税務署なんか恐くない!-1

***1.はじめに
 『警察は何でもないのに、税務署だけは苦手だ』
 『税務署の前を通り過ぎるのもイヤだ。鳥肌が立ってジンマシンになりそうだ。』
 『税務署からの封書は封を切るのもイヤになってしまう。疫病神からの手紙のようだ。』

 このような思いをしている納税者が思いのほか多いのは驚くばかりだ。中には、嫌いだ、あるいは憎いといったことを通り越して、 『税務署員をブッ殺せ!』などと物騒なことを言い出す御仁もいるほどである。私が実際に体験したところでは、ある国税局の資料調査課に襲われた納税者が怒り心頭に発し、車のトランクに日本刀をしのばせて、 『アイツらを叩っ切ってやる!』と息巻いていたことがあった。何人かウジ虫を殺した上で、自らも命を断つというのである。納税者の顔付きは真剣そのものであり、本当に実行しかねない雰囲気であった。

 税務署と国税局に騙されて会社をつぶされ、自らも破産に追い込まれた納税者が、抗議の遺書を懐にして東京国税局まで出向き抗議の自殺をした痛ましい事件は記憶に新しい(「ある社長の自殺」「ハニックス工業事件の真相」参照)。

 税務署が何故これほどまで憎まれたり、嫌われたりするのか。国家として必要不可欠な税収を確保するための公的機関が、何故これほどまで忌み嫌われるのか。
 私の考えるところ、納税者の立場からすると何をされるのか分らない不安と恐さが根底にあるようだ。自分達は決して間違ったことはしていないつもりなのに、なにやかやとケチをつけては税金をふんだくる。その上に、脱税だ、犯罪だと言い募っては平気で脅しあげる。税収の確保と法の厳正な執行という大義名分を振りかざして、傍若無人の振る舞いをする、いわば無法者の集団であるかのように受け止めているのである。
 そのような言い知れぬ不安と恐さがある上に、実際に税務調査が始まってみると案の定、訳の分らないことを言い立てて税金をとろうと必死になって噛み付いてくる。まるでタチの悪いカミツキ亀かガラガラ蛇のようだ。極めつきの性悪女(しょうわるおんな)顔負けである。
 いくら説明しても馬耳東風、強引に修正申告を迫ったり(これを修正申告の慫慂(しょうよう)という)、問答無用とばかりに一方的に追徴したり(これを更正という)する。商売人にとっては命に匹敵するほど大切なお金を、理不尽なやり方で強引に召し上げては平然としている。
 このような状況に置かれた納税者が、税務署に対して不信感を抱き、憎悪の念にかられるのは、当然といえば当然のことだ。

 以上のような税務署のやり方は、決して例外的なものではない。むしろ一般的に行われていることであると断言しても差し支えないほどである。ことに、強制調査である査察と査察に準ずる料調(国税局資料調査課による税務調査)にあっては顕著である。
 本稿は「脱税摘発の現場から」の続きとしての論考であり、
+税務署の恐さの原因を明らかにすると同時に、
+税務署に真正面から対峙する方策、つまり税務調査の立会いの要諦
を明らかにする。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“税務署がみやげ貰ってゆくと言う” -西宮、B型人間

 

(毎日新聞、平成22年10月12日付、仲畑流万能川柳より)

(このみやげ、暴力団のみかじめ料。)

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