「誰が小沢一郎を殺すのか?」-⑨

 TKC会員である税理士事務所の顧客(納税者)は、あるいは次のようなことを考えているかもしれない。「TKCの傘のもとにいれば安心だ。税務署との関係が良好で、トラブルが生ずることはない。税務署に顔が利(き)くからだ。税務調査があっても、毎月巡回監査をしてもらっているから安心だ。その上に、たくさんの経営データを提供してくれる。計数管理をして黒字経営になるように指導までしてくれる。」

 ここには三つの幻想がある。

 一つは、税務署と仲良くやっていることについての幻想だ。どのように理不尽なことであろうとも、税務署の言う通りに従っていれば税務署との間でトラブルが生じないのは当然のことである。それを、税務当局に“顔が利く”からだなどと考えるのは単なる幻想にすぎない。
 税務の世界には法律の他に、おびただしい数の通達とか取扱いがあり、判例が存在する。それらが全て正しいものであると思ったら大間違いである。逆に、かなり多くの不当な通達とか判例があるのは紛れもない事実だ。
 その上、税務行政に携わる税務職員が問題だ。とりわけ納税者と直接接触する税務調査を行う税務職員がデタラメである。当ブログでたびたび、査察官(料調を含む)のデタラメぶりを具体的に指摘してきた通りである。
 査察以外の通常の税務調査の場合も同様だ。『間違いだらけの税務調査』を公表して、納税者の注意を喚起してきたところだ。納税者に対して、犯罪行為に匹敵することを平然と仕向けてくる税務職員、このような悪魔の手先と仲良くやっていくことがどのようなことを意味するのか、言わずもがなのことである。

 二つは、巡回監査についての幻想である。
 飯塚氏は、昭和24年に「巡回監査」なることを思いつき、飯塚会計事務所は「巡回監査報告書」なるものを内部で作成してきたと言う。
 クライアントとしては、毎月あるいは決算期末にキッチリと手間ヒマかけて「巡回監査」を受け、「証明書」を出してもらっているから安心だと思っているらしい。しかしそれは幻想である。
 この「巡回監査」については、『不撓不屈』のP.161以下に詳述されているが、飯塚氏が勝手に思いついた一人よがりのものだ。監査とは似ても似つかぬ噴飯ものであり、監査の名に値するものではない。
 このような「巡回監査」によって、どのような証明書を交付してもらっても、単なる気休め以上のものではない。

 三つは、経営指導についての幻想である。
 そもそも会計事務所が経営指導をする場合、気をつけなければいけないことがある。会計数字そのものが、いくつかの仮定の上でできている、いわば“仮定の産物”であるからだ。
 つまり、生の会計数字とそれによって算出される経営指標は、必ずしも経営実体を表すものではないということだ。
 経営実体を正確に見きわめるためには、それなりの加工修正が必要である。私が10年前に発見した「認知会計」(「会計工学ことはじめ」参照)の手法は、一つの有効な加工修正の手法であるが、TKCの経営指標ではそのような工夫がなされていない。
 経営実体からかけ離れた経営指標をもとに会社経営をやっていくとすれば、会社は破綻の道を歩むことになりかねない。
 TKC全国会は、TVコマーシャルで、

「黒字経営は私達におまかせ下さい」

などと胸を張っていたが嘘八百である。元来そのようなことは、TKCの会員事務所ならずともどの会計事務所でもできることではない。職業会計人として口が裂けても言ってはいけないことだ。ましてや、TKCの経営指標をもとに経営指導が行われているとすれば、当るも八卦、当らぬも八卦の域を出るものではない。
 明らかに偽りの宣伝であり、商売のための厚顔無恥な誇大広告だ。大道香具師(やし)の切口上と変るところがない。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“お値段を叶姉妹はよく話す” -湖西、宮司孝男

 

(毎日新聞、平成26年5月24日付、仲畑流万能川柳より)

(お金お金の世の中で、人の情(なさけ)を頼りにと身すぎ世すぎの遊女(うかれめ)か。
“アタシャ遊女、頭(ず)が高い。おそれおおくも「君が代」(「認知会計からのつぶやき5 -政治・経済・歴史を認知会計の視座から見つめ直す-」参照)は、客(ぬし)をもてなす歌じゃもの。”)

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