ゲームとしての犯罪 -14
- 2006.08.01
- 山根治blog
前回の話をまとめてみますと、ライブドアの公表(一般に開示された決算書のことです)の総資産は1,831億円ではありますが、査定をいたしますと次のようになります。
***<表12>ライブドアの資産(修正後)
^^t
^cc”^項目
^cc”^公表(百万円)
^cc”^評価減(%)
^cc”^査定(百万円)
^^
^1.現金及び現金等価物
^rr”^59,912
^rr”^0
^rr”^59,912
^^
^2.キズもの資産
^rr”^121,921
^rr”^20
^rr”^97,536
^^
^3.ポンコツ資産
^rr”^1,272
^rr”^100
^rr”^0
^^
^cc”^計
^rr”^183,105
^
^rr”^157,448
^^/
公表の総資産は1,831億円なのですが、査定いたしますと257億円だけ評価減をして1,574億円になるということです。
次に、負債の37億円について。ライブドアは、白地手形を乱発したり、裏保証もしていないようですから、債務については網羅されていると考えていいでしょう。
ただ一つだけ、フジテレビに対する損害賠償債務については、契約によって定められている可能性がありますので、仮にそうであれば(つまり、表明保証がしかるべくなされていれば、ということです)、それに相当する額だけ負債に追加しなければなりません。その額は、345億円(=440億円-95億円)。
以上によって、ライブドアの純資産は、1,537億円(資産1,574億円-負債37億円)となります。フジテレビ分の債務を加味すれば、更に345億円減少し、1,192億円となります。
次に、会社以外に存在するタマリ(一般投資家から不正に収奪されたお金)について考えてみます。
現時点で考えることのできる、お金の移転先は次の通りです。
+堀江貴文氏
+株式会社光通信、株式会社光通信パートナーズ
+株式会社グッドウィル・コミュニケーション(グッドウィルグループ株式会社の当時の子会社)
+大和証券SBCM株式会社
+リーマン・ブラザーズ
+被買収企業の株主
+ストック・オプションによる受益者
まず、1.の堀江貴文氏。インチキ・マネーゲームの主宰者堀江氏に流れたお金は次の3つに分けられます。
^^t
^cc”^項目
^cc”^金額
^cc”^備考
^^
^(1)本人名義のもの
^rr”^150億円
^平成17年6月27日、4千万株売却、142億円他。
^^
^(2)有馬純一郎氏名義のもの(借名株)
^rr”^20億円
^「ホリエモンの錬金術-6」の付記、「ホリエモンの錬金術-11」「ホリエモンの錬金術-12」「ホリエモンの錬金術-13」参照のこと。
^^
^(3)投資事業組合もしくはファンド名義のもの
^rr”^96億円
^「ゲームとしての犯罪-号外4」…16億円と、「ゲームとしての犯罪-号外5」…80億円、参照のこと。
^^
^cc”^計
^rr”^266億円
^
^^/
尚、(1)は事実であり、(2)も概ね事実ですが、(3)については事実であることの確認がなされていません。「ゲームとしての犯罪-号外4」と「ゲームとしての犯罪-号外5」で詳述した通りです。
次に、2.~4.。これは、6年前の上場時点で一般投資家のお金が流れたものです。「ホリエモンの錬金術」参照のこと。それぞれ推計による金額です。
2. 株式会社光通信、株式会社光通信パートナーズ … 20億円
3. 株式会社グッドウィル・コミュニケーション(グッドウィルグループ株式会社の当時の子会社) … 7億円
4. 大和証券SBCM株式会社 … 5億円
次の5.~7.は金額的にも非常に大きく、一見すると合法であるかのような装いをこらしているものの、事情を知らない一般投資家を騙すようにして、お金を吸い取ったものです。
5. リーマン・ブラザーズ … 150億円 (※「ゲームとしての犯罪-号外6」で説明。)
6. 被買収企業の株主(主として株式交換) … 525億円
交換による株式発行数は、42,619,103株(分割換算114,061千株)でした(「ゲームとしての犯罪-3」)ので、分割換算で90%強の105,000千株が既に市場で売却されているものと仮定し、平均単価を一株500円といたしますと、500円×105,000千株=525億円となります。
この525億円の中に、あるいは、堀江貴文氏に還流しているものがあるかもしれません。買収条件がかなりいいかげんなもので、恣意的になされている形跡があることに加え、このたびの摘発によって、その一部が明らかになった投資事業組合のことを考えますと、当然に浮かんでくる疑念と言えるでしょう。
7. ストック・オプションによる受益者 … 60億円
ストック・オプションによる株式発行数は681,330株(分割換算12,503千株)でした(「ゲームとしての犯罪-3」)ので、分割換算で12,000千株は既に市場で売却されているものと仮定し、平均単価を一株500円といたしますと、500円×12,000千株=60億円となります。
―― ―― ―― ―― ――
ここで一句。
(ヘソクリ。香港、スイス、ジェット機、宇宙旅行。悪銭は地球をめぐり、その挙句勢い余って宇宙まで。)
-
前の記事
ゲームとしての犯罪 -号外5 2006.07.25
-
次の記事
ゲームとしての犯罪 -号外6 2006.08.01