ホリエモンの弁解術 -1

ホリエモンこと堀江貴文さんの第一審判決がありました。懲役二年六ヶ月の実刑。検察が求刑したのが懲役四年でしたから、その6割強の量刑です。

判決後、この量刑をめぐって、妥当なものだとする意見がある一方で、実刑は重すぎるとか、いや軽すぎるといった意見がマスコミを飛びかい、にぎやかなことです。私は会計士であり法律の専門家ではありませんので、懲役二年六ヶ月の実刑について、量刑の当否を論評することは差し控えます。

堀江氏が罪に問われたのは、証券取引法における風説の流布と粉飾決算でした。この中で、粉飾決算は、財務諸表の虚偽記載ということであり、まさに私達会計士の領域ですので、この点に限って、思いつくままにコメントをいたします。

この一年余りの間、朝日新聞系を中心とした一部マスコミが、「わずか50億円ほどの粉飾で、死刑宣告」というセンセーショナルな見出しのもとに執拗に検察批判を繰り返し、粉飾決算のなんたるかも知らないテレビキャスターとかジャーナリストが何回となく取り上げてはライブドアと堀江さんとを擁護してきました。このことについては、既に「疑惑のフジテレビ -号外3~7」において詳しく論じ、それらがピント外れの誤った議論であることを指摘したところです。このたびの判決後においても、相も変らず的外れの議論は続いており、つくづく今のマスメディアとは一体何であるのか考えさせられます。

平成19年3月18日のテレビ朝日の“サンデー・プロジェクト”。キャスターの田原総一朗氏と常連のゲスト達が、堀江貴文氏本人をスタジオに招いて、茶番劇の上塗りをしていました。一つだけの救いは、永沢徹弁護士でした。この人は、ほとんどの弁護士が会計理論とか企業会計に疎(うと)いのに対して、相当以上に精通していると思われる弁護士であり、私は昨年以来、永沢氏の言動を注視していました。怪しげなタレント弁護士とは一線を画す方のようです。
ただ残念ながら、永沢弁護士が企業会計にいくら精通しているとはいえ、ことは粉飾決算という、本来は会計士の判断にかかる事柄ですので、会計士としての監査実務の経験のない永沢氏にはいささか荷が重いことでしょう。さすがに永沢氏は、法律家の立場からの意見にとどめており、この点、同じくゲスト出演していた、堀江氏の弁護人である高井康行弁護士が、粉飾自体にまで踏み込んでコメントしているのは、なんとも見苦しいものでした。これは、キャスターの田原総一朗さんも同様で、自分ではまともに判断できないことを、他人の受け売りで、ミソもクソも一緒にして喋っているとしか思えません。
高井、田原、この両人に共通しているのは、肝腎要(かんじんかなめ)のライブドアの有価証券報告書(この中にある財務諸表の虚偽記載が罪に問われているのです)を全く見ていないか、あるいは覗き込んだものの、全く理解できなかったかのいずれかです。堀江貴文さんを擁護なさるのは勝手ですが、公共の電波を使って、国民に誤った情報をタレ流すのだけはご遠慮いただきたいものです。田原さんの場合、なまじご本人が大マジメなだけに、誠に困ったものですね。誰もまともな注意をしてくれない、裸の王様といったところでしょうか。

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ここで一句。

“局ごとに 御用学者が いるテレビ” -久喜、高橋春雄。

 

(毎日新聞、平成19年3月17日号より)

(御用学者、御用弁護士、御用評論家、-これらが群っているのはテレビだけではありません。政府にも、地方自治体にも。)

 

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