冤罪を創る人々vol.56

2005年04月04日 第56号 発行部数:340部

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「冤罪を創る人々」-国家暴力の現場から-

日本一の脱税事件で逮捕起訴された公認会計士の闘いの実録。
マルサと検察が行なった捏造の実態を明らかにする。
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山根治(やまね・おさむ)  昭和17年(1942年)7月 生まれ
株式会社フォレスト・コンサルタンツ 主任コンサルタント
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●(第六章)権力としての検察 ― 暴力装置の実態

「7) 永瀬昭」より続く
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(8) 野津治美

一、 松江地方検察庁副検事。
組合員宅和勇一氏(参考人)の尋問を担当。平成8年6月10日、
第一審の第4回公判廷に検察官として出廷し、同9年2月4日の第
10回公判廷に、検察側申請にもとづき、証人として出廷している。

二、 副検事永瀬昭の作成になる藤原氏の供述調書同様、宅和氏の供
述調書も余りにも出来すぎていたために、野津治美は自ら墓穴を掘
るはめに陥った。

三、 宅和氏は、永瀬昭が尋問した藤原氏と同様に、組合員であった
ものの、架空取引とされた物件の売買の詳細については、ほとんど
知る立場になかった。
そのような宅和氏が、野津治美作成の検面調書の中で、売買の核
心に触れることを、こと細かに述べているのである。
何故、このような奇妙な供述調書が出来上ったのか。公判記録に
もとづいて、明らかにする。

四、 「逮捕をするぞ」とは言っていないと強弁しているものの、逮
捕をチラつかせて脅しながら尋問したことについては、永瀬昭の場
合と同じである。

五、 しかし、野津治美は、参考人の場合には黙秘権の告知が必要で
ないにも拘らず、敢えて黙秘権の告知をし、その理由として、調べ
を進めるにしたがって、将来被疑者の立場になる可能性があるから
だ、と証言している。
しかも、「逮捕されている2人の組合員と同じように、宅和氏に
も責任があり、罪に問われてもおかしくない」と宅和氏に言った旨、
証言する。

六、 このようなことを、検察庁の取調室で、面と向って言われたと
したら、どうであろうか。
まさに、逮捕をチラつかせて脅しているに等しく、いくら、「逮
捕するぞ」とは言っていないと、言い募っても通るものではない。

七、 野津治美の威圧的な言辞の故であろうか、宅和氏は、供述調書
の中で野津のことを終止「先生」と呼んでおり、野津は、宅和氏が
「先生」と言い続けるのにまかせていた。
「先生」と言わされるような力関係の中で野津は尋問をし、供述
調書を作成したのである。

八、 更に、本当のことを言っていないようだから、ポリグラフ(嘘
発見器)にかけると言ったのではないか、との尋問に対して、野津
は、「ポリグラフというものがあるとは言ったが、ポリグラフにか
けるとは言っていない」と言い募り、松原弁護人の更なる追及に対
して、「あなたの言うことは、信用できない。ポリグラフにかけれ
ば、それが確認できるとは確かに言った。しかし、ポリグラフにか
けるとは言っていない。」とシドロモドロになって、必死になって
弁解した。

九、 被告人席にいた私は、証人席で自ら証言している言葉の意味を
把握することができず、ある種、錯乱状態に陥っている野津治美に
対して、哀れみの情を禁じえなかった。

一〇、野津は、脱税事件のような難しい事件は初めてであると証言し、
税金の繰延べ(圧縮記帳)と架空取引との関連について、弁護人か
ら具体的に尋問されると、全くお手上げの状態であった。税法につ
いて、ほとんど無知の人物であり、このような人物が、脱税事件で
断罪する一翼を現実に担っているのである。
もっとも、税に関する無知は、ひとり野津だけの問題ではなく、
私の事件に関与した全ての検事に言えることだ。

一一、以上、野津は、「お前の言うことは信用できない。ポリグラフ
にかければ、すぐに判ることだ。もし素直に話さなければ、逮捕さ
れている2人の組合員同様、逮捕することになる。逮捕されたくな
ければ、こちらに全面的に協力して素直に供述することだ。」と申
し向けながら、宅和氏の尋問をし、自らは税金のことはほとんど理
解していない状態で、虚構のシナリオに沿って、偽りの供述調書を
創り上げていったのである。
公判の速記録は、このようなプロセスを、生々しく雄弁に物語っ
ている。

