検証!! 『ホリエモンの錬金術』-5

***(3)堀江氏の自白 - 借名株をめぐって

 前回までに論点を整理し、虚言という枝葉を切り捨てましたので、これから本題に入ります。つまり、私が借名株ではないかと指摘したことに対して、堀江貴文氏は異常とも思える位に反応して、「A氏所有の株が、実は私(山根注:堀江氏のことです)の借名株だったという、トンデモ話」であるとして、「根拠のない中傷」であると非難していることです。

 私が指摘したことが本当に「根拠のない中傷」なのでしょうか。堀江氏の言い分にじっくりと耳を傾け、彼が何を言っているのか整理してみることにいたします。
 まず、これまで堀江氏が明らかにしたのは、A氏、つまり有馬純一郎氏の上場当時の持株960株が借名株ではないということだけで、それを根拠づける直接的な情報は開示されていません。私が二週間前にこのブログで、明言することを促したことさえ、いまだ明らかにされていないのです。何か差し障りでもあるのでしょうか、饒舌(じょうぜつ)な堀江氏が、音無しの構えを決め込んでいます。
 ただ堀江氏は、有馬氏名義の株をめぐってこれまで明らかにされなかった事実をいくつか述べていますので、それらを摘示してみることにいたします。当事者しか知りえなかったことで、いわば秘密の暴露にあたるものです。私が「堀江氏の自白」と小見出しにつけているのはこのことです。
 この間の事情は、「ホリエモンの錬金術」サイト批評2で次のように述べられています。

「(上場後)株価は暴落していきました。もちろんネットバブルがはじけたこともありますし、それによって上場後初の決算は赤字になる見込でしたので、そのせいもあるとは思いますが、出来高もそれなりに出来ていて、理由が分かりませんでした。

 

そしたら、日興証券経由で大株主のAさんが市場で売っていることが発覚したのです。ですので、慌てて彼に連絡して、大量保有報告書の提出などの事務作業を中村さん(山根注:中村長也氏のことです)が行ったわけです。ただ、彼が売るのは自由ですから、結局止められず全部売り切るまで株価は暴落を続けました。」(「ホリエモンの錬金術」サイト批評2

 この一連の文章の中で私が注目したのは後半の部分です。まとめてみますと、-
+(上場直後から)大株主の有馬純一郎氏が市場で持株を売っていることが発覚した。
+(堀江氏は)慌てて有馬氏に連絡した。
+(有馬氏の)大量保有報告書の提出などの事務作業を中村長也氏が行った。
+有馬氏の株の売却を止めることはできず、有馬氏が持株を全部売り切るまで株価は暴落を続けた。
ということになります。
 上記1.~4.の中でもとりわけ私が注目したのは、3.の件(くだり)です。私が『ホリエモンの錬金術-13』で指摘したことを堀江氏自ら認めているのです。
 つまり、私は4年前に、有馬純一郎氏の大量保有報告書と変更報告書が、会社(当時はオン・ザ・エッヂ)の管理本部の中村長也氏なる人物によって作成されていること、および、有馬氏の連絡先が有馬氏本人ではなく、中村長也氏になっていることを指摘しています。
 このたび堀江氏は、報告書の作成だけでなく、報告書の提出までも中村氏が行ったことを明らかにしました。提出行為については4年前に確認することができなかったことから、私が指摘していないことです。

 私は上記の事実(但し、提出行為は入っていません)を含めた5つの根拠をもとに、有馬氏名義の株式960株が有馬純一郎氏の管理下にはなく、堀江貴文氏の管理下にあるのではないかと推断し、更にその他の事情も考え合わせて、株式の名義は有馬氏になっていても、実際のところは堀江氏の所有になるものではないか、と推断したわけです(『ホリエモンの錬金術-13』)。
 ここでは別の角度から、上記の事実、つまり、有馬氏の大量保有報告書と変更報告書とが、有馬氏以外の第三者によって作成され、提出されている事実のもつ意味合いについて考えてみることにいたします。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“オレオレと きたらばオレも オレオレと” -海老名、茄子美。

 

(毎日新聞、平成21年5月21日付、仲畑流万能川柳より)

(“詐欺の撃退 この手に限る しばし楽しむ 詐欺芝居”)

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