冤罪を創る人々vol.111

2006年05月02日 第111号 発行部数:606部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-
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日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●「引かれ者の小唄」 ― 勾留の日々とその後
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「おぞいもん -その2」より続く
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・ おぞいもん -その3

奇策とは何か。それはまさに、事実は小説よりも奇なりを、地で
いくものであった。
税を滞納している藤原清廉は、大蔵省の役人で、従五位下の位を
授けられている(叙爵)ことから大蔵の大夫(たいふ)と呼ばれて
いた。ところがこの人物、極端な猫こわがりであることが世間では
よく知られており、“猫恐の大夫(ねこおじのたいふ)”なる別名
を奉られていた。
物語作者は、取り澄まし顔で次のように述べている、-

“前世に鼠にてや有けむ、いみじく猫になむ恐(おじ)ける。しかれ
ば、この清廉が行き至る所々には、若き男共の勇(いさみ)たるは、
清廉を見つけつれば猫を取出(とりいで)て見すれば、清廉、猫だ
に見つれば、いみじき大切の要事(ようじ)にて行たる所なれども、
顔を塞(ふさぎ)て逃て去(さり)ぬ。しかれば、世の人、この清
廉をば猫恐(ねこおじ)の大夫とぞ付たる。”

話の冒頭にあるこのくだりは、何回読んでもおかしくて、吹き出
してしまう。いたずら好きの若者たちが、懐に隠し持っていた猫を
この人物の前で何気なく取り出して見せ、清廉が真っ青になって震
え上がり、逃げまどうのを眺めては楽しんでいたというのである。
加えて、「前世(ぜんぜ)に鼠にてや有けむ」と、とぼけたコメン
トをボソッと漏らすなど、この作者なかなかの者である。
私は、「たけしのTVタックル」が好きで、毎回欠かすことなく
見ることにしている。各界の論客が、何だか訳の分らないことを、
顔を真っ赤にして喚き散らすのを横目に見ながら、北野たけし氏が
時折すっとぼけた言葉を一言二言発して場の雰囲気を一変させるの
は、まさに名人芸とでも言うべきもので、絶妙である。阿川佐和子
さんの猛獣使いのような軽妙な手綱さばきと共に、この番組に魅せ
られている所以(ゆえん)である。

さて猫恐の大夫である。
大和の国の国司である藤原輔公は、自分の任期中になんとしても
清廉が滞納している税を取り立てようと決意。彼が思いついたのは
猫であった。猫を利用して清廉を脅しあげ、ウムを言わさず強引に
完納させようというのである。
話し合いのために国庁にやってきた清廉、宿直壺屋(とのいのつ
ぼや)に通される。宿直用の部屋で、周囲が壁で完全に囲まれてい
る。
部屋の奥には国司が一人で待ち構えていた。国庁のあるじ、清廉
の顔を見るや大真面目に、

“今日、輔公(すけきみ)、主(ぬし)に会て只死なむと思ふ也。更
に命不惜(おしか)らず。”

と言い放ち、部下に命じて、かねて用意していた猫を六匹、部屋の
中に入れさせた。

“灰気斑(はいけまだら)なる猫の長(たけ)一尺あまりばかりなる
が、眼は赤くて琥珀(こはく)を磨き入れたる様にて、大音を放ち
て鳴く。只同じ様なる猫五つ、次(つづ)きて入る。”

たくましい大猫が六匹も、ニャーオ、ニャーオと大声をあげて入っ
てきては、閉め切った部屋の中を走りまわり、清廉の袖を聞(か)
いだりしている。猫恐の大夫はパニック状態になった。

“清廉、目より大(おおき)なる涙を落して、守(かみ)にむかいて
手を摺(すり)て迷(まど)ふ。”

(続きはWebサイトにて)
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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
http://consul.mz-style.com/catid/21

