ホリエモンの錬金術 -13

有馬純一郎名義の株式960株は、上場直後にあわただしく全てが売却されています。

この事実は平成12年6月19日付で提出された株式大量保有の変更報告書と第5期の有報を見れば判ります。

この変更報告書は、証取法第27条の25第1項にもとづくものですが、不思議なことに同じ日に二回にわたってなされており、それぞれA4版で4枚ずつ、合計8枚の報告書として提出され、開示されています。

この二通の変更報告書と、同年6月15日付で提出された大量保有報告書とをじっくり吟味してみると一つの事実が浮かび上がってきます。

その事実とは何か。
それは、この960株の株式が有馬純一郎さんの管理下にはなく、堀江貴文さんの管理下にあるらしいことです。

その根拠は次の通りです。
+平成12年6月15日に提出されている大量保有報告書(提出期限は同年4月11日。2ヶ月遅れ)は、会社の管理本部中村長也なる人物によって作成されていること。
+堀江貴文の大量保有報告書も、1.と同じ日に提出され、1.と同一人物が作成していること。
+有馬純一郎の事務上の連絡先が、堀江貴文と同じ、管理本部の中村長也となっていること。同年6月19日に提出された有馬純一郎の変更報告書においても、連絡先が同様に中村長也となっていること。
+同じ日に2通提出された変更報告書は、有馬純一郎氏が株券に全くタッチしていないことを雄弁に物語っていること(資料I)。
+上場後、短期間のうちに960株をあわただしく売りぬけた様子は、まさに久しぶりのごちそうにありつけた欠食児童を連想させるもので、有馬純一郎氏の行動とは考えにくいこと(資料J)。
上記1.~5.によって、有馬純一郎名義の960株の株式は、同氏の管理下にはなく、堀江貴文の管理下にあったと考えられるのです。
次に、この960株が堀江貴文さんの管理下にあったことの現実的な意味を考えてみましょう。

有馬純一郎さんは、昭和16年生まれですので、私と同世代の方です。「輸入が中心のアパレル会社の社長で、年商は10億円」(同書、P.33)というのですから、長年地道に商売を続けてこられた方だと思われます。
堀江さんは、このようないわばカタギの経営者から、4000万円近い事業資金(中小企業にとっては大金です)を言葉巧みに引き出しているのです。
有馬純一郎さんとしては、堀江さんの目指している事業などは二の次で、当時東大生であり、娘の恋人として現れた有力な娘婿候補としての堀江さんに対して大金を用意したのでしょう。
しかし、堀江さんとしては、どのような方法であろうとも、事業資金が手に入ればよかったようです。
他に深い仲になった女性の存在を隠して、なんとか有馬さんから最後の3000万円を引っ張り出すのに成功した堀江さんは、直ちに娘である有馬晶子さんとの関係の清算に着手し、有馬親子名義の株式(全体の50%)の買取交渉を始めたものと思われます。
つまり、他に好きな女性(子供ができ結婚することになる)ができたために、有馬晶子さんの存在がうとましくなってきたことに加え、資本金も4000万円になり、インチキ上場の下準備が完了したために、有馬親娘は用済みになったということでしょう。「最後は修羅場となった」(同書、P.112)のも当然のことです(資料K)。

このような一連のプロセスを、年頃の娘を持つ父親の立場に立って考えてみればどうでしょうか。娘を適当に弄(もてあそ)び、その上娘をダシにして4000万円近い大金を引き出した堀江貴文という人物に対して、父親としては、腹ワタが煮えかえる思いであったことでしょう。顔も見たくないといった方がいいかもしれません。
有馬純一郎さんは、金を引き出すために自分の娘を巧みに利用した堀江貴文という人物に、上場時点での評価額が57億円もある株式の管理を委ねることができるでしょうか。
まず考えられないことです。

そうしますと、有馬さんが管理を委ねていない960株を、堀江貴文さんが管理下に置いていたということになり、それはとりもなおさず、960株の真の所有者は有馬純一郎さんではなく、堀江貴文その人であることを意味します。つまり、有馬純一郎の名前を騙った堀江貴文所有の借名株ということになるのです。

―― ―― ―― ―― ――

ここで一句。

“ホリエモン高笑いする世は嫌だ” -大阪、あらきみやこ。

 

(毎日新聞:平成17年3月31日号より)

(日本人としての誇り。カネ、金、カネ、金が全ての世はイヤだ。色恋を金で測ってドブに捨て。)


***●資料I

2通の変更報告書のうち、

(1) 初めのものは、
平成12年4月25日~同年6月6日までに139株を売却し、持株比率が7.38%から6.30%
になったことを報告、
(2) 次のものは、
平成12年4月25日~同年6月7日までに342株を売却し、持株比率が6.30%から4.74%になったことを報告、
しています。

