山根治

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100年に1度のチャンス -23

 そこで日本を代表する優良企業とされてきたトヨタ自動車の真実の姿を炙(あぶ)り出してみることにしました。  例によって、過去5年分の有価証券報告書をネットから引っ張り出してザッとナナメ読みしてみました。ナナメ読みというのは、有価証券報告書の要点だけを拾い読みすることで、一期分(トヨタの平成20年3月期であればA4版で168ページです)について10分もあれば十分です。5期分で1時間弱。尚、このように […]

100年に1度のチャンス -22

 前回述べた、『経済成長神話は幻(まぼろし)である』という命題(めいだい、一つの判断の内容を、整った言葉で表わしたもの、-新明解国語辞典)が思い浮かび、それが正しいと確信するに至ったのは、トヨタ自動車と日産自動車の経営分析をした結果、想定外の結論に達したことからでした。  私が分析の対象としたのは、2つの会社ともに、昨年の9月のリーマン・ブラザーズの破綻以前、つまり、金融危機が表面化する前の、平成 […]

100年に1度のチャンス -21

 先に挙げた4つのキーワード、 +工業立国 +貿易立国 +大量消費 +食料輸入 の外に、日本社会において当然のように考えられている大前提として経済成長があります。  このところ、日本経済新聞のような経済紙だけでなく、一般紙においても経済マターは一面に取り上げられることが多くなってきました。ことに、昨年12月時点のGDP速報値(四半期)が、年率にして12.7%と、石油ショックの時以来35年ぶりに2桁 […]

100年に1度のチャンス -号外2

 今から50年ほど前、GDPの問題点について鋭く指摘したジャーナリストがいました。朝日新聞の論説主幹として健筆を揮(ふる)った笠信太郎(りゅう しんたろう)氏です。戦後の高度成長期に突入していた日本経済の危(あや)うさを、落語の“花見酒”にたとえて「花見酒の経済」と評し、その破綻を警告した論客として有名です。お亡くなりになってから40年、極めて分かり易い語り口で、他からの借りものではない自らの言葉 […]

100年に1度のチャンス -20

 次に3.の大量消費について。  第二次大戦が終ってから、日本は、政治・経済だけでなく生活全般にわたって覇権国家アメリカに依存し、アメリカ人のライフスタイルを進んで取り入れるようになりました。中でも、日本社会に染(し)み付くまでになった悪弊は、モノを大切に扱わない「使い捨て」のスタイルです。 もともと、日本には米粒一つも疎(おろそ)かにしない食文化があり、使い古したものを大切に扱うリサイクルの文化 […]

100年に1度のチャンス -19

 前回示した4つのキーワード、 +工業立国 +貿易立国 +大量消費 +食料輸入 について、一つずつ吟味していきます。  まず、1.の工業立国について。  この20年来、日本の工場は低いコストを求めて中国、ベトナム、インドネシア、ミャンマーなどの発展途上国へと向っていきました。いきおい日本国内における工場地帯は空洞化し、なかでも地方の空洞化が目立つようになりました。空洞化を埋めるために各地方は、工場 […]

100年に1度のチャンス -18

 これまで17回にわたって長々と、「100年に1度の危機」なるものの実態について分析してきました。その結果、 +「100年に1度の危機」は、為(ため)にする(ためにする。自分に都合の良いように事を運ぼうとしたり、相手を攪乱させようと思ったりするような下心を持って、それを行う。-新明解国語辞典)キャッチフレーズにすぎないもので、大げさに騒ぐほどのことではないこと、 +現時点で表面化している各方面のト […]

100年に1度のチャンス -17

 前回述べましたように、現在用いられているGDPそのものが極めていいかげんなシロモノで、一国の経済実態を必ずしも正確には反映していない、それどころか誤ったメッセージを発する困ったシロモノなのですが、一歩譲って、経済指標として信頼に足るものと仮定して話を進めます。  実体経済を論ずるとき必ずと言っていいほど持ち出されるのがGDP(国内総生産)であり、その伸び率である経済成長率です。つまり、GDPがプ […]

100年に1度のチャンス -16

『日本の今年の経済成長はマイナスに転落する、しかも最悪で2%のマイナスになるおそれがある、大変なことになった』 - エコノミストを自任している人達の多くは口を揃えて警告を発しています。この人達の言っていることは果して本当なのでしょうか。吟味してみることにいたします。  まず、経済成長がマイナスに転ずることについては、その意味するところが世界的に用いられているGDP(国内総生産)がマイナスになるとい […]

100年に1度のチャンス -15

 日本の実体経済までが危機に陥る、あるいは、日本も世界的な大恐慌に巻き込まれる、といった実(まこと)しやかな議論がなされています。年が改まったら落ち着くどころか、かえって盛んになってきたようです。『あのトヨタ自動車までも前期までは2兆円を超える利益(平成20年3月期、税引前当期利益2兆4千億円)を稼いでいたのに、一転して500億円もの赤字見通しになったではないか。自動車関連業界は裾野が広く、日本の […]

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