ドロボウという名のゼロ金利政策 -(2)

家計部門から企業とか政府部門へ年間15兆円(私の推計では30兆円)ものお金が移転することを岩国さんは、ドロボウと言ったのです。

つまり、ドロボウは企業と政府であり、被害者は家計、即ち国民という訳ですね。
ゼロ金利が続いているこの10年間を振り返ってみますと、橋本龍太郎さん(1億円受け取ったのを忘れてしまったことで有名になりました)が消費税を3%から5%へアップし、小泉純一郎さんは、ちまちました増税に加えて、社会保険料をアップしたり、健康保険の本人負担を3割にアップしたり、濫診療の抑制と称してお年寄りの医療費の負担を重くしたりと、国民の負担は増える一方でした。
その上、国民が頼りにしていた年金給付額を減らしたりしています。
かつては、5千万円ほどの預金があれば、金利収入と年金とで老後の生活は安泰でした。月40万円~50万円の収入が見込めたからです。
それが現在はどうでしょうか。金利収入はゼロとなり、年金受給額も減りました。老後の月々の収入は、かつての半分どころか3分の1位に減ってしまったのです。
老年者だけでなく現役世代についても、収入の中で自由に使えるお金(これを可処分所得といいます)が大幅に減っているのですから、GDP(国民所得)が伸び悩むのは当然のことでしょう。

岩国哲人さんがゼロ金利政策をドロボウと呼び、政策転換を求めたのに対し、日銀総裁は、

『デフレスパイラルを未然に防ぐ効果があった』

とし、竹中平蔵さんは、

『家計から見ればローン負担も低下した』

として、ゼロ金利政策は間違ってはいなかったと強弁しています。

二人共どこかおかしいですね。
まず、日銀総裁。デフレ・スパイラル-景気がどんどん悪くなることですが、本当にゼロ金利政策が景気の悪化を食い止めたと言えるのでしょうか。
経営が事実上破綻し、まともには金利どころか借入金の元金さえ払うことのできない企業を温存させ救済することが、果して政策的に妥当であったと言えるでしょうか。疑問ですね。
限界状況にある企業を、いわば生命維持装置によって生かしているようなもので、デフレ防止どころかむしろ経済の活性化を妨げることによって、経済全般の足を引っ張っていることにもなりかねません。
しかも日銀の試算によってさえ、年間で15兆円ものお金が家計部門へ廻っていかないのですから尚更です。
次に竹中平蔵さん。竹中さんは、家計のローン負担が減ったのではないかと言っています。このローンというのは住宅ローンのことでしょう。
確かにローン金利は安くなりました。しかし、ローンによって購入した住宅の価額は、大幅な下落をしているものが多く、中には、ローンの残高が住宅の価額を上回っているケースさえあるようです。
取得した不動産の価額が下落している状況の中で、金利負担が多少減ったからといって一体何になるのでしょうか。将来の不安を解消するのにどれほどの効果があるでしょうか。
銀行というダミーを通じて、企業に気前よく、債務免除(元金のカット)がなされたように、個人にも債務免除でもなされれば話は別ですが。
竹中さんは、「経済というのはコインの両面。総合的に見なければいけない」と日銀総裁を援護したそうです。この人、何を言っているんでしょうね。
竹中さん、そろそろ日本に即した実際の経済の勉強をなさったらいかがでしょうか。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“メンツ捨てなぜ謝れぬミスジャッジ” -大分、春野小川

 

(毎日新聞:平成16年11月14日号より)

(竹中さんは政治家である前に、一応は経済学者なのですから、学者としての汚点を余り残さないように。)

 

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