クレーマー・橋下徹氏の本性-④

 大阪国税局に端を発する、特定団体に対する税の優遇措置。国税当局が法律にもとづかないで、恣意的に一部の納税者に対して行なった違法な免税措置とは何か。その具体的な内容とは何か。

 前回示した時系列表の1.の「7項目の確認事項」と4.の「新7項目の確認事項」がそれである。1.と4.は概ね同じような内容であるので、ここでは、同和対策事業特例措置法が施行された後になされた4.の「新7項目の確認事項」を摘示することにする。

 「新7項目の確認事項」(昭和53年11月、大阪国税局と大阪府部落解放企業連合会(以下、企業連という。巷間、大企連と呼び慣わされている。)との間で結ばれた秘密協定。昭和55年2月、国税庁長官が追認。)
+国税局として同和対策審議会答申を尊重し同和対策基本法の立法化に努める。
+租税特別措置法の中に同和対策控除の必要性を認め、それまでの措置として局長権限に依る内部通達によってこれに当る。
+企業連が指導し、企業連を窓口として提出される青、白、自主申告について全面的にこれを認める。調査の必要がある場合には企業連を通じ、企業連と協力して調査をする。
+同和対策事業に対しては課税対象としない。
+国税局同対室を更に充実強化する。各署の同和対策の窓口は総務課長とする。
+国税局に於て同和問題研修会を行ふこと、この際府同対室、企業連と相談して行ふ。
+悪質な差別事件の増発状況に鑑み、国民の理解を深めるため、その啓発活動の増進に努める。
 上記の7項目の中に、とりわけ目を疑うような項目が3つある。2.3.4.の3項目だ。

 2.と4.は大阪国税局の局長権限で免税措置をするというもので、単に法律違反であるにとどまらず、憲法84条の租税法律主義に違反するおそれがあるものだ。このようなことは立法府の権限に属することであって、行政府の裁量でできることではない。
 但し、この2.と4.については、平成14年に同和対策事業そのものが終了しているので、それ以降は関係がないことになる。

 3.は、部落解放同盟の別動隊である企業連を窓口として税務申告書を提出すれば、納税者に対して税務調査をしないというものだ。どんなに利益がでていようがお構いなし、好き勝手にしてもよいというのである。このようなことを大阪国税局長の権限で容認したのである。
 もちろんこれは同和対策事業に限ったことではない。企業連のメンバーでありさえすれば、同和関係者でなくとも、しかもどのような事業をしていても構わないというのである。
 企業連は、税務調査を受けた、同和関係者ではない一般の納税者からの依頼も引き受けていた。このような連中を急遽メンバーに仕立て上げ、税務調査に介入し、税金のモミ消しをしたのである。その際、企業連は会費収入だけでなく、税金のモミ消し料をしっかりと徴収している。いわば脱税請負業である。特定政党の一部の政治家が中心になって、自らの懐を肥やしたり、政治活動資金などに充てたりしたのである。
 これまで、政権政党の政治家を中心に、公共事業の3~5%のピンハネ(“天の声”)がなされてきたことは公然の秘密であったが、野党政治家もしっかりと裏稼業で金を稼いでいたのである。

 以上が、大阪国税局と部落解放同盟が行なった税金のチョロマカシの実態だ。
 橋下徹氏の身内の人達が、このようなチョロマカシに加担していたかどうかは定かではない。また、弁護士・税理士としての橋下氏自身についても同様、定かではない。
 しかし、大阪という特定地域で、特定の集団が国家を捲き込んだ違法行為を長年にわたって繰り返したことは厳然たる事実である。従って、このような悪辣な集団とのかかわりがあったのか、なかったのかを明らかにすること、即ち、橋下氏自身の経歴だけでなく、彼を育てた家庭環境、地域社会環境を明らかにすることは、橋下徹氏の考え方なり、人格形成を考えていく上で必要かつ不可欠のことである。
 佐野眞一氏が指摘したのは、橋下徹氏の「敵対者を絶対認めない非寛容な人格」であった。このような特異な性向は、まさに、被害者意識にこりかたまった部落解放同盟が国税当局を恫喝して違法な横車を押し通したことの中に端的に顕れている。橋下徹氏がこのような団体から、直接的又は間接的にどのような影響を受けたのか、軽々しく判断をすることはできないが、少なくとも検証する必要があるということだ。むしろ、国政に出て総理を目指そうというからには、このようなトンデモない団体とのかかわりの有無について他人に指摘される前に自ら弁明すべきことではないか。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“政局で 食ってる政治 アナリスト” -仙台、伊藤俊雄

 

(毎日新聞、平成24年11月1日付、仲畑流万能川柳より)

(政治評論家と政治アナリスト、何がどう違うのか分からないが、共に政局を追うだけで政策音痴。)

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