(続きはWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/274

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●山根治blog (※山根治が日々考えること)
http://consul.mz-style.com/catid/21

「ホリエモンの錬金術 -3」より続く
http://www.mz-style.com/item/270

・ホリエモンの錬金術 -4

ホリエモン・マジック・ショーのメイン・イベントは、光通信と
かグッドウィルとか大和証券SMBCを仲間に引き入れて、幻の優
良会社をデッチ上げることでした。ホリエモンの第1の、しかも中
核となるトリックです。

この幻の優良会社を、幻が消えてしまわないように支え、補強す
るために繰り出されたと考えられるのが、通算3万分割にも及ぶ株
式分割であり、株式分割とセットのように行なわれた2回にわたる
公募増資でした。ホリエモンの第2のトリックです。

3つ目のトリックは、法外な株式分割あるいは公募増資とセット
でなされた決算数字のお化粧です。上場後の株価を維持、あるいは
更につり上げるためのものでしょうか。

一見急成長している優良会社のような決算書になってはいるので
すが、連結、単体とも、じっくりと分析してみますと怪しげなとこ
ろが随所に見受けられるのです。上場会社の決算書で、有報の上か
ら数々の“いかがわしさ”がこれほど透けて見えるものは、めった
にありません。

以下、私がライブドアの決算書を敢えて“いかがわしい”もので
あると判断した根拠の一端を示します。

たとえば、連結調整勘定、営業権、新株発行権、貸倒引当金など
の会計処理の仕方とか表示方法が、期毎にかなりフラフラしている
ようですし、毎期のようになされている子会社との利益のキャッチ
ボールとか怪しげな在庫の計上など、ドタバタとなんとも賑やかな
決算になっています。

なかでも面白いのは、第9期(平成16年9月期)の単体のB/S
上に計上されている565百万円の仕掛品です。仕掛品の評価基準
と評価方法は、「個別原価法による原価法」と注記され、原価計算
は、「実際原価による個別原価計算を採用」と注記されています。
そこで原価計算を見てみますと、第9期から事業区分が5つから6
つに組み替えられており、それに対応して6つの原価明細書が示さ
れています。

この原価明細書には2つの部門に仕掛品が合計で、26百万円ほ
ど計上されており、残りの4つの部門には全く計上されていません。
B/S上との差異の539百万円は一体どうしたのでしょうか。

しかも、「主な資産及び負債の内容」を見てみますと、仕掛品
565百万円全額がソフトウェア事業のものとなっているのですが、
ソフトウェア原価明細書にはどこを見ても仕掛品がないのです。つ
まり、仕掛品の計上根拠が疑わしいものとなっており、同様のこと
は、第8期(平成15年9月期)でも言えることです。(93百万
円が不明)。これだけでも、利益の過大計上を疑われても仕方ない
でしょう。

この539百万円という金額は、第9期の経常利益(単体)
1,410百万円の38%にも相当するもので、無視できるもので
はありません。

これらのことは有報をよく見れば分かることです。しかし、有報
だけでは推測はできても判りかねるものがあります。

債権の評価もその一つです。

第9期の単体B/Sの貸倒引当金を見てみますと、ほんの申し訳
程度(1,972千円)計上されているだけで、第8期に計上され
ていた貸倒引当金の大半が取り崩され、単体のP/Lで特別利益
(貸倒引当金戻入額)として141百万円計上されています。引当
金明細表の注記には、「一般債権の貸倒実績率による洗替額であり
ます」とだけ記されており、単体B/Sの注記にある「貸倒懸念債
権等特定の債権」については言及されていません。ただ、それに対
応する「回収不能見込額」が単体B/Sの上でも単体P/Lの上で
も全く反映されていませんので、貸倒懸念債権は全くないというこ
となのでしょう。

これは平たく言えば、改めて債権の見直しを行なってみたところ、
不良債権は見当たらなかった、ということです。

しかし、第9期は、債権が大幅に増えています(しかも大半が、
買収した赤字子会社へのものです)し、前期までの不良債権はどう
なったというのでしょうか。

(続きはWebサイトにて)
http://www.mz-style.com/item/275

 

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