冤罪を創る人々vol.41

2004年12月21日 第41号 発行部数:304部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-



    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。

    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。

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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ

 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント

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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態



「1)悪魔の証明」より続く

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2) 証拠、その改竄の軌跡



一、 真実の売買であることを立証する重要な証拠が、国税当局に嘘

 の密告をした佐原良夫の自宅からマルサの家宅捜索によって発見さ

 れ押収されたことは、前に述べたとおりである。佐原が密かに録音

 していたテープと反訳文である。 

  真実の解明のためにはその開示が必要だとする私の再三の要求に

 も拘らず、マルサの責任者であった大木洋は、一貫して隠し通した。

 自ら創り上げた虚構のシナリオが崩れるからであろう。



二、 ところが、この重要な証拠が刑事法廷には一転して提出される

 ことになった。 

  マルサとしては隠し通すことができなかったからである。

  平成6年2月8日、私はマルサの藤原孝行に私が作成した11点

 の資料を手渡し、それぞれの資料のページ数を藤原に確認させた上

 で、同人の受領印を押捺させている。

  この中に、マルサが虚偽のストーリーを押し通すために、極めて

 重要な証拠をひた隠しにした経緯を詳しく綴った「第三申述書(平

 成2年9月6日、佐原良夫が組合に出向いた件について)」(※「参

 考資料1」を参照)が含まれていた。



参考資料1 第三申述書

http://www.mz-style.com/item/160



  このとき提出した3通の申述書は、マルサでの質問顛末書にかわ

 るものであるため、当然検察に提示されており、マルサとしては証

 拠を隠そうにも隠すことができなかったものである。



三、 法廷に開示されたのは、平成8年2月23日付捜査報告書であ

 り、作成者は、松江地方検察庁検察事務官来栖修とされ、宛名は同

 地検検察官検事藤田義清となっており、次のように記されている、

  ―



             捜査報告書



  法人税法違反等 農事組合法人益田市畜産協同組合 ほか六名



  右の者らに対する頭書被疑事件について、平成五年九月三〇日光

 栄水産株式会社において広島国税局収税官吏大蔵事務官が領置した

 「9/6益田畜産テープ(マイクロカセット入袋)をダビングし、そ

 のダビングテープで録音内容を翻訳したので別添のとおり報告する。

  なお、右マイクロカセットテープは、平成二年九月六日佐原良夫

 が福山義弘方を尋(ママ)ねた時に録音していたものである。



四、 この捜査報告書に添付された反訳文は35ページに及ぶものだ。

  今の時点で改めて読み返し、仔細に検討したところ、(聴きとれ

 ません)とのコメントが付されているのが9回、(二、三分聴きと

 れません)とのコメントが付されているのが2回、更に末尾には

 (以下判読できず)とのコメントが1回記されていることが認めら

 れた。



五、 法廷に正式の開示された反訳文は、明らかに改竄されたもので

 あった。

  どこがどのように改竄されたのか、あるいは、いつの時点で誰の

 手が加えられたのか私には知る由もない。

  佐原良夫自らが手を加えたのか、あるいはマルサの段階で改変さ

 れたのか、更には検察段階で改竄されたのか定かではない。

  明確に言えるのは、法廷に提出された反訳文から重要なポイント

 がスッポリと抜け落ちていることである。

  何故このように断言できるのか。

  一つには、マルサのガサ入れ直後に、私は複数の組合員から、平

 成2年9月6日に佐原良夫が千葉からわざわざ益田まで何のために

 来たのか、詳しく聞き出していたためであり、

  二つには、その時の事情を最もよく知る立場に会った前組合長の

 福山義弘氏が、被疑者として検察官の取り調べに応じて供述した調

 書があったためである。この時作成された多くの検面調書は、当初

 法廷に証拠として開示されることがなかったものであり、弁護側の

 度かさなる強い要請を受けた裁判所が重い腰をあげて検察官に開示

 勧告をした結果、公判検事立石英生がしぶしぶながら開示するに至っ

 たことはすでに述べたとおりである。





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●山根治blog (※山根治が日々考えること)

http://consul.mz-style.com/catid/21



「西武鉄道 銀行の責任逃れ-その4」より続く

http://www.mz-style.com/item/188



・西武鉄道 銀行の責任逃れ-その5



  このところマスコミの西武鉄道グループに対するバッシングは激

 しく、なかでも、オーナーである堤義明さんに対しては、個人のプ

 ライバシーにまで踏み込んだ、行き過ぎたバッシングまでなされて

 います。凄まじいの一語に尽きますね。



  確かに、先の総会屋利益供与事件、あるいはこの度の虚偽記載事

 件は社会的に批難されても仕方のないものでしょう。しかも、グルー

 プ内で絶対的な権限を持っていたといわれる堤さんが、批難の矢面

 に立たされるのは当然のことかもしれません。

  しかし、この1ト月余りの間、西武鉄道グループに関心を持って、

 それなりに調べを進めてきた私は、どうも今一つ釈然としないので

 す。



  堤さんだけを悪者にしていいのか、何か大きな問題のすり替えが

 なされているのではないか、表面化した2つの事件は、いわばスケー

 プ・ゴートで本当の問題が巧妙に隠されているのではないか、-こ

 のような疑念が私の中に沸き起こり、日に日に膨らんでいくのです。

  私の疑念をすっきりさせ、隠されたものを明らかにするためには、

 西武鉄道グループの経営実態を改めて直視する必要があるようです。



  私は既に平成16年3月期の決算数字をもとに、コクドを含む西

 武鉄道グループは、今のままでは借入金の返済ができない状況にあ

 ること、つまり、事実上経営が破綻していることを示しました。

  このような状況は今に始まったものではないようです。一体いつ

 ごろから始まったものでしょうか。



  今までブラック・ボックスとされてきた親会社であるコクドの財

 務内容が、先日ほんのわずかですが明らかにされました。

  「堤王国の危機」と題する12ページに及ぶ特集記事(週刊ダイ

 ヤモンド、2004年11月20日号)においてです。



  この記事の中にはコクドのデータがいくつか出てきます。週刊ダ

 イヤモンドという信用あるメディアの記事であることに加え、有価

 証券報告書をはじめとして私が集めることのできた資料と照合して

 みたところでも矛盾点はありませんので、私は、そこに示されたコ

 クド関連のデータの信憑性は高いものと判断しました。

  しかも、コクドの内情を知悉している者が、もとのデータに一定

 の加工を施したり、何やらもっともらしい説明をデータに加えてい

 ることからしても、逆に生のデータがベースになっていることをう

 かがわせます。



  このような細工ができるのは一体誰でしょうか。





(続きはWebサイトにて)

http://www.mz-style.com/item/193

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