査察Gメンを犯罪人として告発!!-⑭

 判例6.(承前)



 判例6.の要旨は、「逋脱罪は、本来納入すべき税金額を納めないで納期日を徒過したことによって既遂となる」というものであった。

 ここでのポイントは「本来納入すべき税金額」と「納期日」である。これらは、一体何を意味するのか、租税法の基本となる事柄が整備された、昭和37年の国税通則法を参考にして考えることにする。

 同法によれば、賦課課税方式の国税(物品税、酒税など)については、

 税務署長は、かかる国税を徴収しようとするときは納税の告知をしなければならないとされ(国税通則法第36条1項1号)、この納税の告知は、税務署長が、納付すべき税額(筆者注、「本来納付すべき税額」のこと)、納期限、納付場所を記載した納税通知書を送達して行なう(国税通則法第36条2項)ものとされている。

 上記の納期限については、更に具体的に次のように規定されている。

「納税の告知をする場合には、当該通知に係る納税通知書に記載すべき納期限は、当該通知書を発する日の翌日から起算して一月を経過する日(国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている国税については、当該通知書の送達に要すると見込まれる期間を経過した日)とする。」(国税通則法施行令第8条1項)

 同法は又、「納期限」について、「法定納期限」と「実際の納期限」とを区別しているようである(国税通則法第2条8号)。
 「法定納期限」の定義は、

「国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限(次に掲げる期限を除くものとし、国税に関する法律の規定により一定の事実が生じた場合に直ちに徴収するものとされている賦課課税方式による国税については、当該事実の生じた日とする)をいい、附帯税または国税の滞納処分費については、その納付又は徴収の基因となった国税の当該期限をいう。
 イ 第35条第2項(期限後申告書等による納付)の規定による納期限
 ロ 第36条第2項(納税の告知)に規定する納期限
 ハ (略)
 ニ (略)」

とされている。
 なんとも分りにくい文章である。いつも思うことであるが、税法の文章というのは国民を煙に巻くためにわざわざ分りにくく細工してあるものとしか思えない。主権者たる国民を虚仮(こけ)にしているのではないか。
 ともあれ、上記の規定を手がかりにして、関連する法律をアッチコッチひっくり返しながら解読した結果が、「法定納期限」の他に「実際の納期限」があることが判明したのである。
 同時に、「本来納付すべき税額」とは、「納付すべきことが確定した税額」であることも判明した。
 このような結論に至る詳細なプロセスは省略するが、判例6.が扱っている物品税に即して分かり易く言えば次のようになる。

“物品税の場合も申告が義務付けられているが、この申告によっては納税額が確定しない。納付すべき税額が確定するのは、税務署長の処分による。即ち、提出された申告を参考にして、税務署長が調査を行って、納税額を決定する。税務署長は、納付すべき税額、納期限、納付場所を記載した納税告知書を納税者に送達する。
 従って告知された「納付すべき税額」は、税務署長が職権によって決定したもので、これによって「納付すべき税額」は確定し、確定した税額を指定された納期限(これが「法定納期限」ではない「実際の納期限」である)までに納付しなければならない。納期限までに納付しなかった場合には逋脱罪が成立する。”

 これが、判例6.の要旨である、

「逋脱罪は、本来納入すべき税金額を納めないで納期日を徒過したことによって既遂となる」

ことの、実際の意味するところであるようだ。
 判例6.の要旨を前記のように敷衍(ふえん)し噛みくだいてみると、まさに、「税を免れたこと」という構成要件が充足されていることを意味するものではないか。つまり、納期日までに「本来納めるべき税金の額」が確定している訳で、それを指示された納期日までに支払わなかったのであるから、「詐偽その他不正の行為」と「税を免れたこと」という2つの犯罪構成要件が充足したために、逋脱罪が成立すると言っているだけのことであって、未遂とか既遂の問題ではない。
 この点、判例6.自体が、犯罪の構成要件該当性の問題を犯罪の未遂・既遂の問題にスリカエている。もちろん誤りである。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。

 

”助平がばれやしないかボケた時” -各務原、小西克明

 

(ボケてなくともバレてます。)

(毎日新聞、平成28年3月26日付、仲畑流万能川柳より)

(ボケてなくともバレてます。)

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