冤罪を創る人々vol.28

2004年09月28日 第28号 発行部数:246部

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 「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-



    日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。

    マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。

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 山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ

 株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント

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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態



「(7) 本件逮捕」より続く

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(8) 起訴



一、 平成8年3月7日。私の獄中ノートから引用する、 ―



「今日、法人税法違反で起訴されるだろう。ここからいつ出ることが

 できるか。そろそろ身体が限界だ。義歯が昨日はずれた。片方でし

 か食べられなくなった。」



「一体、どのような形で起訴するのだろうか。事務所のことはどうし

 たらいいか。でも、しようのないことだ。ゼロ、いやマイナスから

 の出発ということか。どのように乗り切っていくか。少し心の整理

 をしなければいけない。」



「20日前、再逮捕される前までは、大きな希望があった。法人税の

 方は処分保留か不起訴になると思っていたからだ。今はただ、無罪

 を勝ち取ることだけが、唯一の道となった。ただ、それでも事務所

 はダメであろう。

  あれこれ考えると、頭がおかしくなる。気が滅入る。身体も思わ

 しくない。房にいると、夜も昼も、入れ替わり立ち替わり、看守を

 はじめいろいろな人が来て、窓から覗き込まれる。さっきも、捜検

 があった。プライバシーゼロの世界。

  40数年、ほとんど一日も欠かしたことのない酒と薔薇。それが

 ない。今まで私は自由気ままに生きてきた。酒と薔薇の日々であっ

 た。それが突然こんなところに放り込まれた。一体、私の人生はこ

 れからどうなっていくのか。刑務所行きなど、夢にも考えていなかっ

 ただけに、考えがうまくまとまらない。取調が終って、張りつめて

 いた気持が一気にゆるんで、心のバランスが崩れたようだ。

  午睡が終った。2時すぎだろうか。もう起訴されているだろうか。

 このように思い悩むのは、私にいろいろなものに対する未練がある

 からであろうか。しかし、未練を断つことはできないし、いったい

 どのように心の整理をしたらいいのか。ちょうど20日前のような

 状態だ。あの時も、気力が落ち、体力がガクンガクンと落ちた。と

 にかく体力をつけなければ。それに専念することだ。」



二、 「午後2時頃、中村弁護士接見。起訴は私と組合長の岡島さん

 のみという。小島、増田、福山の3名は処分保留。

  とりあえず、全員起訴という最悪の事態は避けられた。仮に、裁

 判で負けたにせよ、組合長は執行猶予となり、実刑にはならないだ

 ろう。

  結局、私一人にターゲットが絞られたということだ。気持が大分

 楽になった。これで絶対に無罪を勝ちとる気力が改めて湧いてくる

 かもしれない。とにかく体力をつけることだ。」



三、 「平成8年3月8日、朝の9時頃、風呂に入っていたら、家族

 の面会を告げられ、途中で風呂を出る。

  妻と二人の息子に会った途端に両眼から涙があふれた。長男に他

 の人と会うときは、泣かない方がよいとクールに諭されてしまった。

 外は、私が考えている以上にしっかりしているようだ。

  このところ私の感情は激動の状態だ。精神病理学では、このよう

 な状態をどのように説明するであろうか。」

  二人の息子は、大学を卒業し、横浜と東京を生活の拠点として暮

 していた。私が逮捕されるという不測の事態に直面した二人は、直

 ちにそれぞれの生活を切りあげて松江に帰ってきた。妻と事務所と

 をサポートするためであった。



(続きはWebサイトにて)