・ ゲームとしての犯罪 -号外

コメント[784]への回答ですが、少し長くなりましたので「ゲー
ムとしての犯罪-号外」としました。

いつも熱心に読んでいただき、感謝しています。
ご指摘の孫正義さんについては、今のところこの人を論評するだ
けのデータを集めて分析していませんので、何とも言えません。た
だ、あなたのおっしゃるように、初めのころの孫氏が、『相当怪し
げな堀江もどきの足跡を残して』いるのが事実であるとすれば、そ
の後、いくら事業が大きくなったにしても、バベルの塔のようにも
ろくも崩れていくことでしょう。それにしても、いくら若くてエネ
ルギッシュな人であっても、関連会社が300社を超え、しかも、
このところボーダフォンの買収で一兆数千億円という巨費を投ずる
など、強引な拡大路線を突っ走っており、側から見ているだけでも
疲れてしまいます。孫さんも、いいかげんくたびれているのではな
いでしょうか。あるいは、自らがいまどのような状況にあるのか、
把みかねているのかもしれませんね。

事業に関して言えば、それぞれに与えられた仕事をキッチリと仕
上げ、社会に貢献した利益の一部を享受する、というのが基本であ
ると考えます。やたらに規模を大きくするだけが能ではありません。
このような考え方は、なにも私が考えついたものではありません。
昔から近江商人が実践してきた、自らの足元をしっかりと見つめる
のを基本とし、”三方良し”の理念を掲げる『商(あきない)の道』
です。横文字がやたらと出てくる、外国からの借物の経営学などと
較べものにならないほど、日本人ならではの優れた考え方です。
文面から察するに、京都で5代も続いた事業を経営なさっている
ようですが、どのような事業であろうとも、5代も続くということ
は容易なことではありません。5代も事業が継続してきた事実こそ、
あなたの会社が地域社会にしっかりと根を下ろし、各時代において
社会が認める、立派な貢献をなさってきた証しとも言えるでしょう。
誰にでもできることではなく、素晴らしいことです。
一部のアングロサクソンがこしらえた怪しげなビジネスモデルを、
ひたすら真似をして荒稼ぎをし、にわかセレブを演じている人達の
ことは、余り気になさる必要はありません。このような存在は、や
たらとマスコミに露出し、湯水のようにカネを使って派手に振舞っ
ていますが、悪銭身につかずで、いずれバブルと消えていくでしょ
う。いつの時代にも存在する、枯木も山の賑(にぎわ)い、といっ
たところです。
社会において無益なもの、あるいは有害なものは、時間が淘汰し
てくれるものです。Mファンドのような“銭コロガシ”、一部の人
材派遣業とか介護ビジネスのような、フリーターとかニートからの
“ピンハネ屋”、消費者金融と呼び名をかえただけの、社会的弱者
を食いものにしている“高利貸し”、これらは、いくら大義名分を
並べたてたところで、所詮、手前勝手な屁理屈の域を出るものでは
ありません。社会に対して、真に貢献できるものがなければ、事業
として虚しいものです。私はこれらの“シノギ”について、全面的
に否定するつもりはありません。ただ、カタギの仕事とは思えませ
んので、できれば私の近くにいて欲しくないのです。

私は、たぐい稀な相場師であった中江滋樹氏の税務顧問をしてい
た関係から、何人かの仕手筋とか相場師を知っています。
ふり返ってみますと、バブル経済の洗礼を受けて、現在でも健在
なのはただ一人だけになりました(「月給一億円のサラリーマン」
参照)。

月給一億円のサラリーマン
http://consul.mz-style.com/item/112

よほどの好運に恵まれないことには、賭場的な要素を多分に持っ
ている株式市場で、したたかに生き残っていくのは難しいことでしょ
うね。相場師といえば決してカタギの仕事とは言えないでしょうが、
私にとって中江氏とかこの人物などは、別格の存在でした。二人と
も、人間のスケールにおいて、とてつもなく大きなものを持ってい
たのです。ナントカ・ヒルズあたりでウロチョロしているチンケな
連中とは、似て非なるものであると言えるでしょうか。

(続きはWebサイトにて)
http://consul.mz-style.com/item/523

 

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