疑惑のフジテレビ -9

上場会社に対して現在行なわれている会計士監査は、企業の内部統制システムが十分に機能していることを前提として、試査(精査に対するもので、全体が妥当であると判断できる程度に、一部を抜き取って調査をすることです)に基づいて行なわれています。会社の取引の全てをチェックする訳ではないのです。

一般に、抜き取り検査というものがあります。試査は、必ずしもこれと同じものではありませんが、この抜き取り検査をイメージしてみたらいいでしょう。一部だけ抜き取って調べる点では同じですから。

試査。

これは会社の内部統制システムがしっかりと定められ、現実に有効に機能していることが大前提であり、試査をするのに必要不可欠とされています。組織としての会社に対する信頼性が、担保になっているのです。
ところがライブドアの場合はどうでしょうか。以前に確認しましたように、コーポレートガバナンス(企業統治)の観点から、堀江貴文という特異なキャラクターを持った人物の一存で会社の全てのことが決定できる体制であったことが、デューデリを開始するまでの段階で一般にも知られていました。
内部統制(インターナル・コントロール)は、コーポレート・ガバナンスの重要な要素ですから、ライブドアの内部統制は形だけのものであり、実際にはほとんど機能していなかったと考えていいでしょう。

内部統制システムが十分に働いていないおそれがある。

この事実は、ライブドアの会計監査人であった神奈川監査法人(現港陽監査法人)の監査報告書の信用性に関連いたします。この監査法人は、上場時を含めて、上場後の5期にわたるライブドアの財務諸表について、全て「適正」の意見を表明しているのですが、デューデリを実施する以前の段階で、すでに信用性に欠ける可能性があると判断できるのです。
会計士監査は試査を原則とし、その試査は会社の内部統制が十分に働いていることが前提となるのですが、ライブドアには、コーポレート・ガバナンス、ひいては内部統制システムがなきに等しいと推測されるからです。

これは、有価証券報告書に添付されている監査報告書が必ずしも信頼できるものではないことを意味します。試査とか内部統制は、会計士監査の基本ですので、当然のことながら、デューデリを引き受けた監査法人も、監査報告書が必ずしも信頼に値するものではないことを十分に知っていたことになります。

以上をまとめてみますと、-

デューデリを引き受けた監査法人は、ライブドアが“無頼者”の経営する会社であり、形の上では大企業ではあるものの、その実態はワンマン経営の中小零細企業であり、従来の会計士が付している監査証明は虚偽の疑いがあることを、デューデリを引き受けた時点、あるいはデューデリを始めた直後にすでに十分に知っていたことになるのです。

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ここで一句。

“ニセ医者の8年医療ミスがない” -東京、ぴーたーらびっと。

 

(毎日新聞:平成18年2月25日号より)

(ニセ医者のほうがマシ? 資格などは持っていても、“ナンチャッテ専門家”が横行。医師、弁護士、会計士、税理士、大学教授、著名ジャーナリスト-数え上げたらキリがありません。)

 

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