(1)と(2)の違いは、売却した株式数です。(1)は139株、(2)は342株、差の203株は、6月7日に売却されたものです。
しかも、この2通の変更報告書は、203株売却された6月7日より12日も後に作成され提出されているのです。ちなみに、証取法は5日以内の報告を義務付けています。
これは一体何を意味するものでしょうか。

203株といえば、上場時の評価額で、12億1800万円(600万円×203株)ですし、6月7日に実際に売却し(185万円で1株、173万円で202株)、3億5千万円余りにもなっているものです。
もし、960株が本当に有馬純一郎さんのものであり、自分で管理しているのであれば、203株もの大量の株式を売却した事実を忘れることがあるでしょうか。しかも、それまでは、連日のように売却していても、同じ指値では、1株~7株のケースがほとんどで、多くとも30株(5月18日)のケースがあるだけなのです。
この203株のうちの202株は、173万円で一括売却されており、仮に真実の所有者が自ら管理しているのであれば、報告書を作成する時点で売却の事実を忘れることなどまず考えられません。
その上、この203株は、大量保有者とされる5%のラインを左右する重要なものです。
報告書を作成した中村長也という人物が、第一回目の報告書を作成した時点では、6月7日に203株もの大量の売却がなされたことを知らなかったのでしょう。報告書を提出した後に、実際の所有者である堀江さんが誤りに気がつき、慌てて訂正の意味を持った第二回目の報告書の作成を指示し、提出させたものと思われます。


***●資料J

有馬純一郎さんの960株の取得価額は400万円です。しかも、娘である有馬晶子名義の株式は、目論見書の記載通りとすれば、次のように、

^^t
^cc^NO.
^cc^売却額
^cc^取得価額
^cc^備考
^^
^1.
^rr^240万円
^rr^240万円
^平成10年4月30日、堀江貴文へ売却
^^
^2.
^rr^10万円
^rr^10万円
^平成10年4月30日、宮内亮治へ売却
^^
^3.
^rr^3億6,000万円
^rr^600万円
^平成11年11月5日、堀江貴文へ売却
^^
^合計
^rr^3億6,250万円
^rr^850万円
^
^^/
と、3億5,400万円(3億6,250万円-850万円)もの利益を得ていることになっています。
世田谷区の成城に自宅を持ち、アパレル関連の会社を経営している有馬純一郎さんとしては、自分名義の株式960株の取得価額400万円を差し引いても、すでに3億5千万円(晶子名義の株式の利益3億5,400万円 - 純一郎名義の株式の取得価額400万円)もの利益をあげているわけですから、上場直後に慌てて売却するのはいかにも不自然です。
一方の堀江さんについて考えて見ましょう。先日公示された平成16年分の所得税がようやく1千万円を超えた程度で、それまでは公示対象になっていなかったようです。
堀江さんの収入は、表向きでは株式売却収入が、6億円余りしかありませんので、それが仮に彼の言う通りに銀行の借入金5億円の返済に充てられているものとすれば、1億円ほどしか残りません。
上場後の5年間で、株式売却収入の1億円余りと公示額以下の所得では、果して彼のバブリーなプライベート・ライフの説明がつくのでしょうか。
高級外車とか、競走馬を所有し、高級マンションに住んでいることだけでも、とても説明できるものではないでしょう。あるいはそれらが全て会社名義であるとでもいうのでしょうか。
いずれにせよ、5年前の上場直後に有馬純一郎名義の株式売却で得た20億円前後のキャッシュがあれば、納得できるのですが。


***●資料K

「増資すべき時期が再びやってきたのは、1999年夏のことだった。このときは株主割当増資を行い、出資者である創業メンバー兼恋人の父親にサイドお願いして(山根注、結婚まで決意した女性と深い関係になったのは、この年の春のことです。)、資本金を4000万円に増やした。この時期、オン・ザ・エッヂは新規株式公開(IPO)に向かって走り出そうとしていた。」(前掲書、P.110)

「上場の話が出てきたころ、彼女との付き合いは3年以上になっていた。だが、この1999年のこの時期、すでに関係はすっかり冷え切っていた。
最大の原因は、私の彼女に対する恋愛感情がすっかり消えてしまっていたからだ。そのころほかに好きな女の子が現われたということもある。
・・・・・
(四六時中一緒にいることによる)ストレスがどんどんたまっていき、それと反比例して愛情は冷え込んでいったのだ。そんなふうに関係はこじれていき、そして最後は修羅場となった。」(同書、P.111~P.112)

このようなことを平気で自分の著書に書き公表することのできる堀江貴文という人間は一体何者なのでしょうか。

 

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