冤罪を創る人々vol.47

2005年02月01日 第47号 発行部数:326部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
 http://www.mz-style.com/

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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態

「(イ) 自決の慫慂」より続く
http://www.mz-style.com/item/218

(ウ) 「タマリ」

1. 平成8年2月2日、私は中島に対して議論をしかけてみた。

山根:「あなた方は、脱税だといって大騒ぎしているが、仮に脱税と
 した場合、タマリは一体どこにあるんですか。」
― 「タマリ」とは、脱税によって貯えられた資産のことで、主に隠
 匿された預貯金、株式、債券あるいは貴金属をいう。

中島:「たしかに、それはそうだ。隠匿しているものはないんだから
 な。」
山根:「タマリのない脱税なんてあるんですか。」
中島:「・・・。」
山根:「それに組合が脱税したというのなら、組合は脱税したことに
 よって、どんな利益を得たというんですか。脱税をしてどんな得が
 あったというんですか。」
中島:「それはそうだが、払うべき税金が払われていないではないか。
どうなんだ。」
山根:「議論をすりかえないで欲しい。私の問いに対する答えになっ
ていない。それにあなたは払うべき税金が払われていないと言うが、
もともと払うべき税金など存在しない。全て損金で出ているか、あ
るいは償却資産となって利益は合法的に消えているからだ。」
中島:「・・・。」

2. この日は、これ以上議論は進まなかった。企業会計と税務の実
 際に接していない中島の限界だったのであろう。
  二日後の同年2月4日、私は再びタマリを持ち出した。中島は待っ
 ていましたとばかりに猛然と反論してきた。陰の指南役であるマル
 サに手とり足とり教えてもらってきたに違いない。
  熊の雄叫びは五分位続いたであろうか、私が適当に半畳を入れて
 いると次第におとなしくなっていき、10分もすると中島のいつも
 のパターン通り、熊のぬいぐるみにおさまった。中島は、なんとも
 素直で分かりやすい純真な人物であった。
  マルサ仕込みの付け焼刀が私に通用するはずがない。なにせ私は、
 商業高校一年生のときから簿記をたたきこまれ、その後、長く実務
 の世界でもまれてきた男だ。なめたら、あかんぜよ。

3. その後、何回か、思い出したように中島のほうからタマリの議
 論を持ち出してくるようになった。
  その都度、中島の議論は精緻になってはきたものの、所詮にわか
 仕込みの付け焼刀の域を出るものではなかった。
  咆哮する熊が、かわいらしい熊のぬいぐるみにヘンシンする一人
 芝居が、松江刑務所の一室で展開された。観客は、私と渡壁書記官
 の二人だけであり、中島の見事な演技に、拍手を送る観客はいなかっ
 た。

(エ) 「レバレッジド・リース」

1. 平成8年2月5日のことであった。中島は突然おかしなことを
 言い始めた。

中島:「一つ一つを見ていくと問題はないようだが、全体として見た
 場合、どうもおかしいんだよな。」
山根:「何がどうおかしいというんですか。」
中島:「経済的合理性というか、社会的規範というか、そういうもの
 で見ると全体がゆがんでいるんだ。どんなに山根が、自分は間違っ
 たことはやっていないと思っていても、法によって罰せられること
 はあるんだよ。」
山根:「もしや、あなた、実質課税の原則なんていうものを念頭にお
 いているんじゃないですか。」
中島:「ま、そういうことだ。」
山根:「冗談じゃない。そんなもの持ち出してきて脱税だ、犯罪だな
 んてやられたら、たまったもんじゃない。どうかしているんじゃな
 いですか。」
中島:「実はこんなこと被疑者に言うべきことではないんだが、うち
 の内部でもいろいろと意見があってね。」

2. 中島は、検察内部で仮装売買の線では立件できないとする意見
 が再び出てきていることを暗に匂わせたのである。
  従って、仮装売買の構成が崩れた場合にそなえて、仮に真実の取
 引であったとしても、脱税であると強弁しようとしているのは明白
 であった。

3. 私はなんとか中島を説得しようと試みた。

(続きはWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/224

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
http://consul.mz-style.com/catid/21

・日本の未来

  徳川家康が、朝廷から征夷大将軍に任じられ、江戸に幕府を開い
 たのが慶長8年(1603年)のことでした。
  この一・二年、江戸幕府開府400年の記念行事が、東京を中心
 に数多く催されたことは耳目に新しいところです。

  15代将軍慶喜が朝廷に大政奉還を決意したのが慶応3年(
 1867年)、260年余続いた徳川幕府は終止符を打ちました。
  それから130年余、日本は欧米先進国に学べとばかりに官民一
 体となって欧米諸国を目標にして突き進んできました。

  明治維新以来、欧米の近代化を理想的なものと考えるあまり、日
 本古来のものを軽視する風潮があったことは否めません。
  ことに、昭和20年(1945年)の第二次世界大戦終結後の
 60年間は、日本がアメリカの一部にでもなったかのように、ほぼ
 アメリカを受け入れ、いわば従属していた時期でした。

  新ミレニアム、経済面ではバブル経済が弾け、政治面ではいわゆ
 る55年体制という与野党馴れ合いの時代が終わりを告げてから
 10余年。
  日本は一つの袋小路に入り込んだまま、明確な指針を得ることな
 く、さまよい続けています。

  少なからぬ人々が、将来に対する漠然とした不安感に悩まされて
 いるようです。政治、経済、教育等多くの分野で綻びが生じ、ゼロ
 金利状態が象徴しているように、この国が一つの極限状態に陥って
 いるのは事実です。

  しかし、だからといって、一部の悲観論者の言うように、日本が
 破綻してしまうようなことがあるでしょうか。
  地方債を含めた国の借金が1000兆円にも達していたり、年金
 財政がおかしくなっていることから、国が今にも破産してしまうよ
 うなことを平気で煽り立てている人達がいるのですが、本当なので
 しょうか。

  過去400年のスパンで見た場合、現在以上に大変な状況は何回
 もありました。日本の国は、それらを全てうまく乗り切ってきたの
 です。日本人の柔軟性に富む知恵と勤勉な国民性の賜物でしょう。
  小泉さんの改革路線がどのようにいいかげんなものであろうとも、
 いずれ落ち着くところに到達するでしょう。基本的には何ら心配す
 ることはありません。

  1億3000万人の教育水準の高い国民、500兆円のGDP、
 高いレベルの社会的インフラ、1400兆円の個人の金融資産、こ
 の400年間に培ってきた世界的にトップレベルにある技術水準、
 更に大切なのは奈良時代以来1000年以上にわたって育んできた
 日本独特の文化、これらのものが現在ほとんど傷つけられることな
 く残っているのです。

  改めて日本の棚卸し(インベントリー)をしたうえで、冷静に考
 えてみれば、自ずから将来が見えてくるのではないでしょうか。

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

   “貧乏か金持ちなのか日本人” -大分、戸高章元
          (毎日新聞:平成16年11月15日号より)

(所得が増えることが、はたして本当に幸せをもたらすのか、疑問で
 す。GDP神話にかわるものを見つけ出すときが来たようです。)

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