悪徳会計屋の経済事件ノートvol.18

2005年03月31日 第18号 発行部数:402部

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悪徳会計屋の経済事件ノート

なぜ上場会社社長は国税局ロビーで壮絶なる自殺を選んだのか。
国税局OB税理士が納税者を食いものにする手口とは。
税務署とマスコミから悪徳会計士の烙印を押された
会計のプロが税金法律金融事件の深層に迫る。

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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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「マッチポンプ 3」より続く
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(4)密談

社長と税理士の密談が始まった。

「社長さん、私は今、税務署の資料を全部見せてもらいましたが、実
に克明に調べていますよ。反面調査(はんめんちょうさ。取引の相
手先を調べること)によって集めたものでしょうね。いつか社長か
ら打ち明けられた人件費の水増し、つまり架空人件費については幸
いにもまだ気がついていないようです。この人件費関連をいれると、
申告漏れは3年間で軽く5000万円は超えます。
いずれにせよ、税務署がつかんでいるだけでも3000万円、本
税の外に35%の重加算税に延滞税やら地方税を加えると2000
万円前後税金で持っていかれてしまいます。最悪の場合は、この上
に使途不明金扱いにされて、更に40%上乗せされるおそれもあり
ます。
どうでしょう、やってみなければどうなるかはわかりませんが、
一度交渉してみましょうか。重加算税の対象となるものですので、
裏交渉の形でするしかありません。幸い、さっきの調査官は私の税
務署時代の部下ですので、何とかなると思いますよ。」

B税理士からなんとかなると聞いて、D社長は藁(わら)をもつ
かむ思いで飛びついてきた。

「ただし」とB税理士が切り出した、-
「このままであったら、明らかに最低でも2000万円ほど税金でもっ
ていかれてしまいます。その上、このケースでは内容的にも重加算
税の対象となるくらいのものですから、マスコミにリークされる可
能性があります。
そうしますと、使い道のわからないお金が3000万円あるわけ
ですから、この使途について追求がなされるでしょう。そうなった
場合、工事をとるためにばら撒いたお金の中で、政治家に渡したも
のだとか、役人に渡したものについては、贈賄罪にひっかかる怖れ
もでてきます。
追求がそこまでなされないとしても、脱税がリークされただけで
も、官公庁の指名業者から外される可能性があるとみなければなり
ません。
あるいは汚職の摘発がなされないとしても、ひとたび、裏面工作
が白日の下にさらけ出されそうになれば、政治家とか役人は今後お
それをなして会社に近づかなくなるかもしれません。
いずれにせよ、表面化すれば会社にとってまずいことは明らかで、
穏便に事が収まればそれにこしたことはありません。

ものは相談なんですが、このままだと確実に2000万円ほど税
金でもっていかれます。そこで、もしうまく事態を収めて、税金を
払わなくていいようにした場合、その2分の1の1000万円を私
に預けていただけませんか。あの調査官については、近いうちに税
務署を退職して独立しますので、会社の顧問として迎えてやって下
されば結構です。私同様、なにかと役に立つと思いますよ。」

D社長は商売人として頭の中ですばやく算盤(ソロバン)をはじ
き即答した。「顧問の件と1000万円の件は了解しました。」

(次号へ続く)

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