経済事件ノート

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A08 ハニックス工業 事件の真相 8

***(7)虚構のシナリオの吟味 ****1. マルサの告発 東京国税局に対する疑念が払拭できなくなった私は、当時脱税としていかなる告発がなされたのか、改めて吟味してみることにした。 経済記事に関して的確な報道をすることで定評のある日本経済新聞は、社会面で、『自社株売却、32億所得隠し、ハニックス工業90年店頭公開時』との見出しを揚げ、 ― 『国税当局や関係者によると、ハニックス工業は88年ごろか […]

A07 ハニックス工業 事件の真相 7

***(6)虚構のシナリオ ハニックス工業の事件は、私がマルサと死闘を繰り広げているときに起ったものであり、当時から私と同じようなケースではないかという予感があった。 私はその後、逮捕され、手錠腰縄つきで刑事法廷の場に引きずり出され、名誉と人格権とを踏みにじられた。 その間、私は、自らの名誉を回復し、人格権を復活させるのに精一杯であり、他を省みるゆとりがなかった。   マルサの虚構のシナリオを完全 […]

A06 ハニックス工業 事件の真相 6

***(5)倒産の真相についての疑念  ハニックス工業の倒産の主たる原因は、一般に信じられてきたように、果して会社の業績悪化と粉飾決算であったのか、会社に対する東京国税局の脱税告発とその公表は、果して正当なものであったのか、社長の抗議の自決について国税当局は、果して責任が全くないと言い切れるのか、 ― これらの疑念が、日が経つにつれて私の心の中に大きくふくらんできたのである。    世間は、マルサ […]

A05 ハニックス工業 事件の真相 5

***(4)倒産と社長の自殺についての国税当局の見解  倒産と社長の抗議の自殺に関する国税当局の見解は次のようなものであった。 『東京国税局の横尾貞昭・国税広報室長は「このような事態になって大変お気の毒だが、課税面については適正に処理し、告発した。この件でH社長から抗議を受けたことはない」と話している。』(読売新聞、平成5年12月25日) 『東京国税局の村上喜堂・総務部長は、「亡くなったH社長はお […]

A04 ハニックス工業 事件の真相 4

  ***(3)倒産についての一般の見解  会社が倒産し、社長が壮絶な自殺をしてから10年程が経過した。その後、連鎖倒産の数は63社に及んだ。  脱税で告発された三日後に倒産したことについて、大方の見方は次のようなものであった。 日本経済新聞の竹居芳照論説委員は、 ― 『悪質な脱税に対する告発が引き金になって会社がすぐに倒産した例はまずない。だから倒産は国税当局にとっても衝撃的だったようだ。そして […]

A03 ハニックス工業 事件の真相 3

  ****2. マルサの告発と自決  平成5年5月26日、新聞各紙は、東京国税局が同社と同社長を脱税の嫌疑で東京地検に告発したことを一斉に報じた。  三日後の5月29日、同社は東京地裁に会社更生法の適用を申請した。倒産である。  東京証券取引所は、同社株を直ちに、店頭管理銘柄に移した。  最高値で1万7,500円をつけ、直前までも、2千円台をキープしており、倒産の前日は2,480円をつけていた株 […]

A02 ハニックス工業 事件の真相 2

  ***(2)倒産と死に至る経緯 ****1. 店頭公開とマルサ  東京国税局のロビーで、恨みの遺書を胸にしのばせて、壮絶な自害をして果てたオーナー社長H氏、 ―  私は、この事件の全容を把握するために、早速、新聞各紙を買い求めて関連記事を切り抜くと共に、ハニックス工業関連の情報を集めることにした。  その結果、およそ全体の構図が判ってきた。  H氏は、昭和9年4月12日に新潟県燕市に生まれ、同 […]

A01 ハニックス工業 事件の真相 1

***(1)はじめに  ハニックス工業の社長が、ショッキングな形で自らの命を絶ったことは、既に「冤罪を創る人々」の「7)ある社長の自殺」の項で記述した。  当時、私自身が広島国税局の告発を前提とした理不尽な調査を受けていたこともあって、他人事とは思えない事件として私に大きな衝撃を与えたものであった。  ここで敢えて「事件」と言うのは、同社が倒産に至った経緯に多分に犯罪の臭いがするからであり、同社社 […]

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