『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-9

 弊社主任コンサルタント山根治が講演した「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」についての講演内容を、数回に渡って「山根治blog」にて公開いたします。
***【講演会】「大義名分なき公共事業 -大手前通り、大橋川改修、八ッ場ダム」
-日時: 平成22年1月23日(土)13時35分~
-場所: 島根県民会館307号室 (島根県松江市殿町158番地)
-講師: 公認会計士 山根治

第一回: 『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-1



『大義名分なき公共事業』-大手前道路、大橋川改修、八ッ場ダム-8より続く。



 それから、対抗策の2番目は、土地の買収に応じないこと。実は、大手前道路、かなりの方、8割を超えていますか、8割を超えた方が買収に応じられていますが、三反田(輝雄)さんをはじめ、後何人か残っていらっしゃる。5、6人残っていらっしゃると思いますが、これはですね、ぜひ応じないでいただきたい。

 現在、法の建前としては土地収用法というものがありますけれども、こういう違法な状態の下では、土地収用法の発動は不可能です。買収に応じなければ、工事はできません。これを頑として応じないということは、自分達のエゴでない、単なるノスタルジアだけではない。エゴでもなければノスタルジアでもない。あくまでも違法な工事に加担することになる、ということから応じないでいただきたい、と思います。

 実は、私、個人的なことですけど、大橋川沿いに全部で10個ほどの不動産物件を持っていますが、ごく最近、松江大橋のたもとに売りものが出た。たまたま縁がありまして、買いました。

 あの籠の鼻(かごのはな)の突端、大橋川の入口ですが、そこを買いました。2年前には和多見のど真ん中を買っていまして、ちょうど拡幅される入口と半ばほどのニヶ所。今日、息子も来ておりますので、この際だから言っておきますけども、私も67歳ですから、いつどうなるか分らない。もし工事ということに関連してだったら絶対に応じてはいけない。どんなに金を積まれても、どんなに脅されても、買収に応じるなと、遺言にしようかと思っていまして(笑)、他の不動産は全部売ってもいいけれども、あそこだけは売るなと、改めて言っておきます。

 それから3番目。自滅を待つこと。自民党は50年以上政権をやってきまして、当初は、まあ戦後の荒廃を立て直した、ある面で功績はあるんですが、ところが、50年以上続けていますとね、ウミが噴き出てくる。利権あさりに明け暮れている政治家とか能力もなければモラルもない役人の横行、検察の勝手気ままなやり方、あるいは税務署もそうですよね。全く滅茶苦茶なやり方をしています。
 それだけでなくて、あっちこっちにウミがたまっている。私、具体的に申し上げますけども、このウミはですね、特に道路にも関連しますが、大橋川のもう少し上の方になりますが、出雲の放水路に関連して、あそこの利権絡みというのは眼も疑うような無茶苦茶なことをやっていますね。
 このような不正が表沙汰になるかどうか、ズバリ出てくるかどうか分りません。私、この間、具体的な事例を把握したんですが、これは犯罪行為と言っていい。他の犯罪行為に関連して表沙汰になる可能性がある。犯罪行為。JA出雲、出雲の農協。これがトンデモないことをやっている。それは農協が、政治家とグルになって、農協ぐるみで変なことをやっている。具体的に言えば、不正融資です。不正融資をやっている。
 私、具体的には1件だけ犯罪行為を見つけたことから、全体のいずも農協の決算書を分析したんです。滅茶苦茶ですね。JAは県が監督していますが、ちょうど去年、一年ぐらい前から会計士協会に依頼があって今検査が始まっていると聞いています。私にも検査メンバーに入るかどうか打診がありましたけれども遠慮しました。私は入っていませんが、若い会計士がやっていると思います。農協の不正が暴かれることによって公共工事の不正にも飛び火するのではないか。
 大橋川はまだ工事が始まっていませんので、2つのダムあるいは放水路のあたりから、不正のウミが表に出てくるのではないかと思っています。
 特に、何人の方にはお話し申し上げましたけれども、放水路事業は、5年おきに見直しされますけど、去年出されたデータではですね、その5年前と比べて400億円多くなっています。放水路の予算が400億円水増しされている。掴み金が400億円。
 5年前が2,100億円だったのが、なんと訳の分らないことをして400億円プラスになっている。これについて、私は、新聞社の人に話しました。マスコミがキチンと中味を追求しなさいと言っているけども、何もしませんね。
 いずれにせよ、その400億円は、何なのか。どうも、放水路の橋を多く架けることにしたんじゃないかと思うんですね。本来2,100億円でも出してはいけない過大な投資であるにもかかわらず、また掴み金をして400億円を追加した。
 それがどこへ行っているかと言うと、出雲のいわくつきの業者に行っている形跡がある。
 今の政治がどうなるか分らないけど、政権いかんに関わらず、仮にまた元の自民党に戻ったとしても、こういうインチキはですね、しかも犯罪行為のようなものが続くはずがありません。まあ、自滅を待つ、私は特に告発などしませんけど、自滅を待ってもいいであろうというふうに思っています。
 おそらく今年、まあいつ頃か、後1年以内ぐらいには、どこかでボンと出てくると思いますね。JAの不正融資と不正な公共工事とが密接に絡まっている、しかも、複数の政治家が絡んでいる節があるからです。農協を利用して農家の人達を食いものにしてきた政治屋、公共事業を利用して公金を食い荒らしてきた政治屋、この人達の実像が遠からず明らかになるはずです。保守王国とされてきた島根県の汚れた実態が、政権交代を機に次第に明らかになってくる、私はそのように考えています。

