検証!! 『ホリエモンの錬金術』-10

****3.借名株についての新たな疑惑



 堀江氏が、「サイト批評その3」で「私と私の周りの人に実害があるので、なんとかせねばと」(「ホリエモンの錬金術サイト批評その3」)と発言していることについては、前回前々回において、私がこれまで関与していると考えてきた、堀江貴文氏、宮内亮治氏、中村長也氏、有馬晶子氏、有馬純一郎氏の5名のいずれにも当てはまらないことを検証しました。

 するとどうなるか。とくに、堀江氏の周りの人に実害がある、とする堀江氏の言葉が真実で、嘘でないならば、上記の堀江氏を除いた4人以外にそのような人物が存在することになります。実は4年前の「ホリエモンの錬金術」執筆時点で、借名株に関わっているその他の人物の存在にうすうす気付いてはいたのですが、記事の中で全く触れなかったのは、推断する根拠が見当らなかったからです。

 たしかに、インチキ・ドラマの中心人物は堀江氏であり、この人物が最も多くの不正な利益を手にしています。しかし、このようなカラクリが堀江氏一人でできたわけではなく、いくつかの会社とか組織が深く関与していました。具体的に私が指摘したのは、次のような会社であり組織でした。それぞれが相応の役割を演じ、不当な利益を得ているのです(『ホリエモンの錬金術-9』)。

 それは、
+株式会社光通信
+株式会社光通信パートナーズ
+株式会社グッドウィル・コミュニケーション
+大和証券SBCM株式会社
+東証マザーズ
+監査法人神奈川監査事務所
の6つです。
 私が指摘したのは、これら6つの会社・組織が不正な役割を演じ、不当な利益を受けている事実だけで、それぞれに属する個人については一切の言及をしていません。それがこのたび、堀江氏自身の「実害」という発言によって、汚れ仕事を担当した人達が、有馬純一郎氏名義の960株に関わっている可能性が出てきました。推断の根拠が出てきたということです。6つの会社とか組織ですから、それぞれに最低でも一人はこの汚れ仕事に加担していることになりますので、この有馬氏名義の株式に関わっている人物は、1人から6人程度の範囲で存在することになります。
 ズバリ言えば、-

 その人、あるいはその人達こそが、有馬純一郎氏名義の株式の真の所有者ではないか、ということです。

 私はこれまで、この株券の管理状況とかその他のことを総合的に勘案して、真の所有者は有馬純一郎氏ではなく、堀江貴文氏の所有ではないかと推断してきました。
 ところが堀江氏は私の推断が間違っていると主張しています。しかし、真の所有者が有馬純一郎氏である可能性は、これまで明らかにされている情報からすれば限りなくゼロに近いものです。このことは、これまで述べてきたこと(“ホリエモンの錬金術-13”、“検証!!『ホリエモンの錬金術』-9”)から言うことができるのです。
 更には、この推測をサポートする次の事実があります。
 一つは、有馬氏側が堀江氏関連では、5億円を超えるキャッシュを手にしていない(ようである)ことです。つまり、堀江氏が有馬氏親子に5億円の支払をしたことについては、彼の著書でも自慢そうに書いていることですし、このたびの自身のブログでも、著書での記述の矛盾を取り繕うためでしょうか、シドロモドロながら5億円については述べています。ところが、5億円の4倍以上の金額である、20億円余りの金額が上場直後に有馬氏側に入ったなどということは、これまで一度として喋ってはいないのです。自慢好きの堀江氏にしてはなんとも奇妙であるとしか言いようがありません。
 二つは、堀江氏が有馬氏側名義の株式を上場前に引き受けていたと思われることを自ら述べていることです。詳しくは、号外9に譲ります。

 つまり、960株の真の所有者が有馬氏でもなく、堀江氏の主張するように堀江氏の所有でもないとすれば、その他の人物、その最も可能性が高いのが、汚れ仕事を一緒になって実行した人物ということになります。
 汚れ仕事の代償として、上場時の評価額にして57億円、実際に売却して得られた金額にして20億円余りが、前記の6つの会社などに属していた誰かに渡っていたのではないかということです。このことが仮に事実であるとすれば、株式の真の所有者が有馬氏である場合はもちろんのこと、堀江氏である場合より更に大きな問題となってきます。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“彼でなきゃ イヤだと言った のはアンタ“ -茅ヶ崎、河野健二。

 

(毎日新聞、平成21年5月25日付、仲畑流万能川柳より)

(“出戻りの グチを封じる 決め言葉”)

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