税務署なんか恐くない!-8

***8.税務調査の立会い-税理士の役割

 税務調査の立会いにおいて、税理士が果たすべき役割は何か。その役目は何か。

 大きくいって2つ。一つは事実認定であり、今一つは法的判断である。つまり、税務調査の現場では、事実認定を前提として、法的判断がなされるわけであるが、立会いをする職業会計人の役割は、税務署の事実認定と法的判断が正しいかどうかをチェックすることだ。



 一般論として言えば、正しい事実認定がなされているのであれば、法的判断、即ち、税法に適合しているか否かの判断はさほど難しいものではない。税法の解釈について税務署側との間で争いが起ることはほとんどないからだ。ところが現実にはトラブルが頻発している。前提となるべき事実認定がいいかげんになされることが極めて多いからだ。法的判断に入る前の前提が誤っているのである。

 しかも、うっかり誤ってしまった(過失)といった生易しいものではない。税務職員達が勝手に描いた脱税ストーリーに合せるように事実認定をしているケースが少なからず見受けられるのである。事実の歪曲だ。

 あるいは、関係者を脅したりすかしたりして事実に反する供述を引き出して虚偽の事実を創り上げることなど日常茶飯事だ。事実の捏造である。こうなればれっきとした犯罪だ。(冤罪を創る人々「基本構図の崩壊 ― 自滅」参照)

 税務職員は国家公務員である。日本国憲法は、第15条第2項で

「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」

と定め、公務員を国民全体の奉仕者として位置づけている。
 そのような立場の税務職員が納税者(国民)に対して不当あるいは犯罪行為をしかける。奉仕者どころの騒ぎではない。国家権力を背景にしているだけに組織暴力団よりも悪質だ。

 先般の国会で、仙石官房長官が、

「自衛隊は暴力装置」

と発言して物議をかもし、謝罪させられる一幕があった。例によって無定見なマスコミは仙石氏を一斉に非難し、大騒ぎを演じた。
 しかし、自衛隊が暴力装置であることは客観的な事実だ。ピストルからロケット砲にいたる各種の銃器だけでなく、戦闘機とか事実上の戦艦を保有し、常日頃実践訓練をしているからだ。
 同じように、国税も検察も暴力装置である(冤罪を創る人々「権力としてのマルサ-暴力装置の実態」、「権力としての検察-暴力装置の実態」))。国民の基本的人権と財産権とを強制的に制限したり剥奪する権限を持っているからだ。
 これらは、いわば法律で認められた暴力装置である。法律で認められているとはいえ、暴力装置であることにかわりはない。従って、暴力としての権限とか権力を行使する立場にある公務員は、慎重の上も慎重に対処すべきことが求められる。当然のことである。
 ところが、どこかの国の軍隊のように、世界各地で戦争をしかけてはゲーム感覚で平然と人を殺したり、我が国の検察のように、人を人として扱わず、罪なき人を逮捕しては、証拠を捏造して罪人に仕立て上げるようなことをしてしまうのである(「何を今さら」参照)。徴税権力についていえば、納税者を脅したりすかしたりして余計な税金を取り立てたり、不正ではないのに不正の認定をして脱税者の烙印を押したりする。このようなことが平気でできるのは、権力の行使についての基本認識が欠けているからだ。

 国税当局が徴税権力を行使するのは、主に税務調査においてである。現在の税務調査の現場は、チェック・システムを欠いた無法地帯だ。納税者の正当な権利が踏みにじられ、国民の奉仕者であるべき公務員としての税務職員が、法の範囲を越えた権限をふりかざして、好き勝手なことをしては、納税者に襲い掛かるのである。
 暴力装置としての徴税権力をチェックできるのは税理士以外にはない。税理士が十分な責任を果たすためには、税務調査の現場で、納税者の代理人として税務当局と対峙し、不当な調査、ことに不当な事実認定を排除することが必要不可欠である。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“大国が一流国とかぎらない” -和歌山、破夢劣徒

 

(毎日新聞、平成22年12月6日付、仲畑流万能川柳より)

(てゆうか、概ね二流国。)

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