原発とは何か?-⑯
- 2011.11.08
- 山根治blog
最近の報道によれば、東京電力の救済スキーム(「原発とは何か?-号外(パンドラの箱)」参照)を作成したのは東京電力のメインバンクである三井住友銀行であるという。緊急融資2兆円のうちで最も金額の多い6,000億円を用立てた銀行だ。 この救済スキームをベースにして原子力損害賠償支援機構法(以下、支援機構法という)が成立したものの、国会の附帯決議で「本法は、東京電力を救済することが目的でない」ことが確 […]
フォレスト・コンサルタンツ
最近の報道によれば、東京電力の救済スキーム(「原発とは何か?-号外(パンドラの箱)」参照)を作成したのは東京電力のメインバンクである三井住友銀行であるという。緊急融資2兆円のうちで最も金額の多い6,000億円を用立てた銀行だ。 この救済スキームをベースにして原子力損害賠償支援機構法(以下、支援機構法という)が成立したものの、国会の附帯決議で「本法は、東京電力を救済することが目的でない」ことが確 […]
本稿の⑩(「原発とは何か?-⑩」)において、東京電力の平成23年3月期の決算では賠償金が未計上であったことに加え、今一つ従来の決算とは異なる突出したものがあることを指摘した。 本稿の⑪(「原発とは何か?-⑪」)において、それが期末日における2兆円を超えるキャッシュであり、その大半である1兆9,650億円が、期末日に大手銀行8行からの無担保・無保証融資によって調達されたものであることを明らかにし […]
東京電力は、原発事故の原因について、事故直後しばらくの間、「異常に巨大な天災地変」(原賠法第3条ただし書)、具体的には想定外の津波によるものであると主張していた。東京電力に事故責任がなく、損害賠償義務が存在しないことを言いたかったのであろう。東京電力が本気でそのように思っていたのか、あるいは、ただし書の適用などありえないことを承知の上で敢えてそれを言い募っていたのか定かではない。 私は、原賠法 […]
巨額緊急融資について、次に東京電力側の言い分を検討する。前掲の日経記事(「東電支援の舞台裏、2兆円緊急融資、大手銀は即決、薄氷の公的管理第1幕」参照)によれば、“「このままでは、そう遠くない時期に資金ショートしてしまう」。東京電力の武井優・財務担当副社長のもとに社内の各部門から資金要請が殺到した。東電は自力で市場から資金調達できなくなっていた。5000億円弱の手元資金は夏にも底をつく恐れが出てき […]
平成23年3月期の期末日に、東京電力に対して大手銀行8行が、合計1兆9,650億円の緊急融資を行なったのは事実である。しかも、東京電力は前代未聞の大事故を起しており、事故収拾費と損害賠償費はともに天文学的な数字が想定されており、一瞬にして債務超過に陥った蓋然性が高い時期である。通常想定されるシナリオは、日本航空のように債務超過→法的破綻処理に至るプロセスだ。 株式市場は敏感に反応し、事故直前の […]
***-原発と鉄腕アトム 夜中にほろ酔いかげんで、うつらうつらとしてテレビを見ていたところ、おなじみのキャラクターが目に飛び込んできた。かつて一世を風靡したテレビアニメの主人公鉄腕アトムだ。 エーザイの胃腸薬のコマーシャル。「ヒューマン・ヘルス・ケアのエーザイ」というナレーションの後に、鉄腕アトムが出てきて可愛らしい子供の声で「ボクを想い出してネ」と訴えかけるものだ。 アメリカの対日核戦略の […]
東京電力の経営陣が行った異常な行動とは何か。その異常な行動の軌跡とは何か。 ズバリ、お金である。決算期末の現金預金が突出して多くなっている、一年前と比較して、ナント2兆572億円(連結では2兆681億円)も多くなっているのである。 東京電力はどのようにして2兆円ものキャッシュを調達したのか不審に思ったので決算書を見てみると、長期借入金が一年前と比べて1兆8,138億円(連結では、1兆8,09 […]
***-原発事故の特殊性(2) 原発事故について、原因別に類型化すれば次のようになる。 1.人災 1)過失・重過失…操作ミス(誤操作)、事故対策(安全保安マニュアル等)の不備 2)故意(未必の故意)…操作ミス(誤操作)、事故対策(安全保安マニュアル等)の不備-予見可能性 2.天災(天災地変) 1)通常の天災 1.「賠償措置額」(1,200億円)以下。-地震・噴火・津波(原賠法第3条、原 […]
東京電力は何故怪しげな決算を組み、怪しげな有価証券報告書を開示しなければならなかったのか。また、監査人は何故そのような決算を無条件で追認(無限定適正意見の表明)しなければならなかったのか。 以下、それぞれの思惑を忖度(そんたく)してみることにする。 まず、東京電力。原賠法(原子力損害の賠償に関する法律)の規定に基づいて国から援助を受けるためには、決算期日において大幅な債務超過、つまり経営破綻 […]
***-原発事故の特殊性(1) 東京電力が起こした原発の事故は、一般企業が起す事故と比較して、事故責任の点で著しく異なっている。いつ、誰が、どのような形で事故の賠償責任をとるのか極めて特殊な仕組みになっているのである。 東京電力の事故賠償責任について関連する法規は次の4つである。 +原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年6月17日、法律第147号) +原子力損害賠償補償契約に関する法律(昭和 […]