2010年

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職人としての会計士-1

 私が会計士になろうと思ったのは26歳の時であった。大学院を中退し、茨城の妻の実家に居候していた私は、家庭教師をしたり、翻訳の下請けをしたりして糊口をしのいでいた。  大学の寮友である岸澤修君が訪ねてきたのは、私が茨城の田舎町でウツウツとした日々を送っていたそのような時期である。彼は大学を卒業すると郷里に帰り、金沢市の会計事務所で働いていた。事務所の後継者として迎えられていたのである。  岸澤君は […]

何を今さら

 大阪地検特捜部の前田恒彦検事が、証拠隠滅の疑いで逮捕された。その10日後、犯人隠避の疑いで前田検事の前の上司二人が逮捕された。単に身内の犯罪をもみ消そうとしただけではない、検察が組織的に冤罪を創り出そうとしたというのである。「あってはならないことだ」「前代未聞」「言語道断」連日のように、新聞・テレビなど既成のマスコミは大騒ぎを演じている。私は自らの体験(「冤罪を創る人々」参照)として、検察のデタ […]

脱税摘発の現場から-13

***13.税制の抜け穴(承前)  税理士が調査の立会いをするにあたって、税務当局、とりわけ料調に対して対等な立場で対峙するためにはどうしたらいいか。納税者が料調に直面したとき、税理士に十分な能力を発揮してもらうためにはどうしたらいいか。  答は簡単だ。税理士を替えることである。なにも従来の顧問契約まで解除することはない。ただ調査の立会いだけを別の税理士に頼めばいいのである。納税者の代理人が一人多 […]

脱税摘発の現場から-12

***12.税制の抜け穴(承前)  税理士が納税者の顧問をしていたり、あるいは税務申告書を作成し、申告の代理人になっていることが、調査立会いにどのように影響するのであろうか。立会い自体は税理士業務ではないにも拘らず、納税者に何らかの関与をしていたことによって、立会いについても税理士法に事実上しばられることになるとは、一体何を意味するのか。  調査によって何も非違(脱税)事項が出てこなければ、勿論問 […]

脱税摘発の現場から-11

***11.税制の抜け穴(承前)  本来ならば税理士の最も重要な仕事であるべき税務調査の立会いが、税理士の独占業務である「税理士業務」(税理士法第2条)から外されている-、これは多分に徴税側の都合によるものだ。  ところがよく考えてみると皮肉なことに、このことは納税者と税理士にとってはマイナスになるどころか、逆にプラスに働くことが判明する。税務調査の立会いが税理士業務ではないということであれば、税 […]

脱税摘発の現場から-10

***10.税制の抜け穴(承前)  税制の抜け穴。7万人の税理士を巧みに利用して、納税者の権利を事実上剥奪している税理士法、この悪法に存在する意外な抜け穴とは何か。上手(じょうず)の手から水を漏らした穴とは一体何か。  ズバリ、税務調査の立会いの規定が欠けていることである。税務調査の立会いとは、第三者が税務調査の現場に臨席して税務調査をしっかりと見届けることであるが、これについての定めがないのであ […]

斐伊川治水事業の費用対効果及びシミュレーションに関する国交省との意見交換について

 8月30日に行なわれた国土交通省出雲河川事務所との話し合いに、弊社主任コンサルタント山根治が出席し、意見を述べましたので、その旨お知らせいたします。 -日時:平成22年8月30日(月)2:00PM~5:00PM -場所:財団法人島根総合研究所(松江市東本町5丁目山根ビル1F) -出席者(住民側):北川泉(財団法人島根総合研究所所長理事)、山根治(弊社主任コンサルタント、財団法人島根総合研究所理事 […]

脱税摘発の現場から-9

***9.税制の抜け穴  これまで私は、脱税事件において冤罪がしばしば見受けられる原因として次の3つ、即ち、 +司法制度におけるチェック機能の不全 +税務職員の調査能力の劣化・職業倫理の欠如と、国家公務員の無責任体制 +いびつな税理士制度 を挙げ、中でもとくに問題なのは3.のいびつな税理士制度であり、税理士制度には2つの欠陥があることを指摘した。税理士会への強制加入制と税理士業務の無償独占性の2つ […]

脱税摘発の現場から-8

***8.脱税・冤罪事件の3つの原因(承前)  前回、税理士制度について述べ、そこに2つのガンが巣食っていることを指摘した。税理士会への加入が強制されており、加入しない限り税理士の資格はあっても税理士業務は一切できないこと(強制入会制)、税理士業務は税理士の独占業務とされており、一般の人がたとえ無料で行なったとしても罰せられること(税理士業務の無償独占性)、この2つである。  この2つのうち、とり […]

脱税摘発の現場から-7

***7.脱税・冤罪事件の3つの原因(承前)  日本国憲法は、納税の義務を定めている(憲法30条)と同時に、法の定めによらなければ税の徴収ができないこと(憲法84条)、及び、法定手続によらなければ刑罰を科することができないこと(憲法31条)を定めて、納税者の権利を保障している。  ところが、現在の日本の税制では税理士法を含めて、納税者の義務に偏重しており、納税者の権利がなおざりにされている。今年に […]

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