査察Gメンを犯罪人として告発!!-⑤

 判例1.(承前)前回、「賦課」という判例中の言葉に、筆者が敏感に反応したのは何故か。この言葉こそ、納税者が「納付すべき税額」が、いつ、どのようにして確定するかに関連する極めて重要なキーワードであるからだ。もちろん、査察調査を含む税務調査に密接に関連するものだ。「間違いだらけの税務調査」が白昼堂々と横行してきた根底を暴き出すキーワードと言っていい。この言葉を逋脱犯の基本判例の中に発見したことによって、筆者が長年の間国税当局、ことに査察Gメンに接した結果抱いてきた数々の疑問、わだかまりが一瞬にして解けたのである。

 ところで、この「賦課」とは一般にはどのような意味をもつ言葉であるか。早速、2つの愛用の国語辞典を引いてみる。
 賦課(ふか)とは、

「租税などを割り当てて負担させること」(広辞苑)
「(決まった基準により)ある金額の納税義務を課すこと」(新明解国語辞典)

とあり、租税について言えば、国家が国民に対して一方的に行なう行為であることが分かる。この点、国民が払うべき税金を自ら計算して決定する申告納税方式とは全く相いれないものだ。

 これまで本稿で国税通則法の施行日である昭和37年4月1日をとり上げてきたが、それには理由がある。
 それまでは租税法の基本法が存在せず、租税に関する基本的な法律構成についての統一的な規定がない状況であった。ことに、納税義務の成立及び「納付すべき税額」の確定に関する規定がなかったし、直接税と間接税の間に不統一があり、それぞれの課税方式の意義が明らかにされていなかった。実体法としての租税法としては致命的な欠陥と言っていい。
 従ってそれらの点に関して様々な見解が生ずる余地があり、税務行政上だけでなく裁判の上でも支障をきたすようになっていた。租税法律主義とか罪刑法律主義などどこ吹く風、裁判においては裁判官が好き勝手な屁理屈をこねまわして、納税者国民に租税を押しつけ、断罪していたのである。

「国税通則法は、この欠陥を是正し、これらの基本的な法律構成を明らかにしようとするものである」
(『国税通則法の解説』(国税庁、昭和37年)

として、各種租税法の基本法としての国税通則法が制定されるに至ったのである。つまり、昭和37年4月1日施行の国税通則法によってはじめて、

「租税に関する基本的な法律構成についての規定」
(「国税通則法の解説」(国税庁、昭和37年)

が整備されたのである。
 以上の事実は一体何を意味するか。国税通則法の施行日である昭和37年4月1日より前の逋脱事件の裁判例は、同法施行後の逋脱事件の判例とすることができないということだ。実体法ができた以上、実体法の規定に反する過去の判例は、範とすることなどできないからだ。当然のことである。

 租税法の基本法である国税通則法(昭和37年4月1日施行)は、納付義務の成立と納付すべき税額の確定について初めて明らかにした。まとめると次のようになる。
『納付すべき税額の確定』-国税通則法第15条、第16条
***1.納付義務の成立と同時に、特別の手続きを要しないで納付すべき税額が確定する国税(国税通則法第15条3項)
 1)予定納税
 2)源泉徴収による国税
 3)自動車重量税
 4)印紙税
 5)登録免許税
 6)延滞税及び利子税
***2.納付義務が成立し、かつ特別の手続きによって納付すべき税額が確定する国税(国税通則法第16条)
 1)特別の手続き(=申告納税方式)(国税通則法第16条2項1号)

納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又は、その申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合、その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。

 2)特別の手続き(=賦課課税方式)(国税通則法第16条2項2号)

納付すべき税額がもっぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。

と、ここまで法文を整理しながら書き写してきて気が付いたことがある。企業会計でいう費用・収益についての発生主義と実現主義と同様の考え方が、租税法の中の租税債権の確定に関して取り入れられていることだ。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――
 ここで一句。

 

”空爆で解決できたことあった?” -神奈川、荒川淳

 

(毎日新聞、平成28年3月3日付、仲畑流万能川柳より)

(アメリカの主要産業は外国で行なう戦争。空爆は、軍需産業の滞留在庫を解決。)

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