冤罪の構図 -18

 私の事件をデッチ上げて立件した主任検事は、松江地方検察庁の三席(さんせき。検事正、次席に次ぐ、ナンバー・スリーということです)の藤田義清氏でした。藤田検事とは面識がないのですが、11年前に私を起訴したときに、次席の田中良検事と共に記者発表の場に出席しており、その時のテレビ映像が私の手許に残されています。逮捕されたとき、私はできる限り多くの記録をとどめておこうと考え、接見した弁護士を通じて職員に指示を出し、それぞれの職員に実際に何がなされ、何が起ったのか克明な記録をさせ、加えて、新聞、雑誌、テレビの切り抜き、録画をさせていました。

逮捕、起訴、第一回公判、判決、それぞれの時点におけるテレビ映像が、NHKだけでなく、民放各社のものが残されており、現時点では一枚のCD-ROMに編集され、おさまっています。
 起訴をした際の記者発表の席ではもっともらしい顔をしている藤田義清という人物、本件とされた巨額脱税事件の当事者の代表格である、岡島信太郎氏(仮名、組合長)を益田市まで赴(おもむ)いて逮捕し、以後、松江刑務所拘置監で尋問しています。その尋問たるや、脅しと誘導尋問のオンパレード、スサマジイの一言に尽きます(「冤罪を創る人々」、第4章 権力としての検察、6.その検察官の言行録、2.藤田義清、参照のこと)。この検事は、現在でもどこかの検察庁で被疑者を虫けらのように扱って、好き勝手な振る舞いに及んでいることでしょう。

 国民を断罪する独占的な権限を持っている検察は、どうもゲーム感覚でことにあたっているフシがあります。勝つか負けるかの丁半バクチ、しかもこの連中に関していえば負けても自分達は全く傷つかない遊びの類です。

 私と並んで、事件の真実の経緯を最もよく知る立場にあった増田博文氏(仮名、組合常務理事)を尋問したのは、長谷透検事でした。長谷検事は連日のように、大声をあげ、テーブルを叩(たた)いては恫喝(どうかつ)し、床を足で踏み鳴らして増田氏を威嚇(いかく)しました。この人物は、増田氏を睨(にら)みつけながら、せせら嗤(わら)い、次のように言い放ったといいます。-

『裁判なんて、言ってみればゲームのようなもんだ。どっちに転ぶか判らないが、裁判官も我々検察官と同じ法律専門家だ。同じ釜の飯を食った仲間だから、同じような考え方をするんだよ。ゲームと言っても、100%近い確率で我々が勝つゲームなんだ。お前が一人頑張っても、こうなったからにはどんなにあがこうが、どうしようもないだろうな。ま、蟷螂(とうろう。カマキリのことです)の斧ってところだな。』
(「冤罪を創る人々」、6.その他検察官言行録、2.長谷 透、より)

 これまで誠実一路の人生を歩んできた増田氏は、逮捕勾留と長谷検事の常軌を逸した過酷な取調べによって、体調を崩し、その挙句、胃潰瘍を発症し、平成8年7月11日、益田市内の病院で胃の全摘手術を行っています。ちなみに、増田氏は、逮捕されたものの、起訴はされていません。

 私の第一審公判をとりしきった立石英生検事について私は次のように述べています。

『立石は刑事裁判を単に勝敗のみを競うスポーツかゲームのように考えていたようである。しかも、同じスポーツでもスポーツマンシップを基本とするスポーツではなく、ゲームについても、フェアなルールにもとづいたゲームではなく、どのような不正な手段を用いてでも単に勝てばよいといった類のスポーツであり、ゲームであったようだ。』
(「冤罪を創る人々」、3.公判の現場から、2.公判検事 立石英生、より)

 冤罪であることを起訴の段階で十分に知っていながら敢えて訴追し、私を破滅に追い込もうとした検察官は、田中良藤田義清立石英生中島行博の主だった4人の検事(それぞれ、当時、松江地方検察庁次席検事、同三席検事、大阪地方検察庁堺支部検事、広島地方検察庁検事)をはじめ、名前が分かっている連中だけでも22名、誰一人として責任を問われるどころか、正当な職務を遂行しただけだとばかりに口をぬぐって現在に至るも平然として居直っています。もとより、私に対する謝罪の言葉など一切ありません。というより、この連中は私にどのようなヒドイことをしたのか、全く気が付かないほど倫理観がマヒしているのでしょうね。倫理観がマヒした検察という組織に長年身を置いていると、ヤメ検の田中森一氏のような奇怪な人物になっていくものでしょうか(“冤罪の構図-2~5”、参照のこと)。一種の職業病とでも評すべきで、だとすれば、なんとも気の毒な、可哀そうな人達と言うべきでしょうね。

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 ここで一句。

“ファッションで 選ぶ時代か 防衛相” -土佐、うるめ。

 

(毎日新聞、平成19年9月14日号より)

(この人、アメリカまで行って怪しげなジョークを飛ばしたり、辞(や)めぎわにマッカーサーを気どってみたり。しおらしく一兵卒とか言いながら、四天王よろしく天下人(てんかびと)を邪鬼扱い。(※2007/09/26 (水) 今日の爆笑画像♪。写真:[談笑する小池氏と高村氏] *ウェブ魚拓)
 そこで追句、
-このシャリは 黄変米か マダムスシ
-マダムスシ 回転寿司に 早がわり
-マダムスシ あの手この手で イロ直し
-あてはずれ I shall returnと 見得を切り
-マダムスシ 高笑いして 男食い)

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