『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-8

 弊社主任コンサルタント山根治が講演した「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」についての講演内容を、数回に渡って「山根治blog」にて公開いたします。
***【講演会】「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」
-日時: 平成22年1月23日(土)13時35分~
-場所: 島根県民会館307号室 (島根県松江市殿町158番地)
-講師: 公認会計士 山根治

第一回: 『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-1



『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-7より続く。



 そういうことで、もう一辺まとめてみますけれども、この2番目の皆美という人、干拓ではなくて埋立をする、ゴミ捨て場にして何をしたらいいか、彼のアイデアはゴルフ場にするということでした。ゴルフ場。3番目の丸さんは何を言ったか、これまた素晴らしいですよ。ゴミ捨て場の上にですね、木を植えて、森林公園にしようとブチ上げた。ちょっと普通の人ではありませんね。優秀ですよ、この人は(笑)。

 森林公園にしようと言ったのは丸さん。4番目の宮岡さん、これは日本一のゴミ捨て場にしようと言い出した張本人。これも立派ですね(笑)。

 それから5番目の山本氏は、これこそカメレオン中のカメレオン。”THEカメレオン”ですね(笑)。ご立派としか言いようがありません。

 6番目の山陰中央新報、これは、今日も新聞記者の方がいらっしゃったらぜひ聞いてほしいんですけど、まさに御用新聞。県の御用新聞。市の御用新聞。国の御用新聞。自民党が野党になった、さて、これからどうされますか。見物(みもの)ですね。

 私の考えと違っているからこう言っているんじゃない、もしきちっとした考え方を持っていたら、それを通せばいいと思うんですね。そういう点で、頑として私と違った立場を貫いた人で、絶対にいい加減なことをしなかった人は、何代か前の松江市長の中村芳二郎さん。この人はハッキリしていましたね。私はこの市長に直接だいぶ噛み付きましたけれども、絶対に自論を曲げなかった。立派でした。

 それから岡田(岡田善富)さん。最近お亡くなりになりましたが、この方も頑として私の意見に同調しませんでしたね。私と反対の立場でしたが、立派でしたね。カメレオンじゃなかった。お二人ともしっかりしたビジョンをお持ちで、テキながら天晴れと尊敬していました。

 今の市長、私、名前など忘れてしまいましたけれども(笑)、これは論外で…。何か言うと腹が立ちますから止めておきます。どうしようもない典型的な“過去官僚”です。(笑)。

