100年に1度のチャンス -13

 平成20年12月末の個人の金融資産は、実効レートベースでは次のようになります。



 まず、9月末における1,467兆円の金融資産の内訳を見てみますと、



^^t

^cx^内訳

^cx^金額

^^

^1.現金・預金

^rr^779兆円

^^

^2.債券

^rr^43兆円

^^

^3.投資信託

^rr^59兆円

^^

^4.株式・出資金

^rr^118兆円

^^

^5.保険・年金準備金

^rr^402兆円

^^

^6.その他

^rr^66兆円

^^

^cx^合計

^cx^1,467兆円

^^/

のうち、株式が入っているのは、3.4.5.だけです。3.の投資信託の25%、4.の株式・出資金の98%、5.の保険の12%、同じく5.の年金準備金の30%(この2つを合せて、24%)が株式ですので、事実上の株式の保有額は、

^^t
^cx^内訳
^cx^金額
^^
^3.投資信託
^rr^59兆円×0.25= 15兆円
^^
^4.株式・出資金
^rr^118兆円×0.98=116兆円
^^
^5.保険・年金準備金
^rr^402兆円×0.24= 96兆円
^^
^cx^合計
^cx^227兆円
^^/
と、227兆円となります。

 次に、平成20年9月末の日経平均株価は1万1,259円、同年12月末のそれは8,859円でしたから、この3ヶ月の下落率は21%(=(1万1,259円-8,859円)÷1万1,259円×100)となります。
 個人が事実上保有している株式227兆円が日経平均株価に連動するものとしますと、平成20年12月末の個人所有の株式の額は、名目で
-227兆円×(1-0.21)=179兆円
となり、この3ヶ月で48兆円(=227兆円-179兆円)減少することになります。
 株式以外の増減をゼロとしますと、平成20年12月末の個人の金融資産は、1,419兆円(=1,467兆円-48兆円)となります。一年前が1,545兆円ですから、名目では確かに126兆円(=1,545兆円-1,419兆円)減少しています。

 一方、一年前の実効レートは96.3、今年の12月のそれは117(※平成20年11月の117.2より推定)ですので、上記の1,401兆円(名目)を実効レートベースで計算しなおしてみますと、
-1,724兆円(=1,419兆円×117÷96.3)
となり、一年前の12月末の金融資産1,545兆円より179兆円(=1,724兆円-1,545兆円)も多くなってしまいます。
 このような計算結果を前にしますと、前回記した朝日新聞の執筆者(鯨岡仁氏)のように、「過去最悪」であるとか、「今後さらに目減りする可能性が高い」とか言うことができないでしょうし、コメントが紹介されている矢嶋康次氏のように

「所得を生活費にあて資産形成が難しくなっている家庭の苦しさが浮き彫りになった」

などと言うこともできないでしょう。論語読みの論語知らず、ではありませんが、経済読みの経済知らず、あるいは数字読みの数字知らずでは困りますね。

(この項つづく)

 ―― ―― ―― ―― ――

 ここで一句。

“小泉と ブッシュに老後 狂わされ” -勝浦、ナメロー。

(毎日新聞、平成20年12月11日号より)

(福祉、医療、教育。経済合理性とか自由競争になじまない分野にまで、過度の規制緩和がなされた結果です。明らかな失政です。)

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