B02 マッチポンプ 2
- 2005.03.17
- 経済事件ノート
***(2)事前通知 社長室の電話が鳴った。 「A税務署ですが、明日税務調査に行くことにしましたのでよろしく。経理担当者だけでなく、社長も会社の中にいるように。顧問税理士のB先生にはこちらから連絡しないから、アンタの方から電話しておいてください。」 横柄きわまりない架電は、一方的にまくしたてられて、切れてしまった。 C建設株式会社。資本金5千万円、従業員100人余り、年間の完成工事高50億円程度。 […]
フォレスト・コンサルタンツ
***(2)事前通知 社長室の電話が鳴った。 「A税務署ですが、明日税務調査に行くことにしましたのでよろしく。経理担当者だけでなく、社長も会社の中にいるように。顧問税理士のB先生にはこちらから連絡しないから、アンタの方から電話しておいてください。」 横柄きわまりない架電は、一方的にまくしたてられて、切れてしまった。 C建設株式会社。資本金5千万円、従業員100人余り、年間の完成工事高50億円程度。 […]
***(1)登場人物のプロフィール ****1. A税務署上席調査官 退官を来年に控えて、世渡りの要領が悪く、署長はおろか統括官にさえなれず、上席どまりで終りそうなノンキャリアの税務署員。 ****2. B税理士 40才そこそこで統括官になるや、40才半ばに退官し、税理士事務所を開設した国税OB。現在58才。地元の税理士仲間ではやり手と評判の人物。事務所は地元ではトップクラスの規模を誇る。商売 […]
****2. 密告の蓋然性 取引銀行が国税当局に密告したかどうか今となっては確認のしようがない。 しかし、いくつかの状況証拠が、密告の蓋然性を物語る。 (一) 国税当局は、同社の社長の弟であり副社長であったB氏によれば、”脱税”の事実を把握した上で調査に臨んだという。つまり、国税当局は事前に情報を得ていたということだ。国税当局はどのようにしてその情報を得たのであろうか。 会社の4人の幹部名義の株式 […]
***(10)倒産の深層 ****1. 密告者の存在 平成16年9月28日、ある経済誌の編集者からハニックス工業の倒産に関して驚くべき情報がもたらされた。 同社の”脱税”を国税当局に密告した者がおり、それは同社のメインバンクであるX銀行であった、-このような噂が当時経済界の一部に広まっていたというのである。 この編集者は、同社の倒産後にX銀行の担当支店長にインタビューしている。支店長の反応は実に冷 […]
***(9)遺族との接触 平成13年6月25日、検察側の上告断念によって、私にかかるマルサの捏造事件は一応の結末を終えた。 私はかねてから心に懸かっていたハニックス工業に関する疑念を払拭するために、同社が公開していた有価証券報告書の全てを取り寄せ、徹底した分析を行ってみた。 更に、同社に関する各種資料を改めて可能な限り集めて、財務諸表分析に加えた。 その結果、私は、上述のような結論に達したので、一 […]
***(8)倒産の真相 私が確信するに至ったハニックス工業倒産の真相は、 ― 関連会社の倒産を背景にして、一部情報機関が会社の信用不安説を流し、銀行筋が信用供与に慎重になった。このような状況の中で、東京国税局が、虚構のシナリオによる脱税の告発を行ない、マスコミに公表した。この告発は単なる脱税の告発ではなく、証券市場におけるディスクロージャーの根幹を傷つける自己株式の不正取得とその売却を内容とするも […]
*(4)その他のケース あるいは、個人で申告させて、低い税率による税金を納めた残りを会社がつかうつもりであったとでもいうのであろうか。 この場合、税引後の資金がストレートに会社の資金として活用できないのは前述のとおりである。各個人から会社が借りる形式をとれば、正規の帳簿に計上できるのではないかという議論もあろう。 しかし、それならば、敢えて会社の裏金をつかって自社株の取得をするという重大な犯罪行為 […]
*(3) 裏金(うらがね)による取得のケース 次に、裏金によって取得された自己株式について。 個人経営者もしくは、オーナー経営者の中には、あるいは、裏金づくりに精を出している人がいるかもしれない。しかし、そのような人達でも、ひとたび会社の株式を公開しようと考え始めると大幅に変わっていくものである。 公開基準を達成するために財務体質の強化と収益性の向上が会社に求められる。会社がそれに応えれば応えるほ […]
*(2) 表金(おもてがね)による取得のケース 自己株式について企業会計の側面から分析することとする。 自己株式は、企業会計的には、会社の資金で取得された自らの会社の株式であるということができる。会社の資金という場合、通常は正規の金銭出納帳を経由した資金をいうのであるが、例外的に帳簿を経由しない場合もありうる。便宜上、前者を表金(おもてがね)、後者を裏金(うらがね)と呼ぶこととする。裏金は、正規の […]
****2. 自己株式 *****(1) 自己株式とは まず第一に目につくのは、自社株のことである。 自社株 ― 商法上自己株式といい、現在は商法改正によって合法的に取得できるようになっているが、当時は原則としてその取得が禁じられていた(商法210条)。会社が「何人の名義を以ってするを問わず、会社の計算に於て不正に其の株式を取得し…たるとき」は、会社の役員等は、会社財産を危うくする罪として「五年以 […]