***【5.松江市民としての対抗策】
 さて5番目ですが、松江市民としてどうしたらいいか、対抗策はあるのかということ。大義名分なき、平たい言葉で言ったら無駄な、公共事業をやめさせるためにはどうしたらいいか。
 ここで一番大事なことは、本当の情報、真実の情報を出してくださいということ。ゴマカシではなく、真実の情報を出す。具体的には、松江市、国交省、これは大橋川に関連することですけど、情報誌、松江の情報誌だとか、国交省の情報誌をたくさん作って皆に配っていますが、トンデモない偽り、インチキの宣伝のオン・パレードでございまして、そういうインチキはやめてほしいと。
 私はその中で、まず明らかにして欲しいのは、松江は水害がある、水害があるといって脅しています。だけども今まで国も市も県も、じゃあ松江市で被害がどのくらいあるのか、一回も公報として出していません。
 もし水害被害のおそれがあるのだったら、どこがどんなふうに水に浸かって、どういう損害が出るか、これを出すべきだと思うんですが、出さない。出したら、実はすぐにインチキがばれるから出さないんですね。だから、あらためて、もし被害があるあると言うんだったら、その被害の実際の予測、例えば150年に1度の水害による被害額を出して欲しい。今出せないと思うんですよ、インチキがばれるから出せない。でも出していただきたい。それを要求したいと思います。
 それからもう一つ。実は三点セットとよく言われていまして、ダムと放水路と大橋川。これらは三点セットだから、今更大橋川だけ切り離すことはできないと言っている。これまた、インチキでございましてね。三点セットというのは、全くのインチキ。これは過去のいろんな経緯、たとえばこの事業が決った当時の直良出雲市長が書かれた本なんか見ても分ります。経緯から見ても3点セットという言い分はインチキですし、それともう一つは先ほどらい申し上げているB/Cの計算プロセスからも、これは三点セットのインチキが明らかになっている。
 と言うのはですね、冒頭に申し上げたと思うけれども、この斐伊川水系の水害の見込みを、全体で65倍も水増ししている。ところがですね、よく中味、つまり、出雲地区と松江地区と比較してみましたら、出雲地区は160何倍の水増しをしている。松江地区はそれほどではありませんが、20倍の水増し。
 被害見込額は出雲地区の方が圧倒的に多い。全体の80何%は、出雲で起こることになっている。松江は出雲地区のダシに使われている。中海もそうです。中海なんて、松江以上にダシに使われている。全く、150年に1度の水害が起こっても、中海地区では水害がないと国交省自身が言っているわけですから。
 そういうことで、実際の三点セットというのは偽りだということです。
 2年後に放水路が完成するんだそうです。ダムと放水路が完成したときに、いったい大橋川にはどういった影響があるか。
 これは今までも、私達がわいのわいの言って、シミュレーションをしてもらった。国交省が出したシミュレーション。放水路が完成したら全く問題がない。松江地区、もちろん中海もです。水害が発生しないことがシミュレーションによって明らかになっています。
 実際の国交省のインチキデータによっても、そのことが証明できます。
 実際の被害はどうなのか。そういうことをハッキリと出していただく。出したら、それは嘘の上塗りになるはずです。
 それともう一つは、実はこれも偽りの宣伝になると思いますが、大橋はできてから70年になります。70年。老朽化している。耐用年数が過ぎているからいずれ壊れてしまう、早いうちに直した方がいいのではないかということが盛んに言われています。
 70年経って老朽化している。しかし、この老朽化という問題と、治水の問題は関係がない、全く違った問題です。この老朽化ということを問題にするんだったら、私調べてみたんですが、全国で橋の数は、10m以上の橋に限って言うと、15万本あります。15万本。その中で耐用年数を超えたものが、だいたい1万本近くある。1万本。
 だからその1万本のうちの一つに松江大橋が入っているということです。さらに、全く使い物にならなくなって、通行止めになっている橋が、全国で121ある。121。通行止めに至っていないけれども、車両の重量制限しているものが680本。そういう現況がございまして、これまた、この地域のことだけじゃなくて、全国的財政難の折りに、松江大橋だけが特別扱いされてもいいものか、しかも70年経っていると言いましてもあの橋は土台が堅固なものでして、まだ十分使用に耐える、補修すれば十分に使用に耐えるものです。
 ただ、そうは言っても台風かなんかで流される可能性がある。その時はその時で対応すればいい。その時は今のままの状況で復元する。そんなに金はかかりません。
 こういったものを持ってきて、あれもこれも一緒にして行政が宣伝しているきらいがある。例えば、あの淡水化・干拓反対のときに、島根県知事の、あの時は澄田(信義)さんでしたけれども、あの人は何を言っていたか。もし反対して、中止に追い込むと、そのつけが全部島根県に回ってくる。島根県は財政的に破綻するといったことを、言っていた。
 こんなことをまことしやかに言っておりまして、実は私もそうですけども、島大の保母先生は財政学の専門家ですから、バカなことを言っているんじゃないということで、一蹴したんですけれども、ずーっとインチキの情報として流されていた。
 それと同じようにですね。橋が老朽化するだとか、あるいは八軒屋町のところに結構きれいな公園を作ってあげるとか、そんなことは治水とは関係ないことでございます。そこのところキチンと分けて考えないといけない。あれもこれもと繰り出して、いたずらに住民の不安を煽ったり、あるいは余計な心配を抱かせる情報をタレ流したり、治水とは関係のない街づくりといったエサをちらつかせたりしている。そういうことはやめていただきたい、ということなんですね。

 島根県がやっている大手前道路についてはこれだけのものがございましたんで、県知事、責任者は県知事ですから、溝口(善兵衛)さんに出てきていただいて、私と公開討論するのが一番だと思っています。彼が出てこなかったら、もう部下でいいですから、少なくとも部長ぐらいは出てきて、やはりキチッとした答弁をしてほしい。
 もし強行に事業を推進するのであれば、違法を覚悟で、法律に違反することを覚悟で、それでもやりますかと、私は突きつけようと思っています。

(この項つづく)

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 ここで一句。

“孫成人 夫変人 妻異人” -茅ヶ崎、テレジア。

(毎日新聞、平成22年3月20日付、仲畑流万能川柳より)

(息子奇人で嫁痴人。)

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