修正申告の落とし穴-③
- 2014.03.04
- 山根治blog
料調が内定調査の結果携えてくる「脱税ストーリー」とは何か。
まず、内部調査によって不正行為らしきものを発見すると、他にも同様の不正行為があるものと類推し、不正金額を膨らませる。これを過去5年間にまで引き延ばして、不正金額をフーセンのように膨らませる。推計課税のやり方だ。
もともと推計課税は、一定の条件を付けた上で認められている課税処分の方法である(たとえば、法人税法第131条)。もちろん違法なものではない。
しかしこれは、あくまでも実地の調査が終ってからのことだ。料調は、実地の調査を始める前に予(あらかじ)め脱税金額を推計して決めてしまうのである。これが「脱税ストーリー」だ。
ストーリーは金額だけではない。推計のスタートとなる「不正行為」についても推測によるものだ。
「疑わしい」「不正行為であるに違いない」と推測して、もっともらしい不正行為のシナリオが創られるのである。捏造(ねつぞう)である。
いわば仮想の不正行為をもとにして、推計による脱税金額を限りなく膨らませたもの、それが料調の「脱税ストーリー」だ。この典型的な事例が、犯罪行為を伴った大阪国税局資料調査課による税務調査(「脱税は犯罪ではなかった-3」「脱税は犯罪ではなかった-4」「脱税は犯罪ではなかった-5」参照)だ。
私はこれまで、数多くの料調による税務調査の立会いを行なってきた。その全てに、上記のような怪しげな「脱税ストーリー」が認められた。
不正行為ではないものを不正行為であると言い募り、単純な申告漏れの修正で済むものを、10倍にも20倍にも金額を膨らませて納税者にふっかけてくるのである。
料調がどんなに圧力をかけて押し付けようとしても、そのような理不尽なことがまかり通るはずがない。まず実態に即して不正認定を外し、次に推計課税ではなく、実態に即した実額課税方式に切り換えるだけでよい。これだけで、料調が提示してくる脱漏所得を確実に削減することができる。パンパンに膨れ上がったフーセンが縮むのである。
これまでの私の経験では、50%削減はごく普通のことであったし、中には10分の1、20分の1にまで削減して決着したケースもあった。私が行なう料調との交渉が特別なものであるからではない。私が特殊な技能を持ち合わせている訳でもなければ、もちろん裏取引(アンダー・ハンド)した結果でもない。単に、荒唐無稽(こうとうむけい)な「脱税ストーリー」を私が実態に即して訂正させるだけのことだ。何も難しいことではない。
私を「悪徳税理士」呼ばわりして噛みついてきた税理士(『「悪徳税理士」の弁』参照)がいた。神戸の齋藤義典税理士である。
この人物、私が大阪国税局と裏取引をして不当に税額を削減したものと思い込み、私だけでなく国税局の担当職員も私とグルになって不正を働いたとして懲戒処分を申し立てている。私は不正認定を外してもらい、料調の提示額を50%以上下回る金額で話し合いをつけたのであったが、それを不正行為であると極めつけてきたのである。
この税理士は税務経験が浅く、料調の税務調査の立会経験がない。もちろん料調がいかなるものであるか全く知らない。「脱税ストーリー」がいかなるものであるか、更には、不正認定、あるいは「推計課税」とか「実額課税」といった税務の基本さえ知らないのである。
齋藤義典税理士は、この件に関して私を大阪国税局と広島国税局に対して税理士の懲戒申立てをしたり、松江地検に対して業務上横領と詐欺の罪で告発している。私は、松江地検三席の折原祟文検察官から松江地検に呼びつけられて、すでに2回、被疑者としての取調べを受けている。
一回目の取調べについては、ICレコーダーによる録音の反訳文を作成し、すでに公表した(「民主党政権の置き土産-偽りの査察調査-号外4」参照)。
この反訳文に関して、折原祟文検察官が、齋藤義典税理士同様に、税務とくに税務調査について無知であることを露呈した事実を指摘した(「民主党政権の置き土産-偽りの査察調査-⑬」参照)。折原祟文検察官が自らの無知をさらけ出した「アンダー・ハンド」(裏取引)については詳しく述べたところである。
このたび、折原祟文検察官が行った2回目の取調べの全てを公表(「修正申告の落とし穴-号外」参照)する。平成25年12月16日、松江地検3Fの折原三席のオフィスで行われた、被疑者としての取調べである。第一回目の取調べとは異なり、ICレコーダーを折原祟文検察官の目の前に置いて録音し、反訳したものだ。密室で行われる検察官の取調べが、いかに出鱈目(でたらめ)なものであるか、その実態の一端が明らかになるはずである。まさに、冤罪の捏造現場からのレポートである。
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ここで一句。
(秘密保護法。)
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