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)

http://consul.mz-style.com/catid/21



「スケコマシ」考-その2より続く

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・「スケコマシ」考-その3



  先日、ボーっとしてテレビのワイドショーを見ていたところ、あ

 る男性タレントが離婚会見を長々とやっており、しかも生中継で流

 されていました。

  その三十歳台の二枚目タレントは、会見の席でなんだかとても怒っ

 ているようでした。芸能人は自らのイメージを大切にするために、

 テレビカメラを前にするとかなり腹を立てている場合でも、意識的

 にセーブするのが普通です。

  しかし、この人は違っていました。顔がひきつるくらい激怒して

 いるのです。美人が怒った顔をするとそれなりにサマになるもので

 すが、二枚目が本気で怒ってしまったら、絵にもなりませんね。正

 直な人なのでしょう。



「別れることになったとはいえ、一度は愛し合った女性です。しかも

 2人の間には2人も子供がいるんです。それを何ですか。あの男は

 失礼ですよ。」



  二枚目氏が、離婚会見の席上で何故立腹しているのか、今ひとつ

 ピンとこなかったのですが、アホくさいと思いながらも、引き続き

 耳を傾けていたところ、なんとかその理由が分かってきました。

  ことの発端は、タレント仲間の男が、その二枚目氏の妻と密会し

 ている現場を写真週刊誌がスクープしたことにありました。浮気相

 手の男が週刊誌のインタビューに応じて、「いやあ、火遊びがすぎ

 て、懲りちゃいましたよ。」とコメントしたことで話がややこしく

 なってきたようです。



『妻と浮気をしたうえに、火遊びとは何たる言い草であるか。全く妻

 をバカにしたもので、けしからん! 人の妻を“イテコマ”してお

 いて、火遊びとはよくぞ言ってくれたものだ。私だけでなく妻をも

 侮辱するもので、断じて許すことができない!!』



  離婚後も元妻と同居を続けているというこの二枚目氏は、プップ

 と頭から湯気を立てて怒っているのですが、浮気をした元妻に対し

 て怒っている訳ではないようですし、浮気そのものがけしからんと

 言っている訳でもないようです。

  どうも相手の男の態度が気にくわない、浮気をするならもっとマ

 ジメにやれ、とでも言って怒っているようなのです。

  こうなると普通人の理解を超える世界に突入します。もともと、

 男も女も不マジメだから浮気をするのであって、そもそも火遊びで

 ない浮気など存在しないと思われるからです。



  彼は、浮気をするならマジメにやれ、と口角泡を飛ばしており、

 会見場にいた多くの芸能レポーター達も毒気を抜かれたように、通

 常は質問責めにするところを言葉をさしはさむこともなく、饒舌な

 タレントの一人舞台となっていました。

  いくつかの民放が生中継をしていたのですが、ある局のワイド

 ショーのキャスターが、スタジオで顔をしかめて、「あれは一体何

 ですか」と苦々しげにコメントしていたのが印象的でした。キャス

 ターには、超新人類とでもいえる存在が、理解しようにもとうてい

 理解できなかったのでしょう。



  近年、日本語の語彙が乏しくなり、次第に軟弱になってきている

 と言われています。教育のあり方が最も大きな原因でしょうが、マ

 スコミが言葉を自主規制していることもその要因の一つであるよう

 です。

  スケコマシとかイテコマスなど、下品で差別的ともいえる言葉で、

 さしづめ自主規制の対象となっていてもおかしくない言葉です。生

 放送の関係もあったのでしょうか、そのタレントが「女房をイテコ

 マした奴」と何回となく口走っているにも拘らず、そのまま流され

 ていました。全体の話の内容はともかくとして、私は久しぶりに生

 きた日本語を耳にする思いで、嬉しくなりましたね。

  スケコマシとかイテコマスとかは、元来がテキヤやヤクザ仲間の

 言葉であっただけに、決して上品な言葉ではなく、華を売り物にす

 るタレントが平気で口にしていいものではありません。しかし、彼

 のやむにやまれぬ本当の気持を表現するには、その言葉しかなかっ

 たのでしょう。実に生き生きとして伝わってきました。



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 ここで一句。



   “離婚劇言ってるばかに見るアホウ” -岡山、桐ちゃん。

          (毎日新聞:平成16年9月9日号より)



(コメントは特にありません。おっしゃる通りです。)

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