2014年8月

「福沢諭吉の正体」-③

 確かに簿記は、使い方さえ誤らなければ役に立つ技術である。福沢諭吉が、いちはやく実学の代表的なものとして簿記、つまり「帳合の法」を翻訳して紹介したのも、誰でも短期間で容易に修得できる簿記の有用性に着目したからであろう。  このように、簿記は秀れた技術である。しかし、簿記はあくまでも仮定にもとづく産物であって、間違っても学問と呼べるようなシロモノではない。  『帳合の法』で説明されている簿記は次のよ […]

「福沢諭吉の正体」-②

 福沢諭吉は明治5年、『学問のすすめ』を出版し、実学を鼓吹(こすい。太鼓を打ち笛を吹く意。何かすることの意義を一人ひとりに宣伝し、積極的にそうしようという気持ちにさせること。-新明解国語辞典)した。  福沢は一般大衆を、「所謂(いわゆる)百姓町人の輩(やから)」と称し、「無知文盲の民」、「豚の如き存在」であると断定した上で、その啓蒙(けいもう。蒙は知識不足の意。情報の寡少な一般人に必要な知識を与え […]

「福沢諭吉の正体」-①

 福沢諭吉といえば、日本の近代化に多大な功績を残した人物であるというのが一般的な理解である。一万円札の肖像画にも用いられており、日本だけでなく世界においても、日本人として最も名の通った人物だ。  人物のプロフィールとして、広辞苑は次のように簡潔にまとめている。「福沢諭吉。思想家.教育家。豊前中津藩の大坂蔵屋敷で生れる。緒方洪庵に蘭学を学び、江戸に蘭学塾を開き、また英学を研修。幕府使節に随行し三回欧 […]

「誰が小沢一郎を殺すのか?」-⑩

 TKC全国会は一万人超の税理士集団だそうである。この団体、臆面もなく“中小企業のビジネスドクター”などと僭称(せんしょう。臣下でありながら武力をもって王を名乗ったり、実力がないのに世界一だと勝手に言ったりすること。-新明解国語辞典)して憚(はばか)らない。  もともとTKCは、昭和41年に栃木県計算センター、つまり記帳代行業務を行う会社としてスタートしている。記帳代行というのは、中小零細企業の帳 […]