***【6.今後の見通し】
 今後の見通しを最後に申し上げます。県は大手前の工事をしゃかりきになって強引に進めようとしています。ご存知のように大橋川については去年の暮れあたりからバタバタと、鳥取県の同意を取り付けたり、ついこの間、先週ですか、大橋川改修事業の工程表が発表されたりしている。もう何が何でもやろうとしています。
 彼らはなんとしてもやろうとしてはいるでしょうけれども、違法なことです。単なる無駄遣いじゃなくて、明らかに違法であることをやろうとしている。
 これはですね、地域の、私達の立場からだけじゃなくて、日本全体から見ても、どうしても中止させなければいけない。八ッ場ダムも同じことです。今日は、八ッ場ダムのことについてはあまり話せませんでしたので、ぜひ私のブログ記事をご覧になって下さい(「八ツ場(やんば)ダムの中止と税金ドロボー-1 」)。
 八ッ場ダムについて一言だけ。八ッ場ダムについてはカスリーン台風というのが来ました。それで関東一円、甚大な水害被害が出た。それではいけないということで計画されたダムなんです、八ッ場ダム、カスリーン台風がきっかけでした。
 ところがですね、情報開示によってだんだん明らかになってきたデータを見ますと、カスリーン台風が、仮にまた襲ってきたとしても八ッ場ダムは全く無意味だと言うことを基礎データとして出しているんです。そうした全く無意味なことを、当時から知った上でダムを計画した。役人が考えていることはどこでも同じようなことです。これまではそれが通ってきたのですが、B/Cという一つのくさびが入ったために、困ったことになった。
 もともとインチキから出発したから、どんなに屁理屈をつけても論理が破綻するんです。数字は正直ですからね。
 そういうことで、私は、この地域のためだけじゃなくて、日本国家全体から見ても、大義名分のないムダな事業はやらせるべきでない。とにかく一番事情をよく知っている地元の私達が反対しなければならないというふうに思っています。
 以上で終わります。(拍手。15時7分)

(この項つづく)

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 ここで一句。

“何枚も 舌を抜かれて 定年す” -宝塚、忠公。

 

(毎日新聞、平成22年3月20日付、仲畑流万能川柳より)

(定年後鬼より怖い妻がいる。)

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