ホリエモンの錬金術 -11

堀江さんは、これといった収益構造を持っていない、いわばほとんど実体のない零細企業を、いくつかのトリックを用いて将来性のあるもっともらしい会社に変装させて、東証マザーズに上場させることにまんまと成功しました。

当時、このような会社の実態が明確に開示されていたならば、いくら上場規制が緩和されていたからといって、とうてい上場許可は下りなかったことでしょう。幹事証券会社とグルになって、東証マザーズを騙したのです。

自らの“完全犯罪”に自信を持つにいたったのでしょうか、インチキ上場から4年余りが経過した昨年、どうだと言わんばかりの本が出版されました。「堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方」(ソフトバンクパブリッシング刊)がその本で、すでに述べたように、ウソとホントをこき混ぜた奇書とでもいうべきシロモノです。
企業会計とか、会社法とか、あるいは会社経営の最低限の知識さえスッポリと欠落している人物の手になる綴り方で、そのためでしょうか、一人よがりの思い込みだとか、明らかに事実に反することがらが、論理的整合性などお構いなしに臆面もなく開陳されています。
しかし、全てがウソではありません。堀江さんが必死になって隠蔽しようとしている“真実”がチョロチョロと顔を出しているのです。堀江さんは案外“正直”な人かもしれませんね。
私は、第8回で、ホリエモンのトリックを破るキーポイントは、有馬晶子(有馬純一郎さんを含む有馬家)さんとの取引であると述べました。
法定資料で開示されている有馬さん絡みの以下の4つの事実は、ウソである可能性が高く、それが立証されるならば、ホリエモンの“完全犯罪”はもろくも崩れてしまうのです。
+平成10年4月30日、額面金額一株5万円で、有馬晶子→堀江貴文へ48株、有馬晶子→宮内亮治へ2株、譲渡されたこと。
+平成10年8月3日、額面金額一株5万円で、堀江貴文→和井内修治へ8株、堀江貴文→小飼弾へ4株、譲渡されたこと。
+平成11年11月5日、一株300万円で、有馬晶子→堀江貴文へ120株、譲渡されたこと。譲渡価額3億6千万円。
+上場直前の株式960株(評価額57億6千万円)が有馬純一郎名義であること。
この1.~4.は互いに密接に関連しているもので、私の結論は、4つ共全てウソであるということです。
では、真実はどうだったのでしょうか。私の推断は次の通りです、-

(1)資本金1千万円から3千万円増資して4千万円になった段階での株主構成は、

^^t
^cc^株主
^cc^持株数(株)
^^
^堀江貴文
^rr^400株
^^
^有馬晶子
^rr^320株
^^
^有馬純一郎
^rr^80株
^^
^cc^合計
^rr^800株
^^/
であった。

(2)堀江貴文は、(1)の後、有馬親娘の株式400株の全てを譲り受けた。但し、支払いは、上場後の約束であった。
譲渡価額は、
+ 5億円 (一株125万円×400株)
+ 3億6千万円 (一株90万円×400株)
+ 2億4千万円 (一株60万円×400株)
+ 1億2千万円 (一株30万円×400株)
のうちの、いずれかであった。最も可能性の高いのは、3.の2億4千万円である。

(3)有馬純一郎名義の株式80株は、堀江貴文の所有になったものの、有馬純一郎名義のままとし、上場直後の売却に備えた。この80株は、上場直前に12分割がなされているので上場時点では960株(評価額57億6千万円)となっている。

(4)堀江貴文は、(3)の株式を上場直後の、平成12年4月25日に20株を一株370万円で売り抜けたのを皮切りに、同年6月7日に202株を一株173万円で売り抜けるまで、38回にわたって合計で342株を売りぬけ、667,890千円の現金を手にした。
残りの618株(960株-342株)も、平成12年9月30日までに全て売却し、総額で20億円前後の現金を手にした。

(5)(4)によって得た資金のうちから、有馬親娘からの株式買取代金(おそらく2億4千万円)の支払いがなされた。

以上の推断は、堀江さんの著書の第1版と第3版の相違点を分析し、この5年の間に会社が証取法の規定に基づいて提出し、開示している法定資料を分析、照合した結果到達したものです。
私の推断が単なる推定に終らず、確信に近いものとなったのは、私がこの3ヶ月程の間に通査した3000枚以上の関連法定資料の中の“1枚”に遭遇したからでした。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“純一郎空の菓子折り持ち歩き” -札幌、佐藤康子。

 

(毎日新聞:平成17年4月21日号より)

(中味に欠ける小泉さん。有馬さん、あけてびっくり玉手箱)

 

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