2007年

1/9ページ

裏金アラカルト 4

 数日後、O.H.氏は私を伴ってこの大手商社の本社に行き、責任者に会わせてくれました。応接室で待つことしばし、現われたのは部長ではなく次長でした。名刺交換して、この人物が覚え書を作成した当事者であることが分かりましたので、私は単刀直入に、2通の覚え書のコピーを示して、文書の確認を求めました。  O.H.氏が来訪の趣旨を告げていなかったからでしょうか、私が覚え書のコピーをテーブルに置いて次長氏に示し […]

裏金アラカルト 3

 アラブの地で、武道家として特異な人生を歩んでいたO.H.氏。この人物が持ち込んだ話は次のようなものでした。 +総額450億円のプラント建設事業(ある物資の年間100万トンの生産能力を持ったプラント)。 +450億円のうち、 ++375億円は日本政府負担(円借款375億円)。 ++75億円は受入国政府負担。 +受注会社 ++本契約 - 日本の大手商社 ++プラント製造 - 日本の大手メーカー +発 […]

裏金アラカルト 2

 昭和から平成に変わる頃ですから、今から20年ほど前のことです。ODA(Official Development Assistance。政府開発援助)の利権に関わっている人物との出会いがありました。私と同年輩のO.H.氏です。  O.H.氏。昭和16年岡山県生まれ。大学卒業後、日本古来のある武道の普及・指導のために、海外青年協力隊の一員として中近東へ。武道を通じて現地の上流階級(王族)との親交が生 […]

裏金について -2

※この文章は、弊社主任コンサルタントの山根治が山陰経済ウィークリーという雑誌に以前執筆したものを再掲したものです。  これはあくまでも仮定の話である。東証一部上場の会社であり、信用取引銘柄にも指定されている会社(仮にA社という)が、大物政治家であるB代議士に二億円の政治献金をする必要に迫られたとしよう。社長から資金捻出の指示を受けたA社の経理部長氏は、頭をかかえ込んでしまった。  税務上は寄附金処 […]

裏金アラカルト 1

 このところ防衛省をめぐる疑惑が取り沙汰され、なんともにぎやかなことです。いつものように、その筋から小間切れに情報がリークされ、その挙句、守屋武昌氏という一人の前事務次官が、その妻と共に収賄罪で逮捕されました。検察が描いているストーリーが政治家にまで及ぶかどうかについて各マスコミの憶測記事が乱れ飛んでいますが、仮にそこまで及んだにしても氷山の一角が明らかになるだけではないかと思われます。  年間4 […]

裏金について -1

※この文章は、弊社主任コンサルタントの山根治が山陰経済ウィークリーという雑誌に以前執筆したものを再掲したものです。  昨年はいわば“献金”の当たり年ともいえる年であった。ロッキード事件の公判が衆目を集めている折から日商岩井の五億円献金問題が明るみに出、次いで密輸摘発に端を発したKDD問題へと続き、昨十二月十一日終わった第九十臨時国会においては、税理士法改正実現のために巨額の献金をした税理士会がやり […]

裏口上場 3

 完璧な絵図(えず。犯罪シナリオのことです)をつくり、大手証券マンの立場をフルに利用して30億円の大金を荒稼ぎした上に、ほとぼりが冷めるまで(つまり、犯罪の公訴時効が完成するまで)、じっと身を潜めていたA氏。  鮮やかなまでの犯罪手口とその名前は、私の脳裡にしっかりと刻み込まれており、決して忘れることはありませんでした。私と同世代のA氏は東京大学、私は一橋大学と、大学こそ違ってはいましたが、青春の […]

裏口上場 2

 27年前に実際に行なわれた裏口上場については後日談があります。  表舞台で動いたのは、社長役を引き受けた一人の公認会計士でしたが、裏口上場のはじめから終りまでの怪しげなシナリオを描き実行に移したのは別の人物で、世間知らずの会計士をうまく手玉に取ったといった図式です。会計士にしても、わずかばかりの金に目がくらんで、片棒をかつがされたといったところでしょうか。  この影の人物は、A氏。東京大学法学部 […]

裏口上場 1

 このところ再び裏口上場(うらぐちじょうじょう)の噂を耳にするようになりました。実は今から27年前、私が37歳のときに、裏口上場について小文をしたためたことがあります。  当時私は、中江滋樹氏率いる投資ジャーナルグループの税務顧問をしていた関係から、証券業界の生々しい実態を目(ま)の当りにしていました。いわゆるバブル経済の前のことで、日本経済は世界のトップを目指して順調な成長を続けていくことが信じ […]

裏口上場

※この文章は、弊社主任コンサルタントの山根治が山陰経済ウィークリーという雑誌に以前執筆したものを再掲したものです。  東証二部の会社(東京証券取引所第二部市場に株式を公開している会社のこと)であるW社を分析しているとき、奇妙なことに気がついた。裏口入学ならぬ“裏口上場”が現在進行中ではないかということだ。  裏口上場(うらぐちじょうじょう)とは何か。また、何故私が裏口上場進行中と推測するに至ったか […]

1 9