ホリエモンの錬金術 -2

私の好きなテレビ番組の一つに、「恋のから騒ぎ」があります。さんまさんの絶妙なトークには、見るたびに笑いころげています。トークの天才なのでしょうね。

「恋のから騒ぎ」(Much ado about love)はシェイクスピアのドタバタ劇である「から騒ぎ」(Much ado about nothing)からネーミングを借りたものでしょう。
今回のホリエモンの一連の買収劇を見ていますと、まさに「から騒ぎ」以外の何ものでもありません。さしずめ、「マネー・ゲームのから騒ぎ」(Much ado about empty money)といったところでしょうか。
それにしても、各テレビ局には有識者と称していろいろな人が出てきては、いかにももっともらしいことを喋っていますね。
テレビに顔を出してはコメントしている大学教授、証券マン、証券アナリスト等、この人達は株とか企業の実態を本当にご存知なのでしょうか。疑問ですね。
マスコミのこのから騒ぎについてのとらえ方もピントが外れているようです。
たとえば、旧体制と新興勢力とのせめぎ合いととらえている向きもありますが、なに、日本の超優良企業グループ(フジ・サンケイグループ)に対して、ホリエモン率いるインチキ虚業集団(ライブドアとその関連企業)が、ハゲタカ・ファンド(リーマンブラザーズ)の手先となって、仁義なきケンカを仕掛け、一般投資家とフジ・サンケイグループを食い物にしようとしているだけのことです。
フジ・サンケイグループ側の対応もあまり芸がありませんね。ホリエモンも、リーマンブラザーズも、単なるゴマのハエなのですから、ハエたたきでも用意すれば十分でしょう。
ホリエモンは、口を開けばなんだかの一つ覚えのように、企業価値、企業価値と繰り返しています。オウムじゃあるまいし。
ホリエモンは、会社経営の基本は企業価値を高めることだ、というのですが、これについては全く異論はありません。ご説ごもっともです。
ところが彼の言っている企業価値とは、いったいなんでしょうか。どうやら株式時価総額と言われているものらしいのです。
株式時価総額とは、株価に発行済株式総数を掛けた金額のことですから、ホリエモンがあちこちで「ライブドアの企業価値は2,000億円」と臆面もなく喋っているのは、この株式時価総額のことだと判ります。
なるほど、ライブドアの株価を330円とすれば、発行済株式総数が606,338千株(平成16年9月30日現在)ですので、ピッタリ2,000億円という計算にはなります。
しかし、ここには大きなトリックがあり、ごまかしがあるのです。それは、企業価値イコール株式時価総額としていることで、この2つは似て非なるものなのです。このすり替えこそ、ホリエモン・マジックの中核となるものです。
この点では、ホリエモンだけでなく、現在マスコミを通してコメントしている有識者と言われている人のほとんど全てが間違っています。
私が目にした範囲で、時価総額のトリックを鋭く指摘しているのは、

●新規参入審査に落選したライブドアの『企業体質』「ライブドア落選、当然の理由」 -ALL About 2004/11/02
http://allabout.co.jp/sports/baseball/closeup/CU20041102C/

の記事と、一橋大学の伊丹敬之教授の

●ワールドコム事件と株式市場中心経営の弱点 -プレジデント、2002年8.12号
http://www.president.co.jp/pre/20020812/02.html

の記事、この2つだけです。 (つづく)

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“さんまさんホリエモンで盛り上がり” -アホウ松の逸笑。

(「恋のから騒ぎ」のゲストにホリエモンが呼ばれるとしたら、から騒ぎがダブルになったりして。)

 

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