横行した時代の遺物で、現在では適用できない。加えて、相続財産(課税標準)の認定は、課税権を有する税務署長(あるいはその当該職員)の専権事項である。査察官の調査では、相続財産の認定はできないし、してはいけない。)

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相続人M これでお二人から連絡が来る事はとりあえずないんですか
大野 とりあえず予定はないです。何かありましたら、もしかしたら連絡するかもしれませんけど。我々の調査としてはこれで第一段階としては終了ということになります。もし修正申告なんなりでお考えが変わるようであればそこはちょっと早めにご連絡下さい。その場合にはまたお話ししなければならない。(山根注。大野主査は異常なほどに修正申告にこだわり、なんとか修正申告させようとしている。もちろん違法である。)

以上

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