ホリエモンの錬金術 -17

前回私は、ホリエモンの錬金術のカラクリ、つまり、ホリエモンの莫大な資産とされている持株の価値増殖のメカニズムを明らかにしました。

それは、単価の低いものに、単価の高いものを加えていき、ゴチャまぜにして単純に平均すれば、当初の単価の低いものの評価が自動的にアップするというだけのことで、私は仮に、「平均原価法による富の移転」と名づけました。

そこでこのゴマカシの富の移転の構図を念頭において、絵図師(えずし)ホリエモンの想定している究極の絵図(えず)を“想定”してみます。

堀江さんは、ライブドアという会社をどんどん大きくしてきました。しかし、利益を伴った事業が拡大してきた訳ではありません。やみくもに買収とか合併を繰り返して、連結決算の上からはいかにも急成長している企業グループのように見せかけているだけです。
このような急成長企業という装いをした上で行なってきたのが、カタギの企業人であれば思いつくことはあっても、実際には行なわないような公募増資等でした。株式市場から現時点までにかき集めたのが、1,700億円程の金です。
この1,700億円の内訳を改めて見てみますと、

1.第三者割当増資
a.平成11年9月 … 6億円
b.平成17年5月 … 440億円
2.公募増資
a.平成12年4月 … 56億円
b.平成15年10月 … 48億円
c.平成16年4月 … 358億円
3.MSCBの発行
a.平成17年2月 … 800億円

と、どれ一つとしてカタギの会社であるならば、たとえ思いついたとしても実行に移すことをためらってしまうような資金調達方法によるものです。
このような、いわばイカガワシイ方法で調達した資金が、ホリエモンの富の源泉となっているのです。

お金に色目はないと言われます。どのような手段で手に入れたお金であっても、一応は通用するからです。
しかし、一方で、色のついたお金とか、汚れたお金(ダーティ・マネー)という言葉もあります。盗んだり、騙したり、あるいは麻薬の取引をしたり、売春婦のピンハネをしたりといった犯罪行為によって得たお金のことです。
あるいは、犯罪行為ではないまでも、人の弱みとか無知につけ込んであくどい金儲けに走る高利貸しのお金なども、広い意味ではダーティ・マネーということがあります。
犯罪行為によって得たお金は、カタギの世界ではまともには通用しませんので、お金の洗浄(マネー・ロンダリング)が行われることがあります。闇の資金を表舞台にデビューさせるのです。勿論、マネー・ロンダリング自体、犯罪行為であることは言うまでもありません。

堀江さんの主な資産はライブドアの株式220百万株です。340円の株価で計算すると、748億円、清算価額で計算すると369億円(「ホリエモンの錬金術-16 表3」)となり、いずれにせよ莫大な資産です。
この資産は、既に詳しく述べてきたように、堀江さんが様々な手段を駆使し、株式市場を騙して創り上げたものです。
このように考えれば、彼の資産は、少なくとも広い意味では“汚れた”資産であると言っていいでしょう。ダーティ・マネーならぬダーティ・シェア(汚れた株式)といったところです。
堀江さんの数々のいかがわしい行為が犯罪行為として訴追され立件されるかどうか判りません。又、ライブドアという会社が今後どのようになっていくのか私には判りません。私にはどうでもいいことです。
いずれにせよ、堀江さんの持株がダーティであり、汚れているのが気になるならば、洗浄してクリーンにすることを考えるかもしれません。
その際、株式市場で普通に売り抜けてクリーンにすることは難しいでしょう。
ではどうするか。
方法は二つあります。

一つは、TOBなどによってライブドアが誰かに買収されることです。この春のフジテレビとの空騒ぎの最中に、堀江さんが冗談半分に、「誰か会社を買収してくれないかなあ」と言っていたようですが、冗談ではなく本心かもしれませんね。
買収された場合には、現在の株価に対応する700億円前後の資金、もしくはそれに相当するカタギの会社の株式が堀江さんの手許に残ります。
二つは、上場廃止など何らかの理由によって会社が解散に追い込まれることです。
この場合には、清算価額に対応する300億円前後の資金が彼の手許に残ります。

絵図師ホリエモンの描いている絵図の行きつくところは、案外こんなところではないでしょうか。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“流行語今年はキマリ想定内” -四街道、大日去来。

 

(毎日新聞:平成17年5月1日号より)

(想定内。コドモが負け惜しみに口にするセリフ、「そんなこと、ボク、知ってたもん!!」